記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
子育て1年生のお母さんにとって最も気がかりなのは、赤ちゃんが病気のときでしょう。単なる風邪でも自分なら市販薬でようすをみたりできるのに、赤ちゃんとなるとどうしていいかわからなくなりませんか? ここでは、赤ちゃんの風邪と病院に連れていったほうがいい病気についてお話します。
赤ちゃんや子どもは、流行しているさまざまな風邪のウイルスに対する免疫力をまだ確立していないので風邪をひきやすくなっています。でも「風邪をひく」ということは、ウイルスと闘い、免疫系を高めることができるという点では、赤ちゃんにとってはいいことなのです。
赤ちゃんの風邪のほとんどは、以下の症状を含む軽度なものです。
・鼻水(最初は水様で不透明~黄色または緑色)
・鼻のうっ血
・くしゃみ
・軽度の熱
・乾いた咳(せき)(夜間の咳は悪化することがある)
・哺乳または食欲不振
そのほかに、赤ちゃんではみつけにくいかもしれませんが、痛みやかゆみ、疲労感がみられます。ほとんどの風邪は3日目あたりでピークを迎え、1週間~10日ほどで改善しますが、咳が残ることがあります。
赤ちゃんが3カ月未満、またははじめての風邪のときは医師に相談するといいでしょう。
以下のような症状がみられるときは、風邪が悪化している徴候なので病院へ連れていってください。
・ぐったりしている、元気がない
・嗜眠(しみん)傾向
・食欲がない
・39℃近い熱があるか、または4日間以上微熱が続く
・咳が日に日にひどくなっていく
・呼吸が早い
・鼻水または痰(たん)が緑がかった黄色
・リンパ節が腫れている
・10日以上続く症状がある
赤ちゃんでは、以下のような腹部の疝痛(せんつう)を疑う徴候がみられることがあります。
・毎日同じ時間に泣き始める
・何の理由もなく突然泣き出す
・手足を伸ばしてバタバタする
・腸が活発に動いているときは放屁や嘔吐することがある
・泣き続けて授乳も受け付けず、寝てもくれない
腹部の疝痛は、以下のような病気の可能性があります。
食品を消化することは、赤ちゃんにとって大きな仕事です。その結果、食物があまりにも早く通過してしまい、完全に分解されずに腸内のガスからの痛みが生じることがあります。
子どもの胃食道逆流症では、疝痛が引き金となることがわかっています。食道を刺激する可能性のある胃酸がのどや口に逆流するのを防ぐ下部食道括約筋の未発達が原因であるとされています。胃食道逆流症の症状は、頻繁な嘔吐、摂食不良、過敏症などです。
疝痛は、人工栄養の赤ちゃんの乳タンパク(または乳糖不耐症)に対するアレルギー反応であるという説もありますが、母乳栄養児でも母親の特定の食品に対するアレルギー反応で起こることもあります。
病院で風邪と診断されたら、医師の処方薬を飲ませるとともに「水分をとらせる」ことが 重要です。発熱などで失われた水分は、できるだけ温かい食べ物で補ってあげましょう。ビタミンCや栄養価の高い食べ物をたくさん与えましょう。まだ固定食にすすんでいなければを母乳や人工乳をたっぷり飲ませてあげましょう。
市販薬は、赤ちゃんにとって有害なものも多くあります。市販薬については必ず医師または薬剤師に相談することが大切です。
赤ちゃんは大人とちがって、たかが風邪だと思っても重大な病気に発展してしまうこともあります。ことばで症状を伝えられない赤ちゃんには、表情や泣きかたをよく観察することが大切です。病院に連れていったほうがいいのか判断に迷うようなら、迷わず病院へいきましょう! お医者さんはどんなときでも相談に乗ってくれるでしょう。