おなかの赤ちゃんは成長中~妊娠中期に気をつけたいこと~

2017/4/10

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

妊娠中期の3カ月間は「安定期」といわれていますが、おなかの中も赤ちゃんにもいろいろな変化が起きています。なによりも妊娠初期症状のつわりがおさまってひと安心するのもこの頃です。妊娠中期に起こり得る症状についてまとめました。

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妊娠中期とは

妊娠中期(妊娠14週~27週)は、多くの妊婦が最も楽な時期だと感じるようです。この時期に突入すると、妊娠初期症状の「つわり」が和らぐか、消失します。吐き気がおさまり、久しぶりに食欲もでてくるかましれません。体力も回復し、乳房の膨らみにも慣れてきます。何より、妊娠中期の終わり頃までにはおなかも徐々に妊婦らしく大きくなっていきます。

妊娠中期のおなかの赤ちゃん

この時期、おなかの赤ちゃんは目覚しく成長しています。18週になれば、あくびやしゃっくりもできるようになり、小さな指先には指紋ができるようになります。

21週ごろになると、新しくでき上がった腕や脚をしきりと動かすようになり「胎動」を感じることができます。

また23週ごろには、体重もどんどん増えていきます。この時期のおなかの赤ちゃんに起こるワクワクするような変化は以下のようなものがあります。

毛、皮膚、爪

妊娠15週ごろには赤ちゃんの細い髪の毛が出てくるようになり、22週ごろにはまつげや眉毛も出てきます。この頃の赤ちゃんの皮膚は、産毛(うぶげ)で覆われており(妊娠後期に入って脂肪がついてくるまで自分で自分を暖める毛皮のような役割を果たします)、妊娠19週までには胎脂(酸性の羊水から皮膚を守るための脂と角質でできた層)で覆われます。産毛も胎脂も産まれる前にはなくなります。

消化器官

赤ちゃんの消化器官は、妊娠初期の終わりまでにほとんど発達します。妊娠中期では、子宮から出た後の準備のために「吸う」「飲み込む」という動作を練習し始めます。

さらに赤ちゃんは、羊水を通してお母さんの食べたものの味がわかるといわれています。妊娠中のお母さんの食生活は、産まれてからの赤ちゃんの「食の好み」に影響するという報告もあります。妊娠中様々な種類の野菜や果物を摂って健康的な食生活をすすめられる理由は、ここにあるのかもしれません。

また排泄機能もでき上がり、胎盤を通して送られた栄養分は尿として排泄されるようになります。赤ちゃんは40分に1回はおしっこをしているともいわれています。

五感の発達

耳や目が正しい位置にでき、次第に人間らしくなってきます。妊娠22週ごろには、においを嗅ぐことができ、音も聞こえるようになります。目も開き始め、見ることができるようになります。

心臓

妊娠17週になると、赤ちゃんの心臓は自発的にではなく、脳からの指令によって動くようになります。このことから妊娠20週には聴診器で心音が確認できるようになります。妊娠25週になると、毛細血管が発達してきて身体中に酸素を含む血液を送れるようになります。

妊娠24週になると、心臓や手足を動かしたりするのに加えて、脳からの指令によって「まばたき」もできるようになります。

妊娠中期の母体の変化

この時期は、胸やけや便秘といった症状がつづくこともあります。お腹が大きくなり始め、妊娠ホルモンも増加するのに伴って、はじめて直面するような症状が出るでしょう。

血液の循環がよくなるのに伴い、鼻などの体中の粘膜が詰まるようになります。「いびき」をかくこともあるかもしれません。妊娠中に服用しても問題ない薬もいくつかあるので医師に相談してみましょう。

くるぶしや足の軽い腫れ

くるぶしや足の軽い腫れを経験する妊婦は、4人に3人いるといわれています。これは、妊娠22週ごろに始まり、出産するまで続きます。症状を和らげるためには、なるべく身体を動かすようにしましょう。座っているときも足を動かすようにしたり、長時間立ったり座ったままでいることを避け、ずっと同じ体勢で寝ないように心がけましょう。

歯茎(はぐき)のトラブル

歯茎(はぐき)が敏感になったり、血が出ることもあります。しかし、歯茎が赤く、頻繁に出血する場合は歯肉炎の可能性がありますので歯科医師に診てもらいましょう。

歯肉炎は比較的軽い疾患ですが、治療せずに放っておくと深刻な症状を引き起こすことがありますので注意しましょう。

こむら返り

こむら返りは妊娠中期によく起こる症状で、妊娠後期まで続きます。ホルモンバランスや体重の影響のほかにも、カルシウムやマグネシウム不足が原因のことがあります。栄養バランスに気をつけて、健康な妊娠生活を送るように心がけましょう。

低血圧

赤ちゃんに血液を送り込んでいるために低血圧となり、めまいを起こすことがあります。めまいは、1回の食事の量を減らしてこまめに食べるようにし、水分補給をしっかりすることで症状は和らぐでしょう。

靭帯の変化

おなかが大きくなることで、それをサポートする靭帯(じんたい)がのび、おなかの下のほうが痛むことがあります。

そのほか

この時期みられる脚の静脈瘤や痔などの症状は、妊娠前に既往がなければ出産後には和らぐでしょう。

以上のような症状が出るのは一時的なものです。身体的な症状以外にも、不安やイライラ、忘れっぽくなるなど、おなかが大きくなることによってフラストレーションを感じるなどの精神的な変化もありますが、同じように一時的なものです。

妊娠中期に気をつけたい前置胎盤

前置胎盤は、妊娠初期には子宮が急速に大きくなるのでその大半は解決します。しかし、妊娠中期~後期に前置胎盤と診断されたときは、胎盤が子宮の低い位置に形成されその一部が内子宮口を覆ってしまいます。

実際、妊婦の150~300人に1人が、妊娠中期以降に前置胎盤と診断されています。前置胎盤の場合、赤ちゃんの頭がある場所に胎盤があるので、逆子(さかご)となり出産が困難になることがあります。

おわりに:体調整え、出産を目指そう!

妊娠中期、お母さんの身体は妊娠に慣れてラクになります。しかし、おなかのなかでは赤ちゃんがものすごいスピードで成長しているので無理は禁物です。赤ちゃんといっしょに出産するために、よく食べ、定期的に身体を動かし、たくさん休むことで妊娠中期を乗り切りましょう。

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