心筋梗塞を予防するために毎日の生活で気をつけたいポイントは?

2023/9/20

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

心筋梗塞になると突然胸の痛みに襲われ、命を落とすこともあります。心筋梗塞は生活習慣病のひとつであり、生活習慣 ― とくに食生活が発症に影響するといわれています。この記事では、心筋梗塞の原因と、予防のために心がけたい対策について解説していきます。

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心筋梗塞の原因について

心筋梗塞は、心臓の冠動脈が完全に塞がって血液が流れなくなることで起こる病態です。心筋梗塞が起こる原因のひとつに動脈硬化があげられます。動脈硬化とは、動脈の壁が厚くなったり固くなることで本来の構造が損なわれて血管の働きが悪くなる状態です。動脈硬化が進行すると、コレステロールなどといった脂質の固まりができます。この塊が大きくなって血液の通り道を狭め、完全にふさいだときに心筋梗塞が起こるのです。

動脈硬化は年を取るにつれて誰にでも見られる現象です。しかし、高血圧や脂質異常症、糖尿病の人は動脈硬化が進行しやすいといわれています。また、肥満の人や喫煙する人も動脈硬化のリスクが高まります。

日常生活でできる予防対策

心筋梗塞の原因となる動脈硬化には、生活習慣が大きく影響します。動脈硬化を予防するため、以下を心がけましょう。

バランスの良い食事

動脈硬化を予防するためには、バランスの取れた食事を取るようにしましょう。また、自分に合った適切な摂取エネルギー量を守ることも大切です。塩分や糖分、脂質の摂りすぎにも注意してください。塩分は8g以下、糖分は15g以下、油は15cc以下を目標にしましょう。

適度な運動

動脈硬化の予防には、ウォーキングやジョギングなどの「適度な有酸素運動」を習慣化することがおすすめです。普段の生活で1日1万歩を目標にしたり、30~40分程度の早歩きを週3回程度行うなどして、気長に続けていきましょう。

禁煙

禁煙することで血管の内側の細胞が活性化したり、善玉コレステロールの値が改善しやすくなったりするといわれています。

適度な飲酒

飲酒する場合は適正量を守りましょう。ビールなら350mL、日本酒なら1合、ワインなら1杯が1日の目安量となります。また、健康でアルコール代謝に問題ない人であれば、週2~3回程度の頻度で飲酒をしても問題ないといわれています(飲酒を推奨するわけではありません)。ただし、大量に飲酒すると血圧の上昇や中性脂肪の増加のリスクが高まるため、注意してください。

水分補給

意外とおざなりになりやすいのが水分補給です。寝起きは体内の水分量が減少しているので、朝起きた後は、まずコップ1杯の水を飲んでから活動するようにしましょう。

予防のために意識して摂りたい食べもの

心筋梗塞を予防するためには、以下の栄養素を積極的に摂りましょう。ただし、あくまでも栄養のバランスが整った食事を摂ることが大切です。特定の食べものを偏って摂るなど、極端な食事にならないように気をつけてください。

カルシウム

カルシウムは心臓の筋肉を動かすために必要な栄養素です。牛乳やチーズなどの乳製品や小魚、豆腐や納豆などの大豆製品などに多く含まれています。

カリウム

カリウムは、ナトリウムと一緒に心臓を動かすための電気信号を生み出します。この電気信号には、心臓の働きを調整する大切な役割があります。カリウムはさまざまな食べものに含まれていますが、野菜やイモ類、果物はカリウムはとくに豊富です。

食物繊維

食物繊維には、心筋梗塞のきっかけとなる血管の炎症を抑える作用があるといわれています。穀類や野菜、きのこや豆類などは食物繊維が多く含まれています。

DHAとEPA

アジやサバ、イワシなどの青魚に多く含まれるDHAやEPAは、血液をサラサラにする作用があるといわれています。肉食が多い人は少しずつ魚を取り入れた食事に変更するなどし、週3~4回は魚を食べるようにしましょう。

おわりに:心筋梗塞は普段の生活習慣で予防できます

心筋梗塞は、普段の生活習慣を見直すことである程度予防できる病気です。とくに食生活の見直しは予防に大きく影響するといわれています。バランスの良い食事を心がけ、塩分や糖分の摂りすぎに注意してください。普段の生活を見直し、いつまでも健康な生活を送るよう心がけましょう。

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動脈硬化(95) 心筋梗塞の予防(2)