くも膜下出血の発症後にみられる合併症ってどんなもの?治療法は?

2019/2/16

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

くも膜下出血後の合併症には、脳血管攣縮(のうけっかんれんしゅく)や水頭症などがあります。今回は合併症ごとの基本、特徴、治療法などをご紹介します。「くも膜下出血後の合併症について知りたい」という方は、ぜひお読みください。

くも膜下出血発症後にあらわれる「脳血管攣縮」とは

脳血管攣縮(のうけっかんれんしゅく)とは、脳の血管が収縮してしまうことで、血液の流れが悪くなってしまう状態です。通常、くも膜下出血の発症から3日~3週間後ぐらいに起こります。なお、現時点では、脳血管攣縮の発生メカニズムは明らかにはなっていません。

脳血管攣縮の症状には何があるの?

脳血管攣縮に伴う症状には、意識状態の悪化、言語障害の悪化、手足の麻痺などがあります。ただし、脳血管攣縮の程度によって症状はさまざまで、軽症の場合は無症状のこともありますが、重症の場合は脳梗塞などを起こすこともあります。通常、くも膜下出血の症状が重いほど、脳血管攣縮の発生確率も高くなるとされています。

脳血管攣縮を早期発見するためには?

脳血管攣縮は、早期発見・早期診断が重要となっています。脳血管攣縮が疑われる場合、確定診断には脳血管造影が必要です。また、「経頭蓋的ドプラー検査(TCD)」という大脳動脈水平部の血流速度を調べるための検査も有用となっています。

脳血管攣縮にはどんな対処をする?

脳血管攣縮が生じた場合、一般的な治療として「トリプルH療法(triple H療法)」が行われます。この治療法は「人為的高血圧(hypertension)」「循環血液量増加(hypervolemia)」「血液希釈(hemodilution)」を合わせた方法で、詳しくは以下の通りになっています。

人為的高血圧
脳血流を維持するために、意図的に高血圧状態にする
循環血液量増加
脳血量を増やすために、輸液量を多くする
血液希釈
血液の流れを良くするために、血液を希釈し血漿を増やす

この他に、「hyperdynamic療法」という循環血液量を維持したまま、心機能を強くする治療が行われる場合もあります。

その他の治療法には何があるの?

くも膜下に溜まった血腫を取り除くために、脳槽ドレナージから血腫を溶かす薬や血管を拡張させる薬を注入する方法があります。また、内科的治療での対応が難しい場合は、細くなった血管を広がるために、脳血管内治療(選択的動注療法や経皮的血管形成など)を行います。

水頭症も、くも膜下出血の合併症のひとつ

水頭症とは、脳脊髄液の流れが悪くなることで、脳脊髄液が増えてしまい、脳室が大きくなってしまう状態をいいます。くも膜下出血を原因とする場合、くも膜と脳表に癒着が起こることで生じます。多くの場合、くも膜下出血の発症から数週間~数カ月後に現れます。

水頭症の症状には何があるの?

水頭症の主な症状には歩行障害、認知障害、尿失禁などがあり、これらは三兆候としても知られています。このうち歩行障害は早い段階から見られ、歩幅が狭い、転倒しやすいといった特徴が見られます。なお、次の多いのが認知障害で、最も少ないのが尿失禁です。

水頭症が疑われた場合の検査方法は?

水頭症が疑われる場合は、まず脳室の拡大を確認するために画像検査(CTやMRI検査)を実施します。また、「髄液タップテスト」という髄液を排出することで、症状の改善がみられるかを確認する検査も行います。そのほか、水頭症の三兆候の有無なども調べます。

水頭症を治療するには?

水頭症の治療では、主に「脳室腹腔短絡術(VPシャント術)」と呼ばれる手術を行います。簡単に説明すると「髄液の新しい循環経路」を作るための治療であり、少し詳しく説明すると「脳室にカテーテルを挿入し、それを首、胸部、腹腔に通して、お腹に流す」というものです。なお、緊急時には、脳室ドレナージによって脳脊髄液を排出する場合もあります。

脳血管攣縮や水頭症以外にも合併症はある?

くも膜下出血後の合併症には、脳血管攣縮や水頭症以外にもあります。大きく分けると、神経学的な合併症や全身的な合併症があり、具体的には以下のようなものが挙げられます。

神経学的な合併症
意識障害、言語障害、感覚障害、運動麻痺、脳卒中、けいれんなど
全身的な合併症
髄膜炎、心不全、腎不全、呼吸障害、電解質異常、脱水、発熱など

これらの合併症は、必ずしも全てのくも膜下出血の患者さんに発生するわけではありません。しかし、手術後はこれらの合併症にも注意し、発症後は適切な対応が必要になります。

おわりに:くも膜下出血後には合併症にも注意が必要!

くも膜下出血後には脳血管攣縮や水頭症をはじめ、さまざまな合併症が現れる可能性があります。そのため、無事に手術が終了したとしても、その後も適切な管理が必要になります。なお、くも膜下出血を早期発見できれば、合併症のリスクを軽減できるので、違和感があれば早めに受診をするほか、定期的に人間ドックなどを受けるようにしましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

くも膜下出血(35) 水頭症(6) 脳血管攣縮(2) 経頭蓋的ドプラー検査(1) TCD(1) トリプルH療法(1) 水頭症の三兆候(1) 脳室腹腔短絡術(1) VPシャント術(1)