肺挫傷ってどんな病気?自覚症状がないこともあるの?

2019/1/5

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

呼吸を行い、私たちの生命活動の維持に欠かせない器官である肺の疾患の1つに「肺挫傷(はいざしょう)」という状態があることを、ご存知でしょうか。
今回は発症していても自覚症状がない場合もあり、知らないと命にかかわる事態になるリスクもある肺挫傷について、原因・症状・治療法をわかりやすく解説していきます。

肺挫傷とは

肺挫傷とは、体の外側から受けたダメージが原因で肺に出血や血腫が生じる、肺が打撲しているような状態のことです。
肋骨の骨折やこれによる肺の損傷などを伴うこともあり、発症すると胸の痛みや血痰、損傷の程度に応じた呼吸困難などの症状が出ます。

通常、原因となる肺への外傷を受けてから数時間で代表的な症状が現れるようになり、軽症であれば3~5日で自然に治癒し、症状も治まってきます。
しかし広範囲に肺挫傷を起こしていて重症の場合は、急性呼吸不全を起こし、最悪の場合は死に至る可能性もあるのです。

なお肺挫傷の原因・きっかけの具体例としては、以下があげられます。

  • 交通事故や高いところの転落などによる、胸部の強打
  • その他、鈍的な外敵圧力による胸への圧迫や、これらによる肋骨の骨折
  • 胸に空気が溜まり、肺を圧迫するようになる肺気胸(はいききょう)
  • 胸に血が溜まり、肺を圧迫するようになってしまう肺血胸(はいけっきょう)

肺挫傷でみられる症状は?

肺挫傷を起こしていても、その原因となる事故・疾患が軽微である場合は軽症となり、自覚症状が現れないケースもあります。

しかし一般的には、遅くとも発症から数時間以内には血痰、また胸の痛みからうまく呼吸ができなくなり、呼吸が頻回になるなどの症状が現れるようになります。また肺の損傷範囲が広いと、さらに正常な呼吸を行うことが難しくなり、強い呼吸困難や胸の痛みが起こります。

外傷により肺と一緒に多くの肋骨を骨折した場合には、フレイルチェストと呼ばれる合併症を起こし、急性呼吸不全を起こす確率も高くなってきます。

なお肺挫傷は、発症から時間が経ってから肺炎や急性呼吸窮迫症候群と呼ばれる続発症を起こすリスクも高い疾患ですので、注意が必要です。

どうやって肺挫傷を治療する?

肺挫傷を起こしているかどうかは、問診で自覚症状や肋骨の骨折があるかを尋ね、以下のような検査をして判断します。

  • 胸の音を聞き、呼吸音に異常が生じているかどうかを確認する「聴診」
  • 動脈の血液を採取し、含まれる酸素や二酸化炭素、pHを調べる「動脈血ガス分析」
  • 肺を含め、胸に異常がないかを確認するためのX線またはCTによる「胸部の撮影」

検査の結果、肺挫傷を起こしているとわかった場合には、肺の損傷の程度にあわせた治療計画を策定し、治療をすすめていきます。

まず軽症であり、胸の痛みや血痰はあるものの呼吸障害や肺の損傷が少ない場合には、痛み止めを投与して自然治癒するのを待つことになります。

次に呼吸障害が見られる場合は、程度に応じて人工呼吸器などによる酸素の供給や、肺気胸・肺血胸など合併症の治療も一緒に行っていきます。

おわりに:肺挫傷は外部からのダメージにより、肺が損傷した状態のこと

肺挫傷は、交通事故や転落などによる胸の強打が原因で肺が傷つき、血痰や胸の痛み、また痛みによる呼吸困難などの症状が出る状態のことです。病気というよりもケガに近いもので、通常は発症から数時間以内に症状が現れ、軽症なら3~5時間で治癒します。
ただし重症になると、著しい呼吸障害から急性呼吸不全に陥り、死に結びつくこともある恐ろしい疾患です。胸を強打した後は、症状がなくても肺挫傷でないか病院で検査してもらいましょう。

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