肺MAC症になるとどんな症状が出てくるの?治療法は?

2019/2/8

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

肺MAC症とは、非結核性抗酸菌と呼ばれる最近が肺に感染したことで発症する病気です。この記事では、肺MAC症の症状の特徴や原因、治療法を解説します。

肺MAC症ってどんな病気?

肺MAC症とは、抗酸菌の中でも結核菌群と特殊栄養要求菌を除いた菌群である非結核性抗酸菌が肺に感染して起こる病気のことです。非結核抗酸菌症ともいいます。

日本では30種類以上の菌種による感染症が報告されていますが、MAC菌による感染が80%ほどで、次に多いカンサシ菌が10%ぐらいとされています。このMAC菌が肺に感染したのが肺MAC症なのです。患者は女性にやや多く、年間約8,000人が発症しているともいわれています。また、特に東日本での感染者が多い傾向がみられます。

肺MAC症は結核などと異なり人から人への感染は確認されていないため、感染者を隔離するなどといったことはする必要がありません。

肺MAC症になるとどんな症状が出てくるの?

肺MAC症に感染しても、すぐに特徴的な症状がみられるわけではありません。そのため、検診の胸部レントゲンにて発見されることが多いのが特徴であり、 数年~十数年かけて病変が徐々に進行するのが一般的です。

病気が進行したときにみられる症状として、咳、痰・血痰、倦怠感、発熱、寝汗、体重減少(たとえば1年で5kgの減少)などがあります。また、肺MAC症は特に過労や手術後など、体の抵抗力が弱った時に症状が出てくることもあります。

肺MAC症引き起こす原因は?

肺MAC症の原因菌である非結核性抗酸菌は、上水道などの都市給水システム、土壌、動物の体内などに存在しています。こうした菌を取り込んでしまうと、免疫不全患者だけでなく、健康な人にも感染してしまうと考えられています。

最近では手術した部位から感染したとの報告もあります。また、非結核性抗酸菌は42度の温度で繁殖しやすいという特徴もあるため、自宅にある浴槽のお湯の注ぎ口やシャワーヘッドのぬめり、湯あかなどをしぶきや蒸気とともに吸い込んで感染した、という例も多く見受けられます。

どうすれば治る?

肺MAC症の治療は菌量が少なく、進行がゆっくりなため、高齢の方や肝障害や腎障害などをお持ちの方、薬の副作用が起こる可能性がある方は、肺の陰影の変化をみながら経過観察することもあります。

しかし、肺の陰影が悪化したり、症状そのものが悪化している場合、薬を使って治療します。肺MAC症はリファンピシン(RFP)、エタンブトール(EB)、クラリスロマイシン(CAM)の3薬剤による多剤併用療法が標準治療となっていますが、状況に応じてさらにストレプトマイシン(SM)またはカナマイシン(KM)も併用します。

治療は、少なくとも菌が体内からいなくなって陰性になった後も1年間は継続するべきとされています。また、治療終了後の再燃・再感染は頻繁に起こっているため、どのくらい治療すべきかについては現在も課題となっています。また、治療ではクラリスロマイシンが主に使われていますが、近年ではクラリスロマイシン耐性のMAC症も出てきており、これに対してはクラリスロマイシンの効果が期待できないため治療が困難であるともいわれています。

さらに、病変の形状、広がり、排菌状況などによっては患者の年齢、基礎疾患、全身状態、肺機能などを総合的に判断した上で、肺MAC症に感染している病巣を切除するための外科的治療を行うこともあります。

おわりに:定期的に検査を受けて気になる所見があればすぐに受診を

肺MAC症はなかなか症状が現れないことが特徴で、数年あるいは数十年という長い経過を経て症状が出現する場合がほとんどです。そのため、症状が出現するころには病状がかなり進行しているといえます。

胸部レントゲンなどで発見することもできるため、定期的に胸部レントゲン検査をしておくのも良いでしょう。また、土壌や環境水だけでなく、最近は自宅のお風呂のシャワーヘッドや浴槽のぬめりなどからの感染報告もあります。このような場所はできる限り清潔を保っておくことが予防につながります。

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