記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/2/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
膵臓がんは発見した時点で手遅れの状態であることが多く、がんの中で最も治療が難しいといわれている病気です。ただ一方で、がん細胞が小さいうちに発見できれば助かる可能性が高くなることが明らかになっています。この記事では、膵臓がんを見つけるのが難しい理由とともに、少しでも早く発見するために何ができるかを紹介します。
膵臓は膵液(食物の消化を助ける働きがある)や、インスリンなど、血糖値を調節する働きをするホルモンを作っている小さな臓器です。胃の後ろの奥深くにあること、周囲を十二指腸、脾臓といった臓器や血管に囲まれていることから、膵臓にがんができても見つけるのが難しいといわれています。
また、膵臓がんは進行しても自覚症状がなかったり、あったとしても腹痛や食欲不振、腰や背中の痛み、腹部膨満感、黄疸など、ほかの病気でも出てくる症状であるため、気づいたときにはかなり進行していた、ということも少なくありません。このため、膵臓がんは生存率が低い、といわれています。
「治療が難しい」「生存率が低い」と言われる膵臓がんですが、がん細胞が小さい(大きさが20mm以下)段階で見つけることができれば、生存率が高くなることがわかっています。膵臓がんで命を落とさないためには、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。
そのためには、まず、膵臓がんのリスクが高くなる要因を知っておくことが大切です。
家族に膵臓がんを発症した人がいる場合、発症リスクが高くなることが知られています。また、生活習慣の改善に取り組んでいるにも関わらず、糖尿病が悪化したり、突然空腹時血糖が急上昇したときも、膵臓がんの発症リスクが高くなるといわれています。
したがって、上記のリスク要因を抱えている方は日ごろから体調の変化に気を配ることが大切です。ただ、すでに述べたように、膵臓がんは自覚症状がほとんどないため、自覚症状とともに、定期的に健康診断や人間ドックなどを受け、早期発見できる機会を増やすことも大切です。
また、膵臓がんの発症リスクが高い方は、定期検診や人間ドックに加えて、マルチスライスCTやMRCP(MR胆管膵管撮影)といった精度が高い検査を受けることも早期発見につながります。
がん細胞が小さいうちに膵臓がんを発見できれば、命が助かる可能性が高くなります。家族に膵臓がんを発症した方がいたり、糖尿病や膵炎を発症している場合は、特にCTやMRIといった検査を受けることも視野に入れておきましょう。