血栓性外痔核の治療法とは? 薬で治らないときは手術をするの?

2019/2/16 記事改定日: 2020/8/25
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

痔の中でも、外痔核は肛門の外側にできる痔の一種です。外痔核で、血のかたまり(血栓)ができてしまったものを血栓性外痔核と呼びます。治療法には座薬などの薬のほか、手術が必要になる場合もあります。この記事では、血栓性外痔核について、原因や症状、治療法を解説します。

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血栓性外痔核とは?痔の種類には何がある?

「血栓性外痔核」とは、外痔核とよばれる痔の中に血のかたまり(血栓)ができたもので、比較的よくみられる病気です。痔は大きく分けて、以下の3種類あります。

痔核(いぼ痔)
肛門に腫れものができる
痔ろう
肛門に膿のトンネルができる
裂肛(切れ痔)
肛門の皮ふが切れる

痔核(いぼ痔)には、さらに肛門内側にできる内痔核と、急性的に肛門外側にできる血栓性外痔核があります。血栓性外痔核とは、外痔核の中に血液がたまって血栓が生じた状態です。

人のお尻は心臓より低い位置にあるのでうっ血しやすく、疲れなどで負担がかかると血管の一部がふくれ上がって、肛門の皮ふ下に血豆ができます。これが血栓性外痔核で、一度治ってもお尻に負担をかけるような生活をしていると再び発症することもあります。

血栓性外痔核ができる原因は?気をつけたい生活習慣は?

血栓性外痔核は、肛門周囲に刺激が加わることで起こります。もともと痔核は誰にでもあり、肛門を閉じるときのクッションの役割をしていると考えられています。
これを支えている組織が弱くなると、クッション部分が大きくなって血栓性外痔核を発症しますが、日常的によくあることがきっかけとなって起こる場合が多いといわれています。

以下のような状況が原因となりますが、代表的な原因としては便秘気味で排便時に強くいきんだときの負担や下痢による肛門への負担が挙げられるでしょう。

  • 便秘などのため排便時に強くいきむ
  • 下痢で肛門に負担がかかる
  • 長時間同じ姿勢で座り続ける
  • お尻の拭き過ぎ
  • 冷え
  • 乗馬をした
  • ストレスが溜まっている
  • アルコールを飲み過ぎた
  • 辛い物など刺激物をとり過ぎた

血栓性外痔核は、これまで痔とは無縁だった人でも発症することがあります。たとえば、それまで肛門が腫れたことのない人が、ある日下痢や便秘を繰り返したあと、突然肛門の周りに硬いしこりができて痛くてたまらなくなった、といったケースがあります。

血栓性外痔核の症状は?痔核が破裂すると出血する?

血栓性外痔核は、腫れ始めはムズムズとかゆく、触るとコリコリと硬い丸いいぼ状のものが飛び出しているのがわかります。程度はさまざまですが、肛門の周囲に触れたり座ることで、強烈な痛みをともなう場合もあります。

大きなものになると肛門の半周がしこりとなり、椅子に座るのも大変な状態になって日常生活に支障をきたし、さらにそれを放置していると破裂して下着が真っ赤になるような出血を起こすこともあります。

血栓性外痔核の治療法の種類は?

血栓性外痔核の治療は、症状の程度で薬による治療と手術療法に分かれます。

軽症の治療法

ほとんど痛みもなく、肛門周辺にしこりがあるだけといった軽症の場合、座薬や軟膏を使うとともに、日常生活に気をつけながら過ごすと、1週間程度で腫れが引いて改善します。局所を温めることで痛みがやわらぐこともあります。

中程度~重症の治療法

中等度の症状でなかなか腫れや痛みが引かない場合や、重症でしこりが大きく痛みが非常に強い場合には、手術が必要となります。

血栓性外痔核を治すため、予防するためにできる対策は?

血栓性外痔核の治りを早くしたり、発症を予防したりするためには肛門に負担をかけないよう日常生活の中でも次のような点に注意することが大切です。

  • 食生活や運動習慣を整え、便秘にならないようにする
  • 排便時は強くいきまないようにする
  • アルコールや香辛料の多い食事は控えめにする
  • 長時間の座位などお尻の血行が悪くなる姿勢を避ける
  • 症状があるときの激しいしいスポーツは避ける
  • お尻の冷えを防ぎ、円座クッションなどを活用してお尻への負担を避ける

おわりに:血栓性外痔核は肛門外側にできる血豆。強烈な痛みや破裂して出血を起こすことも!

血栓性外痔核は、もともとうっ血しやすいお尻の肛門外側に、血のかたまり(血栓)ができたものです。日常的なことがきっかけとなって発症することがほとんどで、いぼ状の血豆ができて、多くの場合痛みをともないます。

大きなものを放置すると、激しい痛みで日常生活に支障をきたし、破裂して出血を起こす場合もありますので早めに治療しましょう。

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