血栓溶解療法には時間制限が? 適応できない人もいるって本当?

2019/4/17

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

血栓ができると、脳梗塞や心筋梗塞といった病気を発症しても、血栓溶解療法によって体調を回復させることができます。ところで、この治療法はいつ、どんな人でも受けることができるのでしょうか。この記事で解説したいと思います。

血栓溶解療法(t-PA療法)には時間制限が!

血栓溶解療法とは、血栓を溶かす薬であるt-PA(アルテプラーゼ)を使って脳にできた血栓を溶かし、脳血流を早期に開通させることによって脳の組織が障害されることを防ぐ治療法です。

血栓溶解療法を受けるには、虚血性脳血管障害、いわゆる脳梗塞を発症してから4.5時間以内に治療を開始することが必要となります。もしも発症後 4.5 時間以内であっても、治療開始が早いほど良好な転帰が期待できるため、少しでも早く(遅くとも 病院についてから1 時間以内に)治療を開始することが望ましいとされています。

また、心筋梗塞の治療で血栓溶解療法を用いる場合は、発症から6時間以内に治療を開始する必要があります。

血栓溶解療法の適応時間を過ぎてしまった場合は?

もし、脳梗塞発症から4.5時間を過ぎていてもあきらめる必要はありません。実は4.5時間を過ぎている場合でも、良い治療効果が期待できる場合があります。ちなみに、発見時刻は発症時刻ではありませんが、発症時刻が不明な時は、最終未発症時刻をもって発症時刻とするため、倒れていたところを発見されて血栓溶解療法を受けるという場合には4.5時間を過ぎた状態で血栓溶解療法を受けるということもあり得ます。

また、心筋梗塞の場合でも、6時間のゴールデンタイムを過ぎてしまったとしても12時間以内であれば心筋梗塞の回復が期待できる可能性があります

血栓溶解療法を適応できない人がいる!?「禁忌」とは

非常に画期的な治療法である血栓溶解療法ですが、この治療を受けられない人もいます。

まず、血栓溶解療法を受けなくても症状が急速に改善している人や、症状が軽い人です。これらの場合は治療しなくても症状が良くなる可能性が高いため、脳出血などの合併症の危険性もある血栓溶解療法は不要であると考えられています。

また、各種出血性疾患の既往、出血の危険性のある頭蓋内疾患、高度の血圧上昇がみられる人、極端な低血糖や高血糖の人、血小板減少や抗凝固療法、頭部CTでの広範な病巣がある人も治療を受けられない人に該当します。これらの人は、血栓溶解療法を受けるとほかの疾患が悪化する可能性があるため、治療を受けることができません。

さらに、血栓溶解療法で使用するアルテプラーゼの慎重投与として、10日以内のけがや分娩、月経期間中などによって出血を起こしやすい状態の人、消化管潰瘍などの病気の人、高齢、重篤な神経症状、昏睡などが挙げられています。

おわりに:血栓溶解療法は誰しもが受けられる治療ではない!

アルテプラーゼという薬剤を静脈投与することで血栓を溶解し、血流を再開通させることのできる血栓溶解療法。この治療は、脳梗塞などの脳の疾患の場合で4.5時間、心筋梗塞などの心臓の疾患の場合で6時間がゴールデンタイムとされています。
また、誰しもが受けられる治療ではなく症状が改善している人や軽傷の人は受ける必要がないほか、治療をしたことによってもともとの疾患がさらに悪化する可能性がある場合には受けることができません。

血栓溶解療法を受けるためには脳梗塞や心筋梗塞の早期発見がカギとなります。治療を受けるチャンスを少しでもつかむためにも、異常があれば早めに医療機関を受診しましょう。

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血栓溶解療法(2) t-PA治療法(2) 血栓溶解療法の禁忌(1)