溶連菌への感染を予防するためにできることって?

2019/3/16

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

発熱と喉の痛みを感じ、風邪と間違われやすい感染症に、溶連菌と呼ばれるものがあります。小さい子供のいる家庭だと聞きなれた病気だと思いますが、大人もかかる可能性のある病気です。溶連菌とはどのような病気なのか、感染を予防するためにできることは何なのかを解説します。

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溶連菌とは

溶連菌は、主に喉に炎症を起こし、発熱や喉の痛みを引き起こす病気です。A群β型溶血性連鎖球菌(ようけつせいれんさきゅうきん)と呼ばれる細菌により、2~5日の潜伏期間を経て症状があらわれます。

喉の痛みがひどい場合には、飲み物や食べ物が飲み込みづらくなることもあります。また、全身に発疹が出たり、舌がいちごのようにブツブツしたりする状態もみられます。このほか、頭痛・腹痛・首筋のリンパの腫れといった症状があらわれることもありますが、風邪と違って鼻水や咳はあまり出ません。

発症から数日後の回復期に、手や足の指先の発疹のあとから皮がめくれることもありますが、3週間程度で症状は治まります。冬季と春から初夏にかけて2つのピークがあり、人と人との接触を介してうつっていくため、家庭や学校などの集団での感染が多いです。

溶連菌の症状が出たときの治療法は?

症状が典型的であれば、特に検査はせずに溶連菌感染症と診断されることもありますが、疑わしい場合は溶連菌抗原検出キットを用いて検査を行ないます。検査は綿棒で喉をこすり、付着した菌を調べる方法で、およそ5~10分で結果がわかります。

溶連菌に感染していることがわかったら、発熱や喉の痛みをやわらげる薬と抗生物質が処方されます。適切な抗生物質を服用すれば、24時間で感染力がなくなるといわれており、2~3日で熱は下がり、痛みも消えます。ただし、合併症を引き起こさないためには、症状が落ち着いても薬を全部飲み切ることが欠かせません。自己判断で薬をやめることなく、きちんと飲み切りましょう。なお、近年では抗生物質が効きにくい菌も出てきているので、2~3日経過しても症状が改善しない場合は再度受診してください。

溶連菌は喉の痛みをともなうため、飲み込むことが困難になる場合があります。喉ごしのよいお粥やゼリーなどをで栄養を摂るようにし、辛いものやすっぱいものといった刺激の強い食べ物は避けましょう。

溶連菌感染を予防するためにできることは?

溶連菌は一度感染しても、繰り返しかかることのある病気です。溶連菌は飛沫感染(発症者の咳やくしゃみで感染するもの)と接触感染(細菌が付着している手から、口や鼻に触れることで感染するもの)でうつっていくため、家族の中で誰かひとりが感染したら、家の中でもマスクをして過ごしましょう。

コップや食器などの使いまわしは避け、手洗い・うがいを心がけてください。特に、兄弟姉妹がいる場合はなるべく接触を避け、ドアノブやスイッチなどの人が触れやすい場所はアルコール消毒をするのがおすすめです。

おわりに:体調管理に気をつけつつ、手洗い・うがい・マスクで溶連菌感染を予防しよう

溶連菌の感染力は、適切な抗菌薬を服用してから24時間でなくなると言われていますが、ストレスや過労、睡眠不足などで体力が低下していると感染リスクが高くなります。規則正しい生活を心がけるとともに、身近に感染者が出たら手洗い・うがい・マスク着用で予防につとめましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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