椎間板ヘルニアの痛み緩和にブロック注射は有効?

2020/2/5

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

椎間板ヘルニアを発症すると訪れるのがつらい痛みです。この痛みを解消する方法として、ブロック注射があります。この記事では、椎間板ヘルニアの症状とともに、ブロック注射がどんな治療法かや、起こりうる副作用について解説します。

椎間板ヘルニアとは

人間の体は、首から腰にかけて脊椎で支えられています。脊椎は、いわゆる背骨ですが、細かく分けると頭のほうから順に頚椎、胸椎、腰椎、仙骨、尾骨に分けられます。脊椎は、1本の骨のようにみえますが、椎骨(ついこつ)と呼ばれる骨がブロックのように積み重なっています

また、脊椎の中には、重要な神経である脊髄(せきずい)が通っていて、体のあちこちに神経を分岐させるための軸になっています。脊椎は、脊髄を保護する役割もあります。

椎骨同士の間には、椎間板と椎間関節という関節があります。椎間板は髄核と線維輪(せんいりん)と呼ばれるやわらかな組織からできていて、背骨をつなぐクッションの役割をしています。この椎間板が飛び出すことで神経が圧迫され、痛みやしびれといった症状があらわれることを椎間板ヘルニアといいます。

椎間板ヘルニアの原因は、椎間板に負担がかかりすぎることです。椎間板はわずか10歳頃から老化を始めます。たとえば腰椎椎間板ヘルニアは、仕事や家事・育児などで中腰の姿勢が多い場合や、激しい運動を続けているなどによって腰に慢性的に負荷がかかっている場合のほか、急に重いものを持ち上げたことがきっかけになることがあります。また、喫煙や遺伝、精神的なストレスなども関与していると考えられています。

椎間板ヘルニアになるとどんな症状が出てくる?

椎間板ヘルニアの症状といえば、痛みが特徴的です。また、神経が圧迫されることでしびれが起こったり、感覚がなくなってしまうこともあります。ひどいときには、持続してしびれや痛みのために歩いたりすることができず、仕事や日常生活に大きな支障がでることもあるでしょう。

椎間板ヘルニアの症状改善にブロック注射は有効?

椎間板ヘルニアの治療で、即効性のある治療法のひとつがブロック注射(ブロック療法)です。局所麻酔剤やステロイド剤を、痛みの元となっている神経や関節そのものや、周囲に注射します。

ブロック注射は、根本的な痛みをとるだけではなく、痛みによる悪循環を取り除くことも目的となります。痛みが起こると、反射的に血流が悪くなったり、筋肉の緊張などを引き起こし、さらに痛みが悪化するという悪循環が起こります。ブロック注射の作用は一時的なものとはいえ、痛みのない時間を過ごすことで、長期的に改善していくことが期待されます。

ブロック療法には多くの種類があり、痛みの種類に応じて使い分けられています。腰椎椎間板ヘルニアのように、腰や下肢の痛みに対して行うものと、頚椎椎間板ヘルニアのように上肢の痛みやしびれ等に対して行うものがあります。さらに、原因となる椎間板そのものに注射をする場合や、腰椎の関節部分に注射をする場合もあります。

腰椎椎間板ヘルニアでもっとも用いられているのが、仙骨裂孔ブロックです。仙骨から腰の神経のまわりに麻酔薬とステロイド薬を注入します。他のブロック注射に比べると安全性が高く、ペインクリニックだけではなく整形外科でもよく用いられている治療方法です。また、痛みの緩和を専門とするペインクリニックでは、腰痛の治療に硬膜外ブロックが用いられています。硬膜は、脊髄を包んでいる膜です。硬膜の外側にある空間を硬膜外腔(こうまくがいくう)といいます。硬膜外腔に麻酔薬を注入すると、脊髄神経全体の働きが遮断され、痛みが脳に伝わらなくなります。

頚椎椎間板ヘルニアのブロック療法としては、星状神経節ブロックがあります。星状神経節は、頭や肩、腕をコントールする神経の集まりで、のどぼとけのあたりの左右にあります。星状神経節にブロック注射を行うことで、血液の改善と、栄養や酸素を供給し痛みの改善を期待します。

ブロック注射で考えられる副作用は?

ブロック注射では治療後に手足のしびれや、気分不良などが起こることがあります。しかし、たとえ起っても治療直後に起こり、一定時間経過すれば改善されることがほとんどです。そのため、ブロック注射の治療は、注射を行った後は病院の中で一定時間を安静に過ごしてもらうことになります。その時間はブロック注射の種類によって異なりますが、15分から1時間程度でしょう。

その他の副作用として、感染や出血、神経障害や麻酔薬への中毒などが考えられますが、非常にまれとされています。不安があれば、治療を受ける前に確認をしましょう。また、発熱など体調不良がある場合も事前に伝えることが必要です。

おわりに:ブロック注射は比較的身近な治療法。慢性的な腰痛や首の痛みに悩んでいる人は相談してみよう

しびれや痛みなど、生活や仕事などに支障が出ることもある椎間板ヘルニアは、整形外科ではよくみられる疾患です。治療方法のひとつであるブロック注射は、麻酔薬やステロイド薬でまず痛みをとることで、二次的な痛みの悪循環を防ぎます。

ブロック注射は多くの種類がありますが、仙骨裂孔ブロック注射は整形外科でもよく用いられています。治療後は一定時間は病院にとどまる必要がありますが、外来でも受けられる治療方法です。慢性的な痛みに悩んでいる人は、整形外科やペインクリニックなどに相談してみましょう。

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