不安神経症(全般性不安障害)を治すためにどんな薬を服用する?薬以外の治療法は?

2019/2/23

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

特定された心配や不安事ではなく、慢性的にただ漠然と何かに対して強い不安を感じる病気を不安神経症と呼びます。強い不安感によって、心と体に様々な症状があらわれるようになり、日常生活に支障をきたすことも珍しくありません。不安神経症を治すためにはどのような薬があるのか、薬以外の治療方法についてお話していきます。

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不安神経症ってどんな病気?

不安神経症とは、日常生活のなかで根拠のない不安や恐怖、心配事がつきまとう病気です。「外出先で事故に遭うのでは」「自分が病気になるのでは」といった不安を慢性的に感じ、心や体の調子が悪くなり、日常生活に支障をきたすこともあります。

もともと不安神経症と呼ばれていたこの病気は、1980年に米国精神医学会の診断基準で、パニック障害と全般性不安障害に分けられました。

パニック障害は突然おとずれる恐怖や強い不安によって、動機やめまい、呼吸困難などが発作的に引き起こされます。いつ始まったのかが明確なパニック障害に対し、全般性不安障害ははっきりしていないという特徴があります。心配事やストレスなどが関係していることが多いですが、これらは一つのきっかけに過ぎず、あらゆる出来事が不安の対象になり、いつまでも深刻に悩み、自分自身では感情をコントロールできないほどになります。

現在や過去の事象に対してではなく、未来に対しての不安が強くあらわれることが多いと言われています。また、患者数は女性の方が男性に比べて1.5~2倍多く、20歳前後で発病することが多いといわれています。

不安神経症の症状の特徴は?

不安神経症にとくに多い症状は、寝つきの悪さ、落ち着きのなさ、筋肉の緊張、過度な心配やイライラなどです。精神症状、身体症状、行動的症状の3つに分けられますが、いずれも3カ月以上、過剰な不安や心配が続くのが特徴です。

精神症状
  • イライラする
  • 不眠
  • 落ち着きがなくなる
  • 緊張状態が続く
身体的症状
  • 頭痛
  • 吐き気
  • めまい
  • 発汗
  • 頻脈
  • 口が渇く
行動的症状
  • 最悪な事態を恐れて、不安な状況を避ける
  • 最悪な事態を防ぐための準備に、生活に支障をきたすほどの時間や労力を費やす
  • 何度も安心したがる
  • 心配事を理由にして決め事ができなくなる

周囲から見たら、いつまでもクヨクヨと悩み、神経質なだけと思われがちですが、気の持ち方だけで治せるような病気ではありません。時間の無駄、解決策が出てこないなどの状況に陥りながらも、その不安を自分で払拭することができないのです。

不安神経症を治すのに使われる薬は?

この病気の治療方法には、薬物治療があります。不安症状の軽減やコントロールのため、抗不安薬や抗うつ薬を用いて治療を行なっていきます。

不安神経症の人の脳内では、神経伝達物質であるGABAやセロトニンのバランス異常が生じていると考えられているため、治療にはGABAの作用を増強するベンゾジアゼピン系抗不安薬を用います。

GABAは中枢神経系を抑制する、脳内神経伝達物質です。ベンゾジアゼピン系薬剤にはGABAの脳内作用を増強する働きがあり、ベンゾジアゼピン系薬剤がGABAの働きを強めることによって脳内の活動を抑え、不安や緊張を緩和することにつなげていきます。

これを2~4週間程度服用して不安を緩和すると同時に、脳のセロトニン量を増やすSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)といった薬も服用していきます。

不安を強く感じやすい人には、脳の偏桃体と呼ばれる部分が活性化しすぎている傾向があります。SSRIが脳内のセロトニンに働きかけるとともに、偏桃体が活性化した状態を抑える働きも確認されているため、SSRIを用いてセロトニン量や脳内の扁桃体の活動バランスを整え、不安症状の改善を目指します。

薬を使わない不安神経症の治療法もある?

不安神経症の治療方法として、薬物療法のほかに精神療法としての認知行動療法があります。

認知行動療法とは、不安や心配事に対する考え方や対処方法を学び、自らの力でコントロールを目指す方法です。環境刺激であるストレスと、その反応である感情や認知、行動の変化などが及ぼす影響を学び、生じている悪循環を断つことによって、症状の改善や問題の解決を図ります。

不安神経症になると、不安や緊張、イライラなどの感情や、頭痛やめまいなどの身体の反応を意識的にコントロールするのが難しくなります。そのため、認知行動療法ではまず、不安や恐怖のもとになる「大きな災難に遭うのではないか」などといった考えを見つけ、これを現実的・客観的に否定し、適切な考えに置き換える認知再構成を行ないます。

そして、不安や緊張状態時に陥りやすい過呼吸症状の悪化を防ぐため、呼吸を制御する呼吸訓練、不安症状をやわらげるために行なうリラクゼーション、脳波や筋電図などを見ながら、どのような状況で落ち着いたり緊張したりするかを知ることによって、リラックスする方法を身につけるバイオフィードバック法などを組み合わせて行なっていきます。

この治療方法は患者本人の努力が欠かせませんが、薬物療法と合わせて行なっていくことで、症状を緩和する効果が高いと考えられます。

おわりに:不安神経症の治療は、不安と向き合うことから

不安神経症は、特定の不安に対してだけではなく、次から次へと不安を生んでしまい、悪循環に陥りやすいと状況だと言えます。一人で抱え込まずに周囲の人間や医療機関などに相談し、なぜ自分はこのような状態に陥っているのか、不安と向き合い、適切な治療を開始していきましょう。

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