記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/3/4
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
最近、子供がしきりにおまたをかゆがり、ずっと触っているということはありませんか。子供が頻繁におまたを触るのは周囲の目が気になりますし、何よりも衛生的によくないので、原因を知ってかゆみを解消してあげたいですよね。今回は子供、特に女の子がおまたをかゆがる原因と対処法について、解説します。
子供、女の子がしきりにおまたをかゆがっている場合、小児外陰炎(しょうにがいいんえん)である可能性が高いと考えられます。
外陰炎とは、細菌や外部からの刺激の影響で、外陰部が炎症を起こしている状態です。発症すると、外陰部やおりものに以下のような特徴的な症状・変化が現れます。
小児がこのような外陰炎を発症する原因として、かくことや頻繁に触ること、自転車に長時間乗るなどの外部からの刺激がきっかけになるといわれています。また、石鹸やトイレットペーパー、下着などとの摩擦によるかぶれやアレルギー反応がきっかけとなり、発症するケースもあるとされます。
外陰炎自体は、年齢を問わずすべての女性に発症しうる病気ですが、子供の場合は外陰部の皮膚が大人に比べて弱く、女性ホルモンも少ないため発症しやすいのです。
子供がおまたをかゆがり、小児外陰炎が疑われる場合は、まずは外陰部をきれいに洗って清潔にし、一晩経っても症状が改善しないようなら小児科に行きましょう。
子供の外陰部を洗うときは、空気に触れている部分は石鹸で優しく洗い、外から見える内部は粘膜を傷つけないようお湯で軽く汚れを流すイメージで洗うのがコツです。軽症の場合、外陰部を清潔にするだけでも小児外陰炎は改善します。
すぐに小児科に行くのも良いですが、嫌がる子供を病院に連れて行くのは親にとっても大変ですから、一晩様子を見てから小児科を受診するようにしてください。
小児科の病院で受けられる小児外陰炎の治療としては、原因にあわせた症状改善のためのアドバイスとお薬の処方です。
まず、小児外陰炎の原因が下着などの外部からの刺激やアレルギー反応と考えられる場合は、下着や洗濯洗剤などを変更するよう指示を受けます。下着を通気性の良い素材のものに変えたり、かぶれの原因となっていた洗剤を使わないようにするだけでも、症状が改善する可能性が出てきます。
次に、細菌などが外陰部や腟で繁殖していることが原因と考えられる場合は、抗生物質など炎症の原因菌の繁殖を抑え、殺すためのお薬が処方されます。医師の指示に従って、外陰部を清潔にするとともに抗生物質を服用し続ければ、数日でかゆみや赤みの症状は治まってきます。
小児外陰炎の発症、再発を予防するための対策として、以下の3つに注意しましょう。
かゆみやクセでおまたを手で触ってしまうと、指に付着した細菌が感染したり、触れることが刺激になって小児外陰炎を起こしやすくなります。子供には「手は汚いし、もっとかゆくなるから触っちゃダメだよ」などとおまたを触らないように教え、こまめに手を洗わせて手と外陰部の清潔を保ってください。
外陰部を清潔に保つことは、非常に有効な小児外陰炎の予防となります。おむつをつけている場合は頻繁に取り替え、下着は通気性の良い素材にして、外陰部が蒸れて不衛生になることを極力防ぎましょう。
また、毎日のお風呂で以下のポイントに留意して陰部を洗い、清潔を保ってあげてください。
なお、お風呂あがりにはタオルで押さえるようにやさしく外陰部を拭いてから、しっかり乾かしてから着替えをさせることも大切です。
自分でトイレをする年齢の子供には、トイレでの拭き方の指導も小児外陰炎予防の有効的な対策になります。おしっこやうんちの後に外陰部やおしりを拭くときは、おしりの方から外陰部の方へ向けて拭くと、外陰部に細菌感染が起こる原因となります。トイレのときは、必ず「前から後に向けて拭く」よう、教えてあげてください。
子どもがしきりにおまたをかゆがってかいてしまうなら、外部からの刺激や細菌感染で、小児外陰炎を起こしているかもしれません。小児外陰炎は、全年代の女性が発症し得る皮膚疾患ですが、刺激に弱く女性ホルモン量も少ない子供は、特に発症しやすいといわれています。
子供に外陰炎のような症状がみられたら、小児科で適切な治療を受けさせましょう。また治療と並行して、この記事を参考に予防・再発の対策もしてあげてください。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。