心肺蘇生がうまくいっても後遺症が残ることがあるって本当?

2019/4/22

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

事故や突然の病気で心肺停止に陥った方が一命を取りとめても、後遺症が残ることがあります。この記事では、後遺症が残ってしまう理由を解説するとともに、後遺症の程度を軽くする一助となる心配蘇生法をご紹介します。

心肺停止から回復しても後遺症が残るのはどうして?

心臓は、全身に血液を送り出すポンプの役割をしています。心臓につながる大動脈の上側からは、左右の手につながる血管と、脳に血管を送っている血管が分岐をしています。血液は循環することで、各組織に酸素や栄養を渡し、不要になった二酸化炭素や老廃物を回収して、分解や排出をする臓器に運びます。

心肺停止によって心臓から送り出される血液が止まると、あちこちの臓器に送るはずの酸素が不足します。特に、脳は障害を受けやすい臓器です。脳へ酸素が供給されなくなると、数秒以内に意識が消失します。さらに、数分間心停止すれば、たとえ血流が再開しても脳障害が起こる可能性があります。

後遺症を残さないためにできることは?

脳の損傷を少しでも小さくするためには、心臓をいかに早く蘇生させるかということと、適切な治療が受けられるまで、いかに血流を保っておけるかが大切になります。そのためには、心肺停止を確認したら、できるだけ早く心臓マッサージを始めることが大切です。また、近くにいる人に応援を頼み、救急車の要請とAED(自動体外式除細動器)を探して持ってきてもらうことも欠かせません。

AEDは電極パッドを装着して、電気ショックを与えて心臓の動きを正常に戻すことを目的とする機械です。電源を入れれば音声で指示があります。落ち着いて指示に従えば一般の人でも十分に使える機械になっているので、ためらうことなく使うことができます。

また、心臓が動き出した後は、蘇生後ケアと呼ばれる治療に移ります。心臓が動いても、十分に働いているとは限りません。人工呼吸器や体温の管理、薬物療法などの対応が必要なため、できるだけ早く医療機関に搬送することが大切です。

心肺蘇生方法を知ろう!

突然の心肺停止は、いつどこで、誰に起こってもおかしくはありません。スポーツをしている途中に、ボールが胸にあたって命を落とすという痛ましい事故も起こっています。多くの人が心肺蘇生法を知っていることが、誰かの命を救うことにつながるかもしれません。

心肺蘇生方法の流れは次のようになります。

  1. 「大丈夫ですか!」と呼びかけて反応をみます
  2. 何の応答も、ジェスチャーもないときは、周囲の人を呼び、119番通報で救急車を呼ぶことと、AEDを探して持ってくるよう依頼します
  3. 胸や腹部に手のひらをあてて、呼吸をしているかどうかを確認します。呼吸がない場合は、心臓マッサージを行います。また、不規則な、しゃくりあげるような呼吸をしている場合も、心臓マッサージが必要です
  4. 両手を重ねて胸の真ん中に置き、少なくとも5センチぐらい沈むように強く押します。1分間あたり100~120回とリズムよく行います。できるだけ継続するために、心臓マッサージも周りの人と交代しながら行えると良いでしょう
  5. 感染防護具があるときには、人工呼吸を組み合わせます。気道を確保し、心臓マッサージ30回に対して、人工呼吸を2回行います。特に、窒息や水に溺れたとき、子供の場合には、人工呼吸を組み合わせることが望ましいとされていますが、防護具がない場合や、直接口をつけることに抵抗がある場合は、準備に時間がかかる場合には、心臓マッサージのみを継続します
  6. AEDが届いたら、AEDのケースのふたを開け電源をいれて指示に従います
  7. 電気ショックが終わったら、再び反応を確認し、反応がなければ救急車が来るまで3〜7を繰り返します

心肺蘇生法は、医師会や消防署、日本赤十字社のほか、講習を専門とする会社や、AED機器を販売している会社などが行っています。企業や学校向けだけではなく、一般の人が参加できるものもあります。知識では理解していても、いざというときに身体を動かすことは難しいものです。できれば、実際に研修に参加して体験してみましょう。

おわりに:後遺症のリスクを下げるには、できるだけ早くに心肺蘇生をする必要がある。いつでもできるように備えておこう

心肺停止から回復しても、重い後遺症が残ることがあります。特に脳は損傷を受けやすい臓器であり、身体の麻痺だけではなく、言語障害や記憶障害など、生活が大きく変わるような障害を遺すことがあります。心肺停止は、どこで誰に起こってもおかしくはありません。レジャーやスポーツでも起こる可能性があるのです。心肺蘇生法は、だれでもができるようになっておくことが望ましいといえるでしょう。

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