体の中で一番太い血管、大動脈について知ろう!

2019/4/9

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

心臓から送り出された血液が最初に通る血管である大動脈。実はこの大動脈、人間の体の中で最も太い血管であることをご存知でしょうか。この記事では、大動脈の特徴を紹介したあと、加齢や動脈硬化が原因で発症する病気、大動脈瘤の症状や治療法について解説していきます。

体内で最も太い血管、大動脈とは

大動脈は、心臓から送り出された血液が最初に通る血管です。胸から腹部にかけて縦に長くのびていて、胸の部分を胸部大動脈、お腹の部分を腹部大動脈といいます。胸部大動脈と腹部大動脈は、横隔膜を境に分けられています。

胸部大動脈はさらに細かく分けられ、それぞれ大動脈基部、上行大動脈、弓部大動脈、下行大動脈と呼ばれています。心臓を出た血液は、まず上行大動脈を通ってから弓部大動脈でカーブし、下降して腹部大動脈に流れます。弓部大動脈から分岐をした血管は脳や腕に血液を送り、腹部大動脈からは肝臓や胃腸、腎臓といった側方や両側の足に血液を送るように分岐します。

大動脈にできるコブの正体は?

大動脈にコブ状のふくらみ(瘤)ができることを、大動脈瘤といいます。大動脈瘤の多くは、動脈硬化が原因と考えられています。動脈硬化は、血管に脂質がたまったり、血管の柔軟性が失われたりしていくことをいいます。

心臓は、血液を全身に送り出すためのポンプです。特に、心臓から最初に送り出された血液は力強く流れ出し、血管に負担がかかります。そのため、大動脈の血管壁は柔軟性と厚みがあり、強い血圧にも耐えられるような構造をしています。しかし、加齢や、高血圧、脂質異常、糖尿病などの生活習慣病、喫煙などによって動脈硬化が進むと、高い血圧に対して耐えきれない部分が生じることがあります。血管がふくらんだり、内側から裂けて膜と膜のあいだに血液がたまったりすることで大動脈瘤が生じます。

大動脈瘤にもいくつかの種類があります。血管が左右対称に膨らむ状態を紡錘状(ぼうすいじょう)瘤、血管の一部が外側にふくらみ袋状になるものを嚢状(のうじょう)瘤といいます。また、血管が厚みを保ったままふくらむものを真性瘤といいます。何らかの原因で大動脈の血管が裂ける病気を大動脈解離といいますが、血管の内側が裂けて、血管壁の中に血液が流れ込むことで膨らむものを解離性瘤といいます。

大動脈瘤はどこにできる?

大動脈瘤は、大動脈のどこにできたかによって、細かく分類されています。

上行大動脈にできたものは上行大動脈瘤、弓部大動脈にできたものは、弓部大動脈瘤と遠位弓部大動脈瘤、下行大動脈にできたものは下行大動脈瘤といいます。また、胸部と腹部にわたった大動脈瘤は、胸腹部大動脈瘤、腹部にできたものは腹部大動脈瘤と呼びます。

このように細かく分類するのは、大動脈瘤ができた部位によって症状や治療方法が変わってくるためです。

大動脈瘤に気づくには?

大動脈瘤は、特に小さいときは自覚症状がほとんどありません。大動脈瘤が大きくなってくると、近くの神経を刺激して症状があらわれることがあります。

胸部大動脈の近くには、反回神経という大きな神経があります。反回神経は、声帯の動きや飲み込みに関わる神経です。大動脈瘤が大きくなって神経の働きを邪魔すると、声を出しにくくなったり、飲み込みにくくなったりする症状が起こることがあります。

一方、腹部大動脈瘤は痩せている人の場合だと外から触って膨らみに気づくことはあります。ただ、その場合もほとんど自覚症状がなく、腫れる直前までわからないこともあります。

いずれの大動脈瘤も、健康診断のレントゲンやエコー検査で偶然見つかることも少なくはありません。大動脈瘤の早期発見には、定期的な健康診断が大切な役割を果たしているのです。

おわりに:大動脈の病気にかかると深刻な状態に陥ることが多い。定期的な検診と生活習慣の見直しを徹底しよう

大動脈は、人間のからだの中でもっとも太い血管です。もともとは柔軟性が高く、厚みのある構造をしていますが、加齢や生活習慣などで、ずっとその状態を保ち続けるのが難しくなります。何らかの原因で、大動脈にふくらみ(大動脈瘤)ができ、破裂して大出血を起こせば命にかかわることもあります。大動脈瘤は、かなり大きくなるまで自覚症状がほとんどないといわれます。定期的に健康診断を受けてチェックすることが、病気の治療・予防に大切な役割を果たしているといえます。

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