血液透析ってどんなもの?具体的な方法や注意点は?

2019/4/5

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

腎不全になると、本来尿として排出されるはずの不要なものが体内に留まり続けるため、貧血や心臓の病気といったさまざまな病気を発症するリスクが高くなります。こうした状態を防ぐために行うのが血液透析です。
この記事では、血液透析の方法を紹介するとともに、この治療を受けることになったらどんなことに気をつけるべきかを解説します。

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血液透析とは

血液透析とは、腎臓の機能不全によって有害な老廃物が腎臓で除去できなくなった場合に、血液を浄化するために行われる治療法です。

腎臓は、老廃物を排泄するための尿を作る働きがあることは知られていますが、このほかにも血圧を調節したり、水分や電解質などの体の中のバランスを整えたり、ビタミンDを活性化させて骨を丈夫にしたりと、私たちの体を正常に保つためにさまざまな働きをしています。

しかし腎臓の働きが悪くなると、体のむくみや血圧の上昇、貧血といった症状があらわれます。進行すると心臓の働きが悪くなったり、意識障害や呼吸困難などを引き起こしたりして、死に繋がるケースも珍しくありません。

このような状況にならないために血液透析を選ぶ患者は多く、末期腎不全の治療法として主流となっています。一般的な血液透析の場合、1週間に2~3回、透析を行なっている施設に通い、4時間程度かけて血液を浄化します。

血液透析の具体的な方法は?

血液透析は、体内にある血液を外部へ出し、機械を通して浄化を行なってから、再び体内に戻します。この治療では、1分間に約200mlの血液を取り出す必要があり、これを長時間行なうには普通の血管だけでは確保できません。そのため、利き腕と反対側の手首に近い部位、または親指の付け根に血液の出入り口を作る必要があります。これをシャントと呼びます。

血液透析は1週間につき決まった回数行なわれるもので、シャント部に血液を外部に出すための針と、浄化した血液を体に戻すための針を刺して行ないます。最初は低い血液流量から始め、徐々に患者個人に合った血液流量まで増やしていきます。

体内から抜き出された血液は、ダイアライザーと呼ばれる人工の腎臓に送られ、余分な老廃物や水分を除去し、再び体内へと戻っていきます。この循環を、予定した水分量が体内から引き出されるまで続けます。

シャントってどんなもの?

シャントとは、手術によって静脈と動脈をつなぎ合わせて太い静脈にしたものです。利き腕と反対側の手首に近い部位、もしくは親指の付け根に作ることが多いです。その理由として、作成が容易なことやトラブルが少ないこと、針を刺す部位が広くとれることなどが挙げられます。

シャントを作る手術は局所麻酔で行なわれ、おおよそ1~2時間で終わります。多くの場合、この手術は局所麻酔で行われますが、より広い範囲に麻酔が行きわたる伝達麻酔で行なうこともあります。

手術では、まず数センチほど皮膚を切開し、動脈と静脈を繋ぎあわせたあと、皮膚を閉じます。動脈の血液の一部を静脈に直接流し込むことにより、静脈を太くします。動脈から静脈に流れる血流が徐々に増加し、血管も太くなることで、血液透析をするために最適な血管になるのです。

血液透析を開始するのは、シャント作成手術を行ってから2週間以降が良いとされていますが、患者の状態や血液透析を行なう施設によって期間は異なります。

血液透析を始めたら、食事に気をつけよう

本来腎臓は1日24時間休みなく働いているものですが、血液透析が必要となる患者さんの場合、健康な人と比べて腎臓の働きが限られています。一般的に、血液透析は1週間に約12時間程度しか行なわないため、腎臓の働きに頼らなくても体調を維持できるよう、食事面で以下のような制限が必要です。

カリウムの制限

カリウムは、私たちの生命を維持するために必要不可欠なミネラルの一種で、体内の水分調節に役立っています。しかし血液透析が必要な方の場合、カリウムは体内に蓄積し続けます。

カリウムが蓄積されていくと高カリウム血症を引き起こし、手足のしびれやろれつがまわらない、胸が苦しくなるといった症状があらわれます。

カリウムは果物、生野菜、芋類、肉類に多く含まれています。野菜は水にさらしたり、ゆでたりすると、カリウムを半分程度に減らすことができます。果物の中でも、ドライフルーツにはカリウムが濃縮して含まれているので食べないようにしましょう。

塩分と水分の制限

塩分を摂り過ぎると、むくみや高血圧を引き起こしやすく、心臓の負担が大きくなります。さらに、塩分の摂り過ぎによって喉が渇き、水分の摂り過ぎにも繋がっていくため、十分に注意しましょう。

禁煙と禁酒

喫煙をしていると、そうでない人に比べて様々な病気のリスクが高まりますが、血液透析を行なっている患者で喫煙している場合は、さらに動脈硬化を引き起こしやすいと言われています。

また、血液透析を行なっていると塩分と水分の制限が必要なため、アルコールを飲んでいると過剰に水分を摂取することになったり、アルコールと一緒に食べるおつまみで塩分を摂り過ぎたりする可能性があります。

血液透析を始めたら、禁煙と禁酒に努めましょう。

おわりに:血液透析を行うようになったら、食事や飲酒・喫煙の習慣を見直しましょう

血液透析は末期腎不全の方を対象に行う治療法で、腎臓の代わりに血液をろ過する役割を担っています。1週間につき数回、定期的に行わないと体のむくみや貧血などを引き起こすため、欠かさずに病院へ通うことが大切です。また、通院と同様に大事なのが生活習慣の改善です。カリウムや塩分量を控えた食事を心がけるとともに、飲酒や喫煙などの習慣をお持ちの方は、これを機にやめるように努力しましょう。

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