記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/5/7
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
C型肝炎がどんな病気かご存知ですか?C型肝炎という言葉は聞いたことがあっても、詳しく知っている人はあまりいないと思います。今回はどういった症状が出るのかや、治療薬は出ているのかといったことをまとめました。
C型肝炎は感染症のひとつで、日本で一番多い肝臓病と言われています。現在は予防方法が確立されていますが、それでも肝臓病の約60%がC型肝硬変やC型肝炎となっています。
現在は、輸血前の血液チェック、注射針などの医療器材の再使用の禁止などが徹底されており、新しくC型肝炎にかかる方はほとんどいません。しかし、C型肝炎ウイルスに感染すると、約70%もの人が完治することがなく、正常な肝臓細胞に広がり続けます。
また、C型肝炎ウイルスに感染すると20~30年間かけて慢性肝炎や肝硬変を引き起こし、高い確率で肝臓がんを発症します。もし感染したら、早期治療でC型肝炎ウイルスを駆除することが肝心です。
C型肝炎ウイルスの怖いところは、感染しても慢性肝炎に進行するまでは大きな自覚症状がないことです。
上記のような症状が出る方も多いのですが、これらはストレスがたまったり、疲れているときでもみられる症状なので、「C型肝炎だ!」と分かる方は少ないです。さらに、このような症状すらまったく出ない方もいますので、健康診断などで一度「肝炎ウイルス検査」を受けるのがおすすめです。
また、C型肝炎が進行して肝硬変になると黄疸が出たり、手の平が赤くなるといった症状が出始めます。
ちなみに肝臓がんを合併して発症しても、初期段階ではほぼ症状が出ませんが、進行すると発熱や腹痛の症状が出ることもあります。
C型肝炎にかかった場合、治療法として進行を遅らせる「肝庇護療法」や、インターフェロンを使った「抗ウイルス療法」が主流でした。現在は更に進化した治療法が現れています。ここでは「肝庇護療法」と「抗ウイルス療法」ついてご説明します。
30年以上前からある治療法で、主に内服薬「ウルソデオキシコール酸」と、注射「強力ネオミノファーゲンシー」を投与します。
肝炎の進行を遅らせることができますが、C型肝炎ウイルスを駆除する力はありません。完治を目指す治療ではないため、人によっては肝庇護療法を受けても、肝硬変まで進行する場合もあります。
C型肝炎ウイルスを駆除する根本治療です。主にインターフェロンを投与します。1992年から始まった比較的新しい治療法ですが、ウイルスが消える割合が低く、高齢者や貧血の人、肝硬変まで進行した人などには使うのが難しい治療法です。
さらに、インターフェロンを使った治療には倦怠感や発熱といった副作用が出るというデメリットもあります。これに対処するため、現在も抗ウイルス療法を用いている病院は、インターフェロンを使った抗ウイルス療法に、シメプレビルやリバビリンなどの内服薬を併用した治療を行っているところもあります。
現在、インターフェロンを用いず、飲み薬でC型慢性肝炎や肝硬変を治療する方法が確立されました。C型肝炎ウイルスが駆除できる「直接作用型抗ウイルス剤(DAAs)」という飲み薬が現れたからです。
DAAsは “direct acting antivirals” の略で、副作用がほぼなく、治療期間も短いです。また、ウイルスの駆除率が100%に近いことも魅力のひとつです。
さらに、年齢や性別に関係なく、ウイルスを陰性の状態に保つことができます。この薬のおかげで、C型肝炎はほぼ完治する病気、と言えるようになりました。
以前は、C型肝炎は完治が難しい病気でしたが、現在は治療法が確立しています。日本でも徐々に治療法が浸透していますし、感染予防対策も整っているので、今後はC型肝炎罹患率が下がっていくと思われます。C型肝炎は早期発見・早期治療が大切です。何の症状がなくとも、一度肝炎ウイルス検査を受けておくと安心です。