記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/4/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
神経因性膀胱とは、中枢、末梢神経に異常がみられた結果起きた排尿障害です。この記事では、神経因性膀胱を発症したときにみられる症状や治療法などを解説します。
神経因性膀胱とは、脳血管障害、脊髄障害、神経変性疾患などの中枢、末梢神経の変化が原因となって発症する下部尿路機能障害の総称です。
神経因性膀胱になると、障害が起こっている神経の場所によりあらわれる症状が異なります。症状を大きく分けると、仙髄より中枢の神経が障害される上位型と、仙髄より抹消の神経が障害される下位型に大別されます。
上位型は痙性神経因性膀胱といい、膀胱が過敏な状態になるため、頻尿や尿失禁などの蓄尿障害による症状がみられます。一方、下位型は弛緩性神経因性膀胱といい、膀胱が伸びきった状態になっていて縮むことができなくなります。症状として尿意を自覚できない、尿が出なくなる尿閉、膀胱容量がいっぱいになって尿が溢れ出てくる尿失禁(溢流性尿失禁)などがみられます。
神経因性膀胱を発症する原因は脊髄や脳の異常です。脳梗塞や脳出血といった脳血管障害、パーキンソン病や多発性硬化症といった神経変性疾患、脊髄損傷、支給や直腸の骨盤内手術後、糖尿病などが、異常を引き起こす原因となります。また、このほかにも加齢が神経因性膀胱の原因となることもあります。
神経因性膀胱の治療は、症状やどの神経が原因で排尿障害が起こっているかによっても異なりますが、基本的には出現している症状を改善するための治療が行われます。
畜尿障害の場合、骨盤底体操や膀胱訓練、膀胱が過敏な状態であるため緊張を和らげる抗コリン薬等を使った薬物療法を行います。
一方、排尿障害に対しては、尿の勢いを強くすることを目的として排尿訓練を行います。これは排尿時に手で下腹部を圧迫し、腹圧も利用して排尿が出るように促すものです。そのほか、薬物療法として、排尿筋の収縮力を強くする目的で副交感刺激薬を使用したり、尿道括約筋の緊張が強いときはα遮断薬を使用して尿の出口の緊張を緩めたりします。
このような薬物治療を行っても症状が改善されない場合、自己導尿を行います。自己導尿とは、専用のカテーテルを用いて尿道から膀胱に挿入し、1日数回、自分で尿を体外に出す方法です。
しかし、何らかの理由で自己導尿を行うことが困難である場合には尿道カテーテルを留置する方法や膀胱拡大術、経尿道的手術などの外科手術を行うこともあります。特に排出障害がある場合は、自己導尿やカテーテル留置の対象になることがあります。
神経因性膀胱は、脳神経系の異常によって排尿に障害が生じます。障害された神経が上位か下位かによって、出現する症状や治療方法が異なります。そのため、神経因性膀胱の症状が出現しているかもしれないと考えられる場合には医療機関を受診し、症状に合う治療を受けましょう。