過活動膀胱を治療するための薬は?薬を使わない治療法もある?

2019/5/17

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

急なな尿意を我慢できなくなったり、さっきお手洗いに行ったばかりなのにまた行きたくなってしまったり…。このような症状のことを過活動膀胱と呼んでいます。このような症状が出てきた場合、どんな薬を服用することになるのでしょうか。薬を使わない治療法とあわせて解説していきます。

過活動膀胱ってどんな病気?

過活動膀胱は、頻繁に尿意をおぼえてトイレに行きたくなってしまったり、我慢しきれずに尿漏れをおこしてしまったりする病気です。これは、尿を溜めている膀胱という器官のはたらきが過敏になることで、尿意や排尿のタイミングのコントロールを失ってしまうことによっておこります。

尿意が急に起こり、我慢できなくなってしまう「尿意切迫感」や、トイレが近くなってしまう「頻尿・夜間頻尿」、トイレまで尿を我慢できず漏らしてしまう「切迫性尿失禁」といった症状が挙げられます。

「頻尿」かどうかは、なかなか自分では判断しづらいところもありますが、昼間の場合は1日8回以上、夜間の場合は1回でもトイレのために起きるのであれば「頻尿」と判断できるようです。

過活動膀胱を発症する原因は?

過活動膀胱は、主に、神経のトラブルが原因の「神経因性過活動膀胱」と神経トラブル以外が原因の「非神経因性過活動膀胱」に分けられます。

「神経因性過活動膀胱」は、脳と膀胱(尿道)を結ぶ神経のトラブルが原因で起こるものです。脳血管障害・パーキンソン病・多系統萎縮症・認知症・脳腫瘍などの脳の障害、そして脊髄損傷・多発性硬化症・脊髄腫瘍・頚椎症・脊髄血管障害などの脊髄の障害が主な原因となります。

一方、「非神経因性過活動膀胱」の原因として、下部尿路閉塞、加齢、骨盤底の脆弱化、原因が特定できない突発性のものなどが挙げられます。なかには、男女の性別の違いによって起こりやすいものもあります。たとえば男性の場合、加齢によって男性ホルモンのはたらきが乱れることによって起こる前立腺肥大症、女性の場合は加齢や妊娠・出産などによって起こる骨盤底筋の損傷などがあります。

過活動膀胱を治すための治療薬は?

過活動膀胱の治療は、主に薬を用いて行われます。代表的なのは、膀胱のまわりにある排尿筋をゆるめて膀胱を拡げる抗コリン薬(抗ムスカリン薬)です。このほか、ポラキス®︎錠、バップフォー®︎錠、ブラダロン®︎錠などがあります。それぞれの薬には特徴があり、当然副作用の危険性もあります。

たとえば、ポラキス®︎錠は有効性が高いというメリットをもつ反面、便秘や口の乾きなどが起こりやすい副作用があります。バップフォー®︎錠は作用時間が長く、ポラキス®︎錠よりは副作用が少なくなります。ブラタロン®︎錠は比較的軽めの症状に使われる薬で、副作用も少ないといわれているようです。

また、尿路が狭くなることによって起こる過活動膀胱の場合、尿道を拡げる交感神経遮断薬(α受容体遮断薬)と呼ばれる薬が使われます。排尿困難だけでなく、頻尿や尿意切迫感にも効果がある薬で、エブランチル®︎カプセルやハルナール®︎カプセルなどが代表的です。エブランチル®︎カプセルには血管を広げる効果があるため、高血圧の薬などにも用いられていますが、立ちくらみや尿失禁などの副作用があります。

また、ハルナール®︎カプセルは比較的副作用が少ない薬ですが、前立腺肥大症のときにしか保険適応されないため、女性が服用することができません。

薬以外の治療法もある?

薬以外の治療法として、まず「行動療法」があります。「行動療法」とは、食事や運動によるトレーニングなどの療法です。たとえば、肥満や便秘を改善するための生活指導、骨盤底筋を鍛えるためのトレーニング、尿を我慢して膀胱の容量を増やす膀胱訓練、皮膚から電極を流して骨盤底を刺激する干渉低周波療法などがあります。

また、2013年6月に厚生労働省の薬事承認を受けた、「磁気刺激療法」という新しい治療法もあります。「磁気刺激療法」とは、急速な磁場の変化によって骨盤底領域に電流を起こし、骨盤底領域の神経を刺激する治療法です。そして、「仙骨神経刺激療法(SNM)」とは、排泄に関する神経に持続的に電気刺激を与える治療法です。心臓ペースメーカーのような装置を体内に埋め込み、症状の改善を図ります。

おわりに:行動療法や磁器刺激療法など、薬物を使わない治療法もある

過活動膀胱の治療は、薬物治療がメインです。さまざまな特徴をもつ薬を使い分け、治療を行います。しかし原因が特定できないケースがあることもふまえ、「行動療法」「磁器刺激療法」「仙骨神経刺激療法(SNM)」など、他のアプローチを用いることがあります。

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