アミノグリコシド系の抗生物質が使われるのはどんなとき?

2019/6/2

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

抗生物質には色々な種類があり、その中でもアミノグリコシド系の抗生物質は淋病などの細菌性の病気に効果を発揮します。今回はアミノグリコシド系の抗生物質の特徴や殺菌方法、そして副作用などをご紹介します。

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アミノグリコシド系抗生物質とは

アミノグリコシド系抗生物質は、細菌が繁殖するために欠かせないタンパク質の合成を阻害する薬です。

細菌のタンパク質合成は、リボソームという器官で行われます。細菌のリボソームは30Sと50Sに分類されますが、アミノグリコシド系抗生物質は30Sサブユニットに作用してタンパク質合成を阻害します。薬剤の種類によって、抗菌作用が及ぶ場所が異なるのも特徴のひとつです。

アミノグリコシド系抗生物質の作用は?

アミノグリコシド系抗生物質は抗菌作用がありますが、どの薬を使うかによってどの部位にその作用をもたらすかが変わります。たとえば、結核の原因となる細菌に対してはストレプトマイシンなどを、淋菌感染症の原因菌にはスペクチノマイシンなどを使います。

主なアミノグリコシド系抗生物質の治療薬は?

アミノグリコシド系抗生物質が含まれる治療薬を病気別にご紹介します。

結核菌

ストレプトマイシン、アミカシン、カナマイシン、硫酸ストレプトマイシンなど

非結核性抗酸菌症

硫酸ストレプトマイシン

結核菌以外にも抗菌作用があるもの

カナマイシン

淋病

スペクチノマイシン、トロビシン

緑膿菌(尿路感染症や呼吸器感染症などの原因菌)や感染性心内膜炎

ゲンタシン

MRSA(MRSA感染症の原因となる菌)

アルベカシン、ハベカシン

硫酸カナマイシンやカナマイシンの場合、注射剤タイプは結核などに、内服薬タイプは赤痢菌や大腸菌による腸管感染症に使われています。

また、硫酸カナマイシンやカナマイシンは、肝障害における肝性脳症などへも用いられています。これらは腸内でアンモニアを生み出す細菌を殺菌する力があるからです。結果的に脳にアンモニアが移行するのを防ぐことができるため、肝性脳症による高アンモニア血症も改善します。

アミノグリコシド系抗生物質の副作用は?

アミノグリコシド系抗生物質を使用すると副作用が起きることがあります。

過敏症状

発熱や発疹、痒み、皮疹などが出ることがあります。

腎機能障害

頻度としては少ないですが、腎機能障害が起きることがあります。症状としては、ほぼ尿が出ない、尿量が少ない、むくみ、発疹、体がだるいといった症状が出ます。これらの症状が出た場合は、すぐに医師などに相談してください。

脳神経障害

頻度は少ないですが、脳神経障害による難聴が起きることがあります。耳がつまった感じ、聞こえづらい、ふらつく、耳鳴りがするといった症状が出た場合も、速やかに病院に行きましょう。

おわりに:アミノグリコシド系抗生物質は結核や淋病などに効果を発揮する抗生物質です

アミノグリコシド系抗生物質は、さまざまな細菌性の病気に使われるものです。しかし、副作用もありますので、内服薬をもらった場合なども、必ず医師の指示通りに飲みましょう。また、持病や日々飲んでいる薬などがある人は、医師や薬剤師に伝えておくことが大切です。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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