記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/7/2
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ニューキノロン系抗生物質は、呼吸器系や耳の病気だけでなく、女性の膀胱炎治療の際にも使われる薬です。この記事では、ニューキノロン系抗生物質の特徴や種類、起こりうる副作用について解説します。
ニューキノロン系抗生物質は、抗菌作用をもった薬の一種です。グラム陰性菌、陽性菌、マイコプラズマなど、さまざまな菌に対抗することができます。腎臓から排せつされる薬が多いため、女性の膀胱炎など、尿道や腸管の感染症にも使われる薬です。
この抗菌作用は、細菌の増殖に必要な酵素を阻害することによってもたらされます。細菌の増殖にはタンパク質の合成が必要ですが、それにはDNAという遺伝情報を持つ物質が不可欠です。このDNAを複製するときに必要となる酵素、DNAジャイレース(DNA gyrase:トポイソメラーゼⅡ)Aサブユニットを阻害することで、結果的に菌の増殖を阻害することができます。
しかし、ニューキノロン系抗生物質は値段が高く、抗生物質が効かない「耐性菌」を出現させてしまう可能性もあるため、必要最小限の使用にとどめるよう指導されています。さらに、光線過敏症といわれる肌の異常や、Ca2+、Fe2+などの金属類との併用による効果の減弱、NSAIDs(フェニル酢酸系のフェンブフェン、プロピオン酸系)との併用によるけいれんの増強などにも注意が必要です。
呼吸器感染症、耳鼻咽喉科領域感染症などの治療に用いられます。特に、肺炎や中耳炎の原因となる肺炎球菌の治療薬として、効果がある薬とされています。
呼吸器感染症、副鼻腔炎、皮膚感染症、外傷・熱傷・手術創の二次感染などの治療に用いられます。腎機能への負担が少ないため、腎機能に障害がある患者でも比較的安全に投与できるとされていますが、一方で、致死性不整脈につながるQT延長症候群を引き起こす可能性も指摘されています。心血管系疾患をもつ患者は、注意が必要です。さらに、失神やめまいを引き起こす可能性もあり、自動車の運転などの制限があります。
肺炎、中耳炎などの治療に用いられます。数少ない小児への投与が可能なニューキノロン系の抗生物質で、小児用の細粒剤があります。
皮膚感染症、呼吸器感染症、泌尿器感染症、耳鼻科領域の感染症、眼科領域の感染症など、広い範囲の感染症に用いられます。呼吸器感染症や尿路感染症の原因となる、緑膿菌に特に効果がある薬とされています。
皮膚感染症、呼吸器感染症、泌尿器感染症、婦人科感染症、眼科感染症、耳鼻科感染症、歯科感染症など広い範囲の感染症の治療に用いられます。臨床現場で長い期間使用実績があり、比較的安全性が確立されている薬剤です。そのため、長期投与が必要な場合などに用いられています。さらに、飲み込む力が弱った患者も服用できるよう細粒剤も製造されています。
ニューキノロン系抗生物質には、病気の治療につながる効果がありますが、一方で副作用もあるので注意が必要です。代表的なものとして消化器系の副作用があり、下痢、吐き気、食欲不振などの症状があらわれる場合があります。
さらに、頻度はまれなものの重要な副作用としては、けいれんなどにつながる中枢神経障害、QT延長症候群などの循環器系の異常、低血糖・高血糖などの血糖異常、アキレス腱炎などの腱障害も考えられるでしょう。また、Al、Mgなどのミネラル含有製剤・食品などと併用すると抗菌作用が弱まる可能性があるため、摂取の間隔をあけるなどの注意も必要です。
ニューキノロン系抗生物質は、抗菌作用をもった薬の一種です。値段が高く、抗菌薬(抗生物質)が効かない「耐性菌」を出現させてしまう可能性もあるため、必要最小限の使用にとどめるよう指導されています。
ジェニナック、アベロックス、オゼックス、シプロキサンなどさまざまな種類の薬剤があり、それぞれにメリットやデメリットが異なります。もちろん副作用もあるため、注意して使用する必要があります。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。