ケミカルメディエーター遊離抑制薬と抗ヒスタミン薬との違いは?

2019/6/6

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

アレルギー反応には、ヒスタミンやロイコトリエンなどの伝達物質が深く関わっています。この記事では、ケミカルメディエーター遊離抑制薬や抗ヒスタミン薬との違いなどをご紹介します。

ケミカルメディエーター遊離抑制薬とは

アレルギーは皮膚や粘膜に存在する「肥満細胞(マスト細胞)」の表面にあるIgE抗体が花粉などのアレルゲンと反応し、ヒスタミンなどの伝達物質が放出されることによって起こります。アレルギー反応を引き起こすロイコトリエンやヒスタミン、またトロンボキサンなどの伝達物質と呼ばれるものを「ケミカルメディエーター」といいます

ケミカルメディエーター遊離抑制薬は、これらの伝達物質の放出をさせないことによって、アレルギー反応を抑える薬で、肥満細胞の細胞膜を安定化させることにより、ヒスタミンなどが外に漏れ出ないようにするはたらきがあります。

ケミカルメディエーター遊離抑制薬と抗ヒスタミン薬の違いは?

ヒスタミンは、体内にあるヒスタミンの受容体と結びついて鼻水やくしゃみなどの症状を引き起こします。こうした症状は比較的すぐにみられるため、「即時相反応」といいます。抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンが受容体と結びつくことを防ぐとともに、すでにあらわれている症状を抑える薬であるため、即効性があることが特徴のひとつです。

ただし、鼻粘膜で鼻水などのアレルギー反応を引き起こすヒスタミンは脳の覚醒維持の役割もあるため、抗ヒスタミン薬を使用すると眠気などの副作用がみられることがあります

一方、ケミカルメディエーター遊離抑制薬は眠気などの副作用はあまりみられないことが特徴です。また、アレルギー反応が起きる前から服用してヒスタミンなどの放出を防ぐことで、症状の悪化を抑えて症状を軽くする効果も期待できます。

ただし、効果を実感できるまでに2週間程度の時間を要する場合があるため、早めの服用が推奨されます。また、抗ヒスタミン薬には第1世代と第2世代がありますが、第2世代の抗ヒスタミン薬にはケミカルメディエーター遊離阻害作用があるため、抗ヒスタミン薬とケミカルメディエーター遊離抑制薬は併用できないといわれています。

ケミカルメディエーター遊離抑制薬で起こりうる副作用は?

ケミカルメディエーター遊離抑制薬の主な副作用として、ほてり感、出血性膀胱炎などがあります。たとえば、ケミカルメディエーター遊離抑制薬のひとつである「トラニラスト®︎」では、排尿痛や頻尿、「タザノラスト®︎」という薬では、腹痛、吐き気、発疹やかゆみなどがみられることもあります。このような症状がみられた場合には、速やかに医師や薬剤師へ相談しましょう。

おわりに:ケミカルメディエーター遊離抑制薬は、伝達物質の放出を防ぐ

ケミカルメディエーター遊離抑制薬は、ヒスタミンなどの伝達物質の放出を防ぐことでアレルギー反応を抑える薬です。抗ヒスタミン薬のように即効性はありませんが、眠気を引き起こさないメリットがあります。ただし、第2世代抗ヒスタミン薬を服用している場合は併用できません。なかなか薬の効果を実感できないからといって、安易に服用するのは避けましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

ケミカルメディエーター遊離抑制薬(1) ケミカルメディエーター遊離抑制薬の副作用(1) アレルギーの薬(2)