記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/5/2
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ヒトメタニューモウイルス感染症という感染症ご存知ですか?あまり知られていない感染症ですが、感染力が強く乳幼児や高齢者、免疫力が低下している人は重症化することも……。
春に流行する感染症で、これからの時期は特に気をつけたいものです。今回はヒトメタニューモウイルス感染症の特徴や症状、治療法など予防対策や療養時のポイントも含めて解説します。
ヒトメタニューモウイルス感染症は、気管支炎や肺炎、風邪症状を伴うヒトメタニューモウイルスによって引き起こされる呼吸器感染症です。
主な感染経路は飛沫感染や接触感染で、初感染は生後6か月頃から始まり10歳までにほぼ全員が感染します。特に1~3歳の幼児間に流行しますが、一度の感染では免疫がつきにくいため、何度でも感染する感染症です。
大人にも感染し、免疫力が低い乳幼児や高齢者などは重症化することもあり注意が必要です。
ヒトメタニューモウイルスに感染すると、潜伏期間が4~6日で発熱や咳、鼻水などの風邪のような症状が起こります。通常は1週間ほどでよくなっていきますが重症化することもあり、発熱や咳の症状がなかなか治らない場合は、気管支炎や肺炎の可能性があるため注意が必要です。
ヒトメタニューモウイルス感染症は1年中発症する感染症ですが、特に3~6月に流行する春の感染症です。
主な症状は発熱や咳、鼻水などです。発熱は多くの場合4~5日程度続き、咳は1週間程度続くことがあります。
一度の感染では免疫を獲得することができず何度も感染してしまうことがありますが、年齢が上がることで症状は軽くなる傾向にあります。
ただ、ヒトメタニューモウイルス感染症はRSウイルスと間違えやすい感染症ですので、重症化させないためにも早めに受診し検査を受けましょう。
乳幼児や高齢者、免疫力が低下している方、基礎疾患として心肺疾患のある患者さんは重症化する可能性があるため、早めの受診が欠かせません。
悪化することで気管支炎や肺炎、中耳炎を引き起こすことがあり、呼吸困難や「ゼーゼー・ヒューヒュー」という、気管支喘息や気管支炎のときに起こるような特徴的な呼吸をすることがあります。
ヒトメタニューモウイルス感染症に対する特別な治療法や特効薬はありません。そのため基本的には「対症療法」と呼ばれる、発熱や咳、鼻水などの症状を和らげる治療を行います。
ヒトメタニューモウイルス感染症は、基本的には自宅で安静に過ごすことが大切です。体を冷やさないように温かくしてゆっくりと休みましょう。また、発熱が続くと汗をかき、脱水症状を引き起こすことがありますのでこまめに水分補給をして汗を拭いたり服を着替えたりすることが大切です。
発熱や咳、鼻水の症状でつらい時は、解熱剤や咳止めなどを処方して各症状を和らげるための薬を使うことがあります。また高熱が4日以上続く場合には、免疫力が低下してヒトメタニューモウイルス以外の細菌が感染している可能性があり、抗生物質による治療が必要になることがあります。
小さなお子さんがヒトメタニューモウイルスに感染した場合は、こまめに水分補給を行い、汗を拭いながらゆっくりと休ませることが大切です。
特に小さなお子さんは免疫力が低く重症化しやすいため、高熱が4日以上続く場合や、「ゼーゼー・ヒューヒュー」などの呼吸が続く場合は、再度医療機関を受診しましょう。
また、ヒトメタニューモウイルス感染症にかかっている家族がいる場合は、タオルやコップなどは別々に使用して接触感染による家族の感染に注意しましょう。
ヒトメタニューモウイルス感染症を予防するためのワクチンがないため、感染しないために予防対策を講じることが非常に大切です。
ヒトメタニューモウイルス感染症は、咳やくしゃみによる飛沫感染や気づかないうちにウイルスに触ることで感染する接触感染によって発症します。
そのため、1~3歳の子供の間で流行する保育園や幼稚園での手洗いうがいの徹底や、公園など集団感染しやすい場所を避けるなどの対策が必要です。
ヒトメタニューモウイルスは3~6月の春が流行期ですが、一年を通して感染する病気です。手洗いうがいなどは、流行シーズンだけでなく一年中徹底するようにしてください。
ヒトメタニューモウイルスはあまり知られていない感染症ですが、春に流行する風邪のような症状が特徴の感染症です。ワクチンや特効薬がないため、手洗いうがいの習慣をつけて予防することが大切です。
乳児幼児や高齢者の方は重症化することもあるため、受診後も高熱や咳が長く続く場合には、再度医療機関を受診しましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。