記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/6/1
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
過敏性肺臓炎(かびんせいはいぞうえん)という、肺の疾患をご存知ですか?今回は誰にでも発症の恐れのある肺の病気、過敏性肺臓炎について、その症状や特徴、発症の原因となるものや診断・治療のことまで、まとめて解説していきます。
過敏性肺臓炎は、過敏性肺炎とも呼ばれる肺疾患の一種で、肺の中にある小さな空気の袋「肺胞(はいほう)」や非常に細い気道「細気管支(さいきかんし)」に起こる炎症です。細菌やウイルスの感染が原因になるのではなく、抗原と呼ばれる特定の有機物、または化学物質に対して起きるアレルギー反応が原因となります。
30~50代の方に多くみられる病気です。また、春~秋にかけて発症することが多く、特に夏には発症者が増える傾向があると言われています。
過敏性肺臓炎を引き起こす抗原は人によって異なりますが、日本で多くみられるものとして例えば以下の2種類があります。
過敏性肺臓炎を引き起こす原因には、前項でご紹介したもの以外にも、以下のようなものが挙げられます。
上記のうち、最も発症頻度の高いものはトリコスポロンによる「夏型過敏性肺臓炎」と呼ばれるもので、夏に発症者数が増えるのはこのためです。
それぞれ、その人にとって抗原となる物質が肺のなかに繰り返し侵入し、肺内で炎症反応を起こすことが原因で過敏性肺臓炎を発症し、症状が現れるとされています。また、なかには過敏性肺臓炎を引き起こした原因をはっきりと特定できないケースもあるため、注意が必要です。
過敏性肺臓炎を発症したときに現れる代表的な症状は、以下の通りです。
過敏性肺臓炎を発症すると、上記のような風邪に似た症状が現れるのが一般的です。
なお、過敏性肺臓炎と風邪との違いとして、取り込める酸素量が低下したことによる乾いた咳や息切れが一緒にみられること、仕事を休むなど抗原を回避したときに症状が改善することの2つが挙げられます。
過敏性肺臓炎の診断には、まず胸部へのレントゲン撮影を行うのが一般的です。レントゲンに、過敏性肺臓炎特有のすりガラスのような陰影が写っていた場合には、過敏性肺臓炎を発症しているものと診断されます。過敏性肺臓炎の診断後は、血液検査で原因となり得る抗原への抗体の有無を調べて、抗原の種類を特定していきます。
過敏性肺臓炎の治療の基本は「抗原を避けた生活をすること(抗原回避)」です。このため、まずは入院して症状の改善を図ってから、自宅や勤務先など滞在時間が長い環境下で、症状がどのように変化するかを見て抗原となる場所・環境を特定します。発生源を特定したら、できるだけこれを回避し、安全で快適な生活を送れるよう、自宅の改築や引っ越し、転職も視野に入れた対策を医師と検討することになります。
なお、過敏性肺臓炎の症状があまりにも重篤な場合は、症状軽減のためにステロイド薬による治療を行う場合もあります。どのような治療を行うかは、その人が抗原としている物質や環境、症状の程度によっても変わります。
抗原と呼ばれる特定の有機物、化学物質が肺に入って炎症を起こすことで起こる肺疾患が過敏性肺臓炎です。アレルギー反応に近く、仕事や生活環境で触れる特定の物質に対し、肺のなかで炎症反応が起こることが原因で発症します。風邪に似た症状を発しますが、痰を伴わない乾いた咳と息苦しさ、そして特定の環境から離れると症状が軽減されることが大きな特徴です。原因の特定や詳しい治療方法については、呼吸器科の病院で相談しましょう。