葉酸代謝拮抗薬ってどんな薬?使用時に起こり得る副作用は?

2019/6/19

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

葉酸代謝拮抗薬は、主にがん治療などに使われる薬として知られています。今回は、葉酸代謝拮抗薬の種類や副作用などをご紹介します。

葉酸代謝拮抗薬とは

葉酸代謝拮抗薬とは、DNAの合成に必要な葉酸代謝酵素をブロックすることによって細胞の増殖を抑制し、抗腫瘍効果をもたらす薬です。DNAを構成している塩基には、主にグアニン、アデニン、チミン、シトシンがあり、その構造によってピリミジン塩基とプリン塩基に分かれています。

この塩基を作るのは、テトラヒドロ葉酸を生成している「ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)」の働きによるものといわれています。葉酸代謝拮抗薬は、DHFRなどのDNAの合成に必要な葉酸代謝酵素を阻害し、がん細胞などの増殖を抑制することで、抗腫瘍効果をもたらすと考えられています。

主な葉酸代謝拮抗薬は?

主な葉酸代謝拮抗薬として、以下のようなものがあります。

メトトレキサート製剤(商品名:メソトレキセート®)

葉酸代謝酵素であるジヒドロ葉酸還元酵素をブロックすることにより、抗腫瘍効果をもらたします。主に膀胱がんでのMVAC療法や乳がんでのCMF療法などに使用されます。

プララトレキサート製剤(商品名:ジフォルタ®)

タンパク質の還元型葉酸キャリア-1(RFC-1)を通して細胞に取り込まれ、長い間留まるように改良された製剤です。主に難治性の末梢性T細胞リンパ腫や再発などで使用されます。また副作用を軽減するために、ビタミンB12製剤やパンビタン®︎などの葉酸製剤などを併用するといわれています。

ペメトレキセド製剤(商品名:アリムタ®)

さまざまな葉酸代謝酵素をブロックすることにより、抗腫瘍効果をもたらします。主に悪性胸膜中皮腫(CDDP+PEM療法)や非小細胞肺がんなどに使用されます。葉酸とビタミンB12が不足する恐れがあるため、骨髄抑制がみられることがあります。そのため、パンビタン®︎などの葉酸製剤やビタミンB12製剤を併用するといわれています。

葉酸代謝拮抗薬でみられる副作用は?

葉酸代謝拮抗薬の主な副作用として、便秘、下痢、食欲不振、嘔吐などの消化器症状や、脱毛、色素沈着、発疹などの皮膚症状がみられることがあります。また、好中球減少、リンパ球減少、ヘモグロビン減少、白血球減少などの骨髄抑制がみられることがあり、肺炎や敗血症などの重篤な感染症が表れる可能性があります。また、のどの痛み、寒気、突然の高熱、むくみ、尿量減少、一時的な尿量過多などがみられた場合にはすぐに医師や薬剤師へ相談しましょう。

おわりに:葉酸代謝拮抗薬は、主にがん治療などに使用される薬です

葉酸代謝拮抗薬には、DNAの合成に必要な葉酸代謝酵素を妨げ、細胞の増殖を抑えるはたらきがあります。無秩序に細胞を増やすがん細胞に効果がある薬ですが、その反面、さまざまな副作用がみられる場合があります。もし、先にご紹介した副作用がみられたら、かかりつけの医師に相談しましょう。

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