記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/4/14
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
喘息は、妊娠中にお母さんが喘息をもっていても、きちんと管理すればおなかの赤ちゃんにはほとんど影響を受けません。しかし赤ちゃん…特に歩きはじめた赤ちゃんは、よく咳(せき)をします。それが喘息であるかどうか特定するのは簡単なものではありません。
ここでは、歩きはじめた赤ちゃんの喘息についてお話します。
喘息は、きちんと治療されないと予想外の症状を起こすことがあります。
最新の研究では、喘息をきちんと管理していなかった妊婦の30%は妊娠中にその症状を悪化させ、子癇前症や高血圧、低出生体重児といった合併症のリスクが上がるということがわかっています。一方、妊娠中も喘息をきちんと管理し続けた妊婦の25%では、喘息の症状が改善したということもわかっています。なぜ症状が悪化する人と改善する人がいるのか、たしかな理由はわかっていません。しかし喘息は、きちんと管理すれば妊娠中であっても母体と赤ちゃんのいずれにも合併症があらわれることはほとんどないということはたしかです。
赤ちゃんの喘息をみつけるのは簡単なことではありません。しかし、最初に気づくことができるのは「しつこい咳」あるいは、呼吸するときに漏れる「ゼイゼイ」という音でしょう。また、風邪がいつも長引いているなんてこともあります。
これらはみんな赤ちゃんが喘息をもっているという徴候かもしれません。
喘息は、子どもの代表的な病気のひとつであり、小児喘息の70%以上は3歳になる前の赤ちゃんです。研究によれば、小児喘息は遺伝子と生活環境に依存するといいます。言い換えれば、特定の遺伝・環境リスク因子によって喘息に罹患しやすくなってしまうということです。
このような危険因子には以下のようなものがあります。
・家族に喘息やアレルギーの既往歴がある
・アトピー性皮膚炎やその他のアレルギーをもつ
・喫煙者とともに暮らしている(妊娠中、タバコの煙に曝された)
・都市部の汚染された地域に住んでいる
・低出生体重児として生まれた
・肥満である
赤ちゃんの喘息の原因はいろいろありますが、喘息発作を起こす要因もまた個人差があります。
喘息発作の要因として、次のようなものが考えられます。
・ほこり、花粉、動物の毛
・タバコの副流煙、大気汚染、塗料の煙霧などの刺激
・風邪やインフルエンザなどの感染症
・冷たい空気
・運動
・激しい感情の動揺
3歳未満の赤ちゃんには、できるだけ喘息治療薬の使用は避けるべきとされています。これは喘息治療薬がとても強力で、薬が赤ちゃんに与える長期的な影響を懸念しているからです。ただし喘息発作が激しく、薬を服用することで得られる効果が使用に伴う危険性を上回る場合は、医師は投薬措置を施して症状が改善するかどうかをみることがあります。
歩きはじめた赤ちゃんは、行動範囲がひろがってお母さんは一時も目が離せません・・・赤ちゃんを喘息から守るためには、喘息発作を起こすアレルゲンをできれだけ取り除くことが重要となります。家の中を常にきれいに掃除する、喫煙者がいる場合は家の中や赤ちゃんのそばでタバコを吸わないようにすることも必要でしょう。あるいはペットを飼っている場合は赤ちゃんが過剰に近づいて遊ぶことがないようにすることも必要かもしれません。生活環境を整えるのは、最初はたいへんかもしれませんが、赤ちゃんといっしょに「喘息」を乗り切りましょう!