プール熱になるとみられる症状の特徴は?

2019/7/9

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

プール熱とは、別名「咽頭結膜熱」と呼ばれる急性ウイルス性感染症です。プールでの感染が多いため「プール熱」と名付けられました。今回は、プール熱とはどんな病気か?何が原因か?どんな症状が出るのか?などをまとめました。

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プール熱とは

プール熱は、アデノウイルスに感染することで発熱や結膜炎、咽頭炎などを起こす病気です。アデノウイルスには1型から7型まであり、すべてプール熱の原因菌となりますが、3型が特に多いと言われています。

プール熱は子どもがかかりやすく、ヘルパンギーナや手足口病同様、プールなどが賑わう夏に流行します。特に5歳未満の子どもがかかりやすいため、小さなお子さんがいる家庭は注意が必要です。

プール熱の主な感染経路は接触感染です。原因菌であるアデノウイルスは感染力が強く、直接触れ合ってなくても、階段の手すりやドアノブ、エレベーターのボタン、タオルなどで間接接触しても感染します。くしゃみや咳といった飛沫感染も多いです。

プール熱になると出てくる症状は?

プール熱の潜伏期間は5~7日です。その後、発熱は3~4日、喉や目の症状は約1~2週間続く場合が多いです。症状が落ち着いても、発症後7日間から14日間は咽頭(咳やくしゃみなど)でウイルスの排出が続きます。また、大便からも30日間ほどウイルスの排出が続くので、症状が消えてもしばらく注意する必要があります。

プール熱の主な症状

  • 発熱(38~39℃の高熱)
  • 咽頭炎(咽頭痛、咽頭が赤くなる)
  • 結膜炎(結膜の充血、目のかゆみ、目やに、眼痛、なみだ目)

付随して起こる症状

  • 嘔吐
  • 下痢
  • リンパ節の腫れ
  • 頭痛
  • 食欲不振  など

プール熱の治療法は?

プール熱の症状がみられたら、速やかに病院で診てもらいましょう。近年、「迅速診断キット」を用いて検査する病院が増えたため、プール熱かどうかを素早く診断できるようになっています。

ただし、プール熱は特効薬がありません。このため、「発熱した場合は解熱剤で熱を下げる」「目の症状がひどければ眼科で診てもらう」など、つらい症状に合わせた対症療法がおこなわれます。

プール熱になった際の対処法

水分を補給する

水分をしっかり取り、食欲不振による脱水症を予防します。喉が腫れて痛い場合は、乳酸菌飲料などの甘酸っぱい飲み物はしみますので、やさしい味の飲み物にしましょう。

十分な栄養

ゼリーやプリンといった硬くない飲食物は、喉に負担がかからずおすすめです。アイスクリームなどは口当たりも良く、子どもも食べやすいでしょう。果物は酸味の強いものは喉の痛みを助長しますので控えてください。

衣類や布団は少なめに

体内の熱を出しやすいように、布団は少なめにしておくと良いです。衣類も取り換えやすいものにしておき、汗に濡れたらすぐに変えると気持ちよく過ごせます。

目のケア

目やにが出る場合、柔らかいテッシュペーパーなどでやさしく拭いてあげましょう。

登校は慎重に

熱や喉の痛みといった症状が取れてしまえば、子どもは保育園や学校に行きたがると思いますが、プール熱は学校保険法で「第二種伝染病」に指定されている病気です。

登校基準は「症状が完全に取れた後も2日家で様子を見ること」となっています。登校については、病院の先生とよく相談し、慎重に決定してください。

プール熱を予防するために何ができる?

プール熱の原因菌であるアデノウイルスは1年中活動している菌です。そのため、夏以外でも感染する危険性はあります。しかし、インフルエンザのような予防接種はありませんので、日ごろからうがいと手洗いで感染を予防することが大切です。

症状が治まったあとも、約1ヶ月は大便にウイルスが出ますので、乳幼児が感染した場合、オムツ換えは手袋やマスクをし、終わったら必ず手洗いをするなどして注意してください。また、アデノウイルスは熱に弱いため、タオルやコップなどは100℃で3秒以上煮沸すると効果的です。

おわりに:プール熱を防ぐためにもうがいや手洗いが肝心!

プール熱は子どもが夏にかかりやすい病気ですが、大人もかかりますし、夏以外でも感染します。帰宅直後のうがいや手洗い、そしてプールでは洗眼、うがい、手洗い、シャワーを徹底することが大切です。万が一感染した場合、プール熱の症状が落ち着いた後もしばらくの間はウイルスが排出されるため、予防策を講じて感染拡大を防ぐことも大切です。

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