記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/6/9
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
神経痛とは炎症が起きた部分の神経に起きる発作性の痛みや、末梢神経が圧迫されて起きる痛みなど、病気やケガによる神経の痛みを指します。今回は神経痛の原因や、痛みなどが出た場合の対処法、筋肉痛との違いなどをご紹介します。
神経痛には主に肋間神経痛、顔が痛む三叉(さんさ)神経痛、腰や足が痛くなる坐骨神経痛などがあります。激しい痛みが急に出たり、おさまったりを繰り返し、痛みが繰り返されることが特徴です。
筋肉痛は運動などで筋肉が疲労し、炎症を起こした結果起こる痛みです。運動や外出した翌日に痛みがあらわれた場合、筋肉痛の可能性が高いです。また、筋肉痛は両方の足など、左右両方に出ることが多いのに対し、神経痛は体の片側など、部分的に痛みや痺れが出ます。
神経痛の中でも多いのが坐骨神経痛です。ここでは坐骨神経痛の主な原因をご紹介します。
前にかがむと痛みが出る場合は腰椎椎間板ヘルニア、腰(背中)を後ろにそらしたときに腰や足が痛い場合は腰部脊柱管狭窄症の可能性が高いといわれています。また、腰椎椎間板ヘルニアは比較的若い方が多く、腰部脊柱管狭窄症は50歳以上の方が多いです。
神経痛を伴う病気がいくつかあります。神経の痛みには大きな病気が隠れていることがありますので、神経痛が起きたら放置しないようにしましょう。
帯状疱疹は、体内に潜伏していた水疱瘡(みずぼうそう)のウイルスが、再び活性化することで起こります。肋骨のあたりなどに強い痛みが出るため、「神経痛かな?」と思って整形外科に行く人も多いです。しかし、だんだん小さな水ぶくれが帯のように出てきて、帯状疱疹と分かります。
水ぶくれは1~2週間で治りますが、ウイルスによって神経細胞が傷つけられるため、後遺症として神経痛が残る場合もあります。ほとんどの日本人が保有しているウイルスですが、ご年配の方や疲れている方など、体の免疫が落ちていると発症しやすい病気です。
糖尿病は膵臓でつくられるインスリン量が低下し、血糖値が長期間高い状態になる病気です。慢性的に高血糖が続くと、運動神経や知覚神経が損なわれ、手足に痺れや痛みが起きることがあります。これが「糖尿病性神経障害」です。症状が進行すると足の筋肉が萎縮し、力が入らなくなってきます。顔面神経麻痺が起きることもあるので注意が必要です。
手の関節にある「手根管」は、トンネルのようになっています。その中に正中神経と腱が通っていますが、正中神経が手根管で慢性的に圧迫されると、親指から薬指にかけて痛みや痺れが出ることがあります。
パソコンをよく使う方、机に座った時の姿勢が悪い方によくみられる病気です。また、妊娠や出産で体がむくみ、そのせいで神経が圧迫されて起こることもあります。
これらの病気に加え、「腰椎椎間板ヘルニア」や「腰部脊柱管狭窄症」も神経痛の主な原因です。「神経痛ぐらいで……」と軽く考えず、痛みが出たら病院に行ってみてください。
神経痛の痛みが出たときに、ご家庭でもできる対処法などをご紹介します。
患部を温めて血管を広げ、血液の流れを良くして、神経に栄養が行き届くようにします。入浴で全身を温めたり、患部をカイロなどで温めたりすると楽になる場合もあります。
立ったり座ったりすると痛みや痺れがひどいときは、横になって安静にします。寝る時は腰枕や抱き枕を使い、腰の負担を減らします。
座る場合は座布団や腰あてを使い、腰の負担を減らします。症状が落ち着くまでは、なるべく痛みや痺れが出る行動や姿勢をとらず、ゆっくりと過ごしましょう。
ビタミンB1・B6・B12は神経や筋肉の機能維持に重要な成分です。使用量を守って飲んでみると良いでしょう。また、「インドメタシン」や「フェルビナク」は鎮痛・消炎効果があるため、これらが配合されたシップなども効果的です。「イブプロフェン」も同様の効果がありますので、イブプロフェンが含まれる内服薬も効果が期待できます。
痛みの原因や、痛い場所によって受診すべき科が違います。三叉神経痛なら神経内科や脳神経外科などが良いでしょうし、腰まわりの神経痛であれば整形外科、帯状疱疹なら皮膚科や神経内科が良いでしょう。
神経痛は帯状疱疹や椎間板ヘルニアなど、病気が原因となっていることがあります。「もしかして」と思った時は、速やかに病院で診てもらいましょう。また、腰枕や抱き枕は腰の負担を減らしますので、寝る時や座るときにおすすめです。神経痛が出た場合は、無理をせず、長い目でみながら体をいたわってあげましょう。