記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/7/16
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
やる気が出ないとき、まず最初に思い浮かぶのがうつ病かもしれません。ただ、やる気が出ない原因となる病気はうつ病以外にもあります。この記事では、やる気が出なくなる原因となる病気としてどのようなものがあるかをご紹介します。
何をする気もなくなり、これまで好きだったことを楽しめないような状態が続くのであれば、原因は「うつ病」かもしれません。うつ病の主な症状として「強い憂うつ感」がありますが、それと並んでよくみられるのが「興味または喜びの喪失」です。
以前と比べて何事にも興味や関心がなくなり、意欲がわかなかったりすることが、仕事だけでなく日常のいろいろな場面であらわれます。疲れやだるさを感じることが多く、何かしても集中できずいつもより時間がかかるようになり、症状が進むと習慣的に行っている入浴や着替え、起きることさえおっくうになって、人と接したくなくなります。
家で寝ているようになると、本人はつらい状態でも周りの人からはなまけていると誤解され、叱責されるなどしてさらに心理的なストレスから病気が悪化する可能性があります。
もし意欲の低下が続くようであれば、病院で診てもらうことが大切です。
病気や心身の不調以外に、日常的な「睡眠不足」が原因となることがあります。不規則な生活が続いたり睡眠不足になると、体内時計が狂って脳内物質のバランスを整える「セロトニン」の分泌が減少し、やる気が出なくなるのです。
また、セロトニン不足は入眠時に必要なホルモンの分泌にも影響し、寝つきが悪くなったり途中で目を覚ましてしまうことが増えるなど、さらに睡眠の質を下げてしまいます。
やる気を出すためにはセロトニンの分泌を正常にし、睡眠サイクルを整えることが大切です。朝起きたらすぐに光を浴びて体内時計をリセットする、夜は38~40℃のぬるめの湯船につかってしっかりと体を温めてから寝床に入るようにしましょう。
また、やる気を取り戻すために、好きなことから始めたり、自分へのごほうびを用意するなどしてモチベーションを高め、喜びを感じる脳内物質「ドーパミン」を活性化させるのも効果的です。
セロトニン不足ではないのにやる気がでないとしたら、「自律神経失調症」や「橋本病」などが原因かもしれません。
自律神経失調症は、精神的ストレスや過労などにより自律神経のバランスが崩れることで起こる症状の総称です。症状は人によってさまざまですが、だるさ、頭痛や耳鳴り、やる気がでない、イライラする、などがあります。
橋本病では、甲状腺の機能が低下してホルモン分泌が正常に行われなくなり、代謝機能が低下することで心身の機能が低下します。やる気がなくなるほか、疲れやすさ、汗をかかなくなる、体重の増加、脈拍や体温の低下、眠気などの症状があらわれます。
そのほか、特定のことに対して意欲や自発性がなくなる「無気力症候群」に陥っている場合もあります。
やる気が出ない原因として、それが続くのであれば、まずうつ病が考えられます。また、睡眠不足によるセロトニンの減少、自律神経失調症や橋本病などの病気である可能性があるほか、無気力症候群に陥っていることも考えられます。意欲の低下が続くようであれば、医療機関で受診するようにしましょう。