眠いときにあくびが出るのはなぜ?眠くないときにも出ることもある?

2019/7/9

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

寝不足かな…と思うときについ出てしまうあくび。このあくび、どうして出るのかご存知ですか?また、眠くないのに出ることもあることをご存知でしょうか。この記事では、あくびが出る原因とともに、眠くないのに出るあくびに潜んでいる病気についても解説します。

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眠いときにあくびが出る原因は?

「あくび」は、夜に眠くなったときや朝に目が覚めたとき、退屈な会議ややることがなくボーッとしているときなど、主に睡眠と覚醒の境目に起こります。あくびが出るときの脳波は覚醒時のものであることから、あくびは眠気によって意識のレベルが下がったり、注意力が散漫になったりしたときに、脳を覚醒するために出ることがわかっています。

寝起きのときは睡眠状態から体を目覚めさせるために、授業中や仕事中は眠い状態から脱するために、運転中に疲れや眠気を感じたときは寝てはいけない状況で眠ってしまわないために、脳がシグナルを送り体を目覚めさせようとしてあくびが出ます。

あくびは不謹慎な態度とみられがちですが、実際には目を覚まして物事に集中しようとして起こっています。また、ストレスや不安を感じたときにもあくびが出ることがありますが、これは緊張をやわらげてリラックスした状態にするために起こります。緊張緩和のためのあくびは、人間だけでなく犬や猫などの動物にもみられます。

眠くないのにあくびが出るのはどうして?

あくびは生理現象であり、出ても体に大きな害があるということはありません。しかし、眠気や退屈を感じていないのにあくびが頻繁に出るとしたら、注意が必要です。

あくびは、自律神経の乱れや脳の働きの低下によって出ることもあり、そのような場合には病気が潜んでいる可能性があります。たとえば、脳の血流が減ったり、血液中の酸素やブドウ糖の濃度が下がるなどして出る「生あくび」は、脳の病気や低血圧、低血糖のサインとして出ていることもあります。不安があるようであれば、念のため医療機関で早めに受診するようにしましょう。

眠くないあくびが出るときに疑われる病気は?

あくびがサインとなる病気として、以下の3つがあります。

  • 睡眠不足が溜まっているのに自分ではそれを自覚していない睡眠不足症候群
  • 乗り物酔い
  • 偏頭痛

また、意識レベルが下がっているときにあくびをしている場合には、以下のような病気も疑われます。

  • 脳の病気(脳梗塞・脳出血・脳腫瘍・脳炎など)
  • 心臓の病気(心筋梗塞など)
  • 胃潰瘍など、大出血などによる脳の血流量の減少

このように、脳や心臓などの急病の可能性があるため、こうした状態がみられたらすぐに救急車を呼ぶ必要があります。

また、血糖降下薬の内服やインシュリン注射をしている糖尿病の方があくびを始めた場合には、低血糖になっている可能性があります。そうなると脳の働きが低下し意識がなくなる危険があり、すぐにブドウ糖やアメをなめたり、甘いジュースを飲むことが必要です。

なお、睡眠不足症候群で慢性的な睡眠不足に気づけないままでいると、体にさまざまな不調が生じるほか、うつ病などの病気のリスクを高める可能性があります。

おわりに:あくびは体を目覚めさせるために出るものですが、眠気を伴わないときは病気が隠れている可能性があります

あくびは、眠いときや注意が散漫になったときに脳がシグナルを送って体を目覚めさせようとしたり、ストレスや不安を感じたときに緊張をやわらげるために起こる生理現象です。ただし、眠くないにも関わらず頻繁にあくびが出るような場合には、病気が潜んでいる可能性があります。不安があれば、早目に医療機関で受診するようにしましょう。

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