逆流性食道炎が長引く咳の原因?どうすれば咳は止まるの?

2018/10/12

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

胃酸が食道に逆流することで起こる逆流性食道炎は、咳の症状を引き起こすことをご存知でしょうか。
この記事では、逆流性食道炎による咳の原因や予防、治療法について解説しています。
誰にでも起こり得るトラブルなので、日頃から咳が出る、胸焼けがするという方は参考にしてください。

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咳き込む原因が逆流性食道炎の可能性があるの?!

逆流性食道炎とは、胃の内容物が食道に逆流することによって起こる病気のことをいいます。

この病気は、胃と食道をつないでいる筋肉である下部食道括約筋のゆるみや胃酸の分泌量が増加することによって起こります。特に逆流性食道炎になりやすいのが油っぽいものを良く食べる、過食である、ストレスが多い、太っているという項目に該当する人です。
また、高齢で腰の曲がった人もなりやすいといわれています。

逆流性食道炎の症状は食後や横になった時に特に起こりやすいのですが、特に就寝時では食道に逆流した胃液は胃に戻ることができず長く食道にとどまってしまうため、粘膜が消化酵素で消化されるだけでなく、喉や気管にまで胃液が流れ込むこともあり、むせかえることがあります。これが逆流性食道炎による咳の原因となります。

逆流性食道炎だとしたら、咳のほかにどんな症状が出てくるの?

逆流性食道炎の典型的な症状は、酸っぱいものや苦いものがこみあげてきてげっぷがでてくる呑酸、胸焼けです。胸焼けの感じ方においては食べ物がしみる、胸が焼ける感じなど人によってさまざまです。

他にも胃の痛みや食道のつっかえる感じ、胸の痛みや口の中の苦み、腹部膨満感、喉のいがいがする感じや違和感などを感じることもあります。また、食欲不振や不眠、気分低下などが起こって日常生活へ支障をきたすということもあります。
咳以外にこれらの症状が見られた場合には、逆流性食道炎である可能性があります。

逆流性食道炎からくる咳はどうすれば治る?

逆流性食道炎が原因で咳が出ている場合は、その原因となっている逆流性食道炎を改善させなければ咳を治すことは難しいでしょう。

逆流性食道炎の治療は薬剤を使用する薬物療法と日常生活の見直しが主な治療法です。
薬物療法では、胃酸分泌抑制薬、消化管運動機能改善薬、粘膜保護薬、制酸薬の4種類を組み合わせて治療を行います。日常生活の見直しとは食生活の見直しと姿勢の工夫が必要になります。
食生活の見直しでは暴飲暴食を避け、脂肪の多い食物、チョコレートなどの甘いもの、柑橘類、コーヒー・紅茶、香辛料、アルコール類、タバコの摂取を控えることが必要になります。また、姿勢においては、食後の右向きやうつぶせ寝を控えるようにし、胸やけが強い場合には胸から上を高く挙げて横になるようにし、ベルトなどで腹部を締め付けないようにするなどの工夫も必要です。

これらの治療を行っても改善が見られない場合には外科的な治療も検討されます。
逆流性食道炎が原因で咳が出ているという場合にはすでに逆流性食道炎が進行しているという可能性も考えられます。そのため、まずはかかりつけの医師に相談して治療法を検討してもらうことが良いでしょう。

おわりに:逆流性食道炎が咳の原因になることも。止めるためには治療が必要

胃の内容物が食道に逆流することによって起こる逆流性食道炎ですが、特に就寝時など長時間横になる時には胃液が胃に戻ることができず長く食道にとどまってしまい、気管等に流れ込んで咳を誘発することがあります。そのため、風邪あるいは呼吸器系の病気かと思っていたら逆流性食道炎であったという可能性も十分にあります。呑酸や胸やけなど咳以外にも消化器系に症状があればその咳は逆流性食道炎による可能性が強いでしょう。

逆流性食道炎の治療を行うことで咳を改善することができるかもしれません。咳と胸やけなどの症状があれば一度消化器の医師へ相談しましょう。

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