記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/6/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「最近、よく眠れてない…」「夜中に何度も目が覚める」などの症状で悩んでいませんか。今回は、睡眠トラブルの原因や医療機関を受診する目安などをご紹介します。
睡眠時間が不足していないにもかかわらず、日中にとても強い眠気を感じたり、実際に眠ってしまうなどの状態が少なくとも1カ月以上にわたってみられることを「過眠症」といいます。特発性過眠症、反復性過眠症、ナルコレプシーなどは、過眠の症状があらわれる代表的な病気です。仕事や学業など、日中の社会生活に支障をきたすような激しい眠気や居眠りが1カ月以上続いている場合、過眠症である可能性が考えられます。
過眠症の主なタイプには、以下のようなものが考えられます。
10代で発症する大変まれな病気で、女性よりも男性に多いとされています。強い眠気に襲われる期間が3日~3週間ほど続きます。この期間は通常、1日に約15時間以上、昼夜を問わず眠り続けることが特徴のひとつです。また周りの人からの呼びかけなど、強い刺激によって一度は目を覚ましますが、口数が少なく、集中力が散漫になり、記憶力も低下するといわれています。眠気は自然になくなり、全く症状がみられなくなりますが、また不定期に眠気が訪れることを繰り返します。
世界的にみると10代で発症する場合が多く、1,000~2,000人に1人の割合でみられる病気です。日中に激しい眠気に襲われ、居眠りを繰り返します。眠りにつく際に金縛りにあう、現実と錯覚するような夢を見ることがあります。また一度眠りに落ちると目覚めるまでは30分以内と短く、その後はすっきりするといわれています。また、笑う、怒るなどの感情により、突然体に力が入らなくなくなり、ひどいとその場にしゃがみこんでしまうこともあります。
10~20代で発症し、ナルコレプシーよりも発症数は少ないと考えられています。主な症状は、日中の強い眠気と居眠りです。一度眠ると1時間以上目覚めず、目覚めた後はナルコレプシーのようにすっきり感がなく、眠気が残ることが特徴のひとつです。夜は10時間以上眠るなど、睡眠時間が非常に長い場合もあります。
上記のほか、過眠症の原因には、睡眠の質を悪くするような病気や睡眠環境などが挙げられます。睡眠の質を悪くする病気として、主にふくらはぎなどにかゆみやむずむず感などの不快な症状がみられる「むずむず脚症候群」や、睡眠中に自分の意志とは関係なく繰り返しピクピクと痙攣が起きるような「周期性四肢運動障害」、うつ病などによって睡眠が困難になることが挙げられます。また、睡眠環境による過眠症の原因として、周囲の騒音、熱帯夜による脳の覚醒を維持する機能に障害がみられることが考えられます。
睡眠時無呼吸症候群とは、夜眠っている間に呼吸する力の弱まる低呼吸状態や、呼吸が一時停止する状態になる病気です。夜にしっかり眠っていると思っていても、睡眠時無呼吸症候群の場合には脳が休めていない可能性があります。そのため、日中の強い眠気や起床後の頭痛、頭重感などを感じる場合があります。
睡眠時無呼吸症候群は、舌の付け根などが落ち込んで上気道が塞がれることや、肥満によって気道や舌についたぜい肉によって気道が狭くなることで引き起こされます。そのほか、首が短い、あごが小さい、アレルギー性鼻炎などが原因で鼻の状態が良くない、などの理由によって起こる場合もあります。
眠いのに眠れない、夜中に何度も起きてしまうというような場合には、日中の生活に支障をきたしている人もいるかもしれません。寝つきが浅い、よく眠れないなどの症状が週3回あり、少なくとも1カ月以上にわたって続いている場合には医療機関の受診をおすすめします。
過眠症になると、日中の強い眠気や居眠りなどによって日常生活に支障をきたす恐れがあります。症状が週3回、1カ月以上続く場合には早めに医療機関を受診しましょう。