記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/7/17
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
腸内細菌が健康を左右するといわれているのはご存知でしょうか。今回は腸内細菌の種類やそのバランスのチェック方法などをご紹介します。
腸内細菌とは、動物や人間の腸にいる細菌です。腸内細菌は大きく分けて、体によい影響を与える「善玉菌」、逆によくない影響を及ぼす「悪玉菌」、そしてどちらにもなり得る「日和見菌」に分類されます。
人の腸内細菌は20,000~25,000種類以上あり、腸内には数百~数千種類、約100兆個の腸内細菌が住んでいると考えられています(便1gあたりに含まれている腸内細菌は、約1兆個といわれています)。
便は、その80%が水分、残りの20%が固形成分で、固形成分のうちの1/3が食べかす、2/3が剥がれ落ちた腸の粘膜と腸内細菌です。また、便の量は食物繊維によって左右され、多く摂ればそれだけ便の量も増えます。
腸内細菌を大きく分けると、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3つに分類できます。
肥満や糖尿病、乳がんや大腸がん、アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状にも腸内環境が影響するという報告が数多くあり、腸内環境は健康の良し悪しを左右するといっても過言ではありません。
健康な人の腸では、善玉菌が20%、悪玉菌が10%、残りの70%が日和見菌というバランスになっています。日和見菌は善玉菌と悪玉菌のどちらにも傾く可能性をもつ菌で、善玉菌が優勢の場合には良い働きを、悪玉菌が優勢の場合には悪さをする菌に変わることがあるといわれています。腸年齢は、善玉菌と悪玉菌のバランスによって左右され、悪玉菌が少なく、善玉菌が多く腸内にある人ほど腸年齢が若いと考えられています。
便を観察することが、腸内細菌の状態を知る最も簡単な方法です。善玉菌が優勢の場合には、便はにおいがあっても臭くはなく、やわらかいバナナ状の形状をしています。また色は黄色から黄色がかった褐色が特徴です。一方で悪臭があり、黒っぽい便の場合には悪玉菌が優勢で、腸内細菌のバランスが崩れている状態と考えられています。
善玉菌を増やす方法として、以下の2つが考えられます。
「プロバイオティクス」と呼ばれる生きた善玉菌を、納豆やヨーグルト、漬物などの食品から直接摂り入れる方法です。これらの食品には善玉菌の代表的な菌である乳酸菌やビフィズス菌が含まれていますが、体に取り入れても腸に住みつくことはないといわれています。そのため、毎日継続的に摂取し、常に腸内にいる状態をつくることが理想的です。
こちらは、もともと腸内にいて善玉菌を増やすはたらきを持つ「プレバイオティクス」を摂り入れる方法です。野菜や果物、豆類などに含まれている食物繊維やオリゴ糖から摂ることができます。消化・吸収はされないため、大腸までたどりつくことができ、腸内にいる善玉菌のエサの役目をして善玉菌を増やすはたらきがあります。オリゴ糖は玉ねぎ、にんにく、バナナ、アスパラガスなどの食品に多く含まれますが、特定保健用食品などで効率よく摂取するのも一案です。
ただし、オリゴ糖を一度にたくさん摂取すると、お腹の張りや下痢などがみられることがあります。1日あたり2~10gの有効摂取量を目安にし、場合によっては1日あたりの摂取量を減らし、数日間かけて摂取量を摂り入れるようにするなど、自分の体に合わせて調整するようにしましょう。
また最近ではプロバイオティクスとプレバイオティクスの両方を上手に摂り入れる、「シンバイオティクス」という方法が、腸内細菌をより効率よく増やせるとして推奨されています。たとえば、ビフィズス菌を含むヨーグルトにオリゴ糖の多いはちみつやきな粉をかける、乳酸菌が多いナチュラルチーズを加えたきのこ類のスープなどが理想的といえるでしょう。
腸内細菌の理想的なバランスは「善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7」といわれています。乳酸菌などを毎日摂り入れるなど、善玉菌を増やす工夫を取り入れながら腸内環境の改善を目指し、健康的な毎日を送りましょう。