記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/7/2
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「善玉菌はお腹に良い菌、悪玉菌は悪い菌」ということはご存知の方も多いと思います。しかし、なぜ善玉菌がお腹に良いのでしょうか?今回は善玉菌を増やすべき理由をまとめました。また、善玉菌の増やし方もご紹介します。
大腸の中には、約500種類、おおよそ100兆個の細菌が生きています。それらの細菌を「腸内細菌」と呼び、大きく善玉菌と悪玉菌に分けています。
善玉菌として有名なのは乳酸菌やビフィズス菌です。善玉菌は腸内を酸性に保つ力を持ち、飲食物の消化や吸収、ビタミンの合成を促進します。腸の働きを活性化させ、便秘や下痢を防ぎ、お通じを整える力もあります。また、体の免疫力を高め、病原菌を退治します。このように、善玉菌は体にとってプラスとなる菌です。
しかし、食生活や生活環境など、腸はストレスの影響を受けやすい臓器です。過度のストレスを受け続けたり、不規則な生活を送ったりしていると、善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れ、悪玉菌が優勢になります。
そうすると、腸内環境が悪くなり便秘や軟便に悩むことになります。日ごろから善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすよう心掛けた方が良いでしょう。
健康な人の便は約80%が水分で、残る20%は3分の1が生きた腸内細菌、3分の1が食べカス、3分の1が腸壁から剥がれ落ちた腸粘膜です。腸の中を直接見ることはできませんが、便の色や形で腸内環境をチェックすることができます。
水のような状態あるいは泥状で、色は薄めの便が出る場合は悪玉菌優位の可能性があります。便意が起きたらすぐ出てしまうほどの下痢の場合もあります。
便の形はバナナ状で、黄色から黄褐色、下痢でもなく硬くもない状態なら、善玉菌が優位な状態です。いきまなくても気持ちよく便が出る状態を「快便」と呼びます。
ウサギの糞のようにコロコロとしており、色は黒褐色で硬い便が出る場合は悪玉菌優位の状態です。排便時に強くいきまないと出ないため、痔になることもあります。残便感などがあります。
善玉菌を増やすには、日ごろからどういった食生活をすれば良いのでしょうか?この章では善玉菌が増える食事についてご紹介します。
乳酸菌、麹菌、枯草菌(こそうきん)など、良い菌を含む飲食物を食べます。醤油や味噌、酢、キムチ、ぬか漬け、チーズ、納豆などの発酵食品は、乳酸菌が豊富です。
乳酸菌、ビフィズス菌、ブルガリア菌などが入ったヨーグルトや乳酸菌飲料を毎日とると良いです。ヨーグルトなら1日200g食べるのが適量とされています。
善玉菌を増やすには味噌汁などの和食を増やすことです。野菜もたっぷり食べましょう。
朝・昼・晩の3食規則正しく食べます。栄養バランスのよい食事を、よく噛んで食べるのも大切です。
腸内で食物繊維が分解されると、善玉菌のエサとなります。また、食物繊維は腸内の有害物質や悪玉菌を減らす力があります。
ビフィズス菌はオリゴ糖のエサになります。すなわち、オリゴ糖を摂取すれば腸内のビフィズス菌が増えますので、オリゴ糖を多く含む食品を食べましょう。
ゴボウ、大豆、玉ねぎ、ニンニク、アスパラガス、バナナ、トウモロコシなどがオリゴ糖を多く含んでいます。
オリゴ糖のシロップなども販売されていますが、人によっては大量に摂取するとお腹がゆるくなったり、腹部膨満感が出たりします。1日2~10gが適量とされています。食べ過ぎに注意しましょう。
肉類の脂肪は悪玉菌を増やします。それだけでなく、肉類のタンパク質やコレステロール、脂肪は、悪玉菌が発がん物質や発がん促進物質に変換してしまうため、発がんの危険性が高まると言われています。脂肪が多いのはサラミやウインナーといった肉加工品、バラ肉などの脂身の多い肉やラードです。とり過ぎないに気を付けましょう。
善玉菌は便通を整え、免疫力を高めてくれる「健康の味方」です。善玉菌を増やし、悪玉菌を増やさない食生活を心掛ければ、毎日快便も夢ではありません。善玉菌を増やして腸内環境をベストな状態にするためにも、食物繊維や発酵食品などを食事に取り入れてみてください。