記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/6/30
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
悪玉菌が増えると、便秘が治りにくくなったり、お肌の調子が悪くなったりなど、さまざまな体調の変化がみられます。このため、悪玉菌を減らしたほうがよいと言われています。この記事では、悪玉菌が増えてしまう原因とともに、どうすれば減らすことができるかを解説します。
腸内細菌のバランスが崩れて「悪玉菌」が優勢になると、腐敗菌や毒性のアンモニアやアミン、硫化水素などの有害物質、発がん物質が増え、腸から吸収されて血液を介し全身に運ばれて体全体に影響を及ぼします。また、便秘しやすくなるため、老廃物が長く腸内に留まり、腸内環境にダメージを与えて便秘がさらに治りにくくなってしまう悪循環に陥ります。
腸内細菌のバランスの乱れは免疫力を低下させ、口内炎や風邪などの感染症、大腸がんを発症しやすくします。また、血液を介して毒素が巡るため、肌にもダメージを与えて肌あれやニキビの原因となります。腸内環境の悪化は代謝機能を低下させ、肥満や生活習慣病の原因ともなるほか、セロトニンやドーパミンの合成を難しくして憂うつな気分になりやすくなる、という影響もあります。
悪玉菌が増える原因としては、まず食生活の乱れが挙げられます。特に欧米型の高タンパク、高脂質の食べ物は、悪玉菌の格好のエサとなって悪玉菌を増殖させます。また、年齢を重ねるにつれて善玉菌は減少し、悪玉菌は増加していきます。
そして、善玉菌はわずかなストレスにも敏感に反応し減少しやすくなることから、過度なストレスも悪玉菌を増殖させる原因となります。そのほか、抗生物質や薬物の服用によって腸内細菌のバランスが乱れて悪玉菌が増えてしまうこともあります。
悪玉菌を減らして善玉菌を増やすには、善玉菌のエサになる食材を積極的にとってまずは善玉菌を増やすことです。そのためには、和食を基本として味噌汁や野菜たっぷりの食事を心がけ、朝食、昼食、夕食をバランスよく、よく噛んで食べることです。
具体的には、まず乳酸菌、酵母菌、麹菌、酢酸菌、枯草菌などの「発酵食品」を積極的に摂るようにします。
味噌や醤油、お酢、ぬか漬け、キムチ、納豆、チーズなどには善玉菌である乳酸菌が豊富に含まれています。また、ビフィズス菌のエサとなる「オリゴ糖」を多く含む、大豆やゴボウ、アスパラガス、タマネギ、トウモロコシ、ニンニク、バナナなどの食材を食事に取り入れましょう。
乳酸菌やブルガリア菌などが入ったヨーグルトを毎日食べたり、悪玉菌と腸内の有害物質を減らす働きのある食物繊維を摂ることも効果的です。穀類、豆類、ゴボウ、トウモロコシ、サツマイモ、ブロッコリーなど、不溶性食物繊維を多く含む食材は排便をうながすのに役立ち、ニンニク、トウガラシ、干しシイタケ、海藻類、果物など水溶性食物繊維を多く含む食材は、腸内に有害な菌が増えるのを抑えると同時に善玉菌のエサにもなります。
腸内細菌のバランスが崩れて悪玉菌が優勢になると、腐敗菌や毒性の有害物質、発がん物質が増え、これらが腸から吸収されて、治りにくい便秘のほか肌あれ、免疫力の低下、生活習慣病やウツを引き起こすなど、体全体に影響を及ぼします。悪玉菌を減らすには、善玉菌のエサになる食材を積極的にとって、まずは善玉菌を増やすことが大切です。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。