記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/7/22
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
日和見菌とは善玉菌、悪玉菌と同じ腸内細菌のひとつで、それぞれのもつ体への影響などが異なります。そこで今回は、日和見菌の特徴などをご紹介します。
日和見菌とは、善玉菌でも悪玉菌でもない腸内細菌のことです。日和見菌の代表的なものとして、連鎖球菌、大腸菌(無毒株)、バクテロイデスなどがあり、健康なときには腸内で静かにしている反面、体が弱ったときなどには腸内で悪いはたらきをすることが知られています。
健康な人の腸では、善玉菌が2割、悪玉菌が1割、残りの7割が日和見菌というバランスになっています。一般に、腸内で善玉菌が増えていくと悪玉菌が減少し、逆に善玉菌が減っていくと悪玉菌が増えると考えられています。ただし、日和見菌は研究が進められている段階で、腸内細菌の中で見つかっているものは全体の3~4割だといわれています。
生息するために酸素を必要としないものを「嫌気性菌」、酸素を必要とするものを「好気性菌」といいます。
嫌気性菌のうち、酸素があれば発育が良好な通性嫌気性菌、大気レベルの濃度(酸素分子20%)の酸素があると全く生息できなくなるものを偏性嫌気性菌と呼びます。腸球菌や大腸菌などは通性嫌気性菌、ビフィズス菌やクロストリジウム、バクテロイデスなどは偏性嫌気性菌と呼ばれています。
悪玉菌が生み出した有害物質は腸管の皮膚から吸収され、血管を通って全身に行きわたるため、体のさまざまな場所で主に以下のような不調がみられるようになります。
便秘になると腸に溜まった老廃物が、悪玉菌のエサとなって増殖していきます。腸内環境のバランスが崩れることにより、食べものからの栄養を吸収しにくくなり、ビタミンB群が不足することによって肌の皮脂が増えると考えられます。そのため、肌荒れやくすみなどの肌トラブルが引き起こされることがあります。
脂肪の燃焼に必要なビタミン、ミネラルなどが十分に吸収されなくなり、脂肪燃焼の効率が落ちるといわれています。そのため、代謝が悪くなり、むくみなども出る場合があります。
スカトールやインドールなどの腸内に溜まった有毒なガスが、腸管の皮膚から吸収されて血管を通って全身にいきわたるため、口臭やおならのにおいなどが気になることがあります。
腸のはたらきの低下を招き、蠕動運動が弱くなるため、便秘や下痢になることがあります。また便秘や下痢になることで有毒ガスが溜まり、悪玉菌が増え、それによってまた便秘や下痢になるという悪循環を引き起こす場合があります。
体を守っている免疫細胞の約7割が腸内に存在しているといわれています。そのため、日和見菌が悪玉菌の味方をすることで免疫細胞に影響を及ぼし、免疫力が低下すると考えられます。
腸内の善玉菌の割合を増やすことにより、悪玉菌が住みづらくなります。善玉菌を増やす方法として、以下のようなものが考えられます。
乳酸菌などの善玉菌をとるのと同時に、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖などをとると効果的に腸内環境を整えてくれると考えられます。
体を動かすことで、腸の動きが活発になります。食べものに気をつけるのはもちろんのこと、体の外からも腸を刺激して、腸内環境を整えましょう。
自律神経は活動しているときにはたらく交感神経、睡眠中などリラックスしているときにはたらく副交感神経があります。そして腸のはたらきを調整しているのも、この自律神経です。自律神経のバランスが崩れることは、腸の動きの乱れにつながります。副交感神経をしっかりはたらかせるためには、十分な睡眠をとることなど、体をリラックスした状態にすることが大切です。
腸内での日和見菌は7割と腸内細菌の多くを占め、善玉菌と悪玉菌の優勢な方に傾きます。乳酸菌などを摂って善玉菌を増やし、善玉菌を味方にして腸内環境を整えましょう。