記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/7/2
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
体に良く、食事から積極的に摂取すべきとされるDHAですが、たくさん摂れば摂るほど良いのでしょうか。今回は、1日当たりに摂取すべきDHAの適量と、摂りすぎることによるリスクを、おすすめの摂取方法や効果を実感するまでにかかる期間を一緒にご紹介します。
DHA(ドコサヘキサエン酸)は、私たちの心臓や脳、目の網膜、子宮、精子、胎盤、母乳などを作るのに不可欠な「脂肪酸」という栄養素です。私たちは体内でDHAを生成することはほぼできないため、継続的に外部から補給する必要があります。
厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、DHA・EPAなどの代表的な脂肪酸の個別摂取量の目安は設定していませんが、DHAを含むn-3系脂肪酸の1日あたりの食事摂取基準量に関しては、以下を設定しています。
DHAは一度にたくさん摂取するというより、毎日1gを目安に、継続的な摂取を目指すのがおすすめです。ただ、体内には「恒常性維持機能」があるため、一度にたくさんのDHAを摂取しても体内のDHA量は一定以上にはなりません。
このため、摂りすぎても大きな健康への悪影響はないと言えます。しかし、人によってDHAによる血液をさらさらにする作用が強く現れると、血液が固まりにくくなり、出血が止まらなくなるケースもあります。たとえば歯科治療や手術の予定など、出血を伴うリスクがある治療期間中は、意識的にDHAの摂取量を減らすのが無難です。
ちなみに、DHAを使った医薬品では肝機能障害が、健康食品では滲出性紅斑(しんしゅつせいこうはん)という発疹の副作用が出た事例が報告されています。
食事からDHAを摂取する場合、最も効率が良いのは刺身などの生食です。マグロのトロで2~5切れ、ハマチでは3~5切れの刺身を食べれば、1日に十分な量のDHAを摂取できるとされています。
ただし、魚に火を通してから食べる場合は、煮汁や調理油などにまぎれて、栄養素であるDHAも流れ出てしまうので注意が必要です。煮炊きする場合はだし汁ごと、揚げたり焼いたりするときは、脂やうま味を逃がさないよう調理法を工夫するか、生食よりも多めに食べるようにしましょう。
どうしても魚が苦手、または食べる機会が少ないという場合は、DHAを主成分としたサプリメントなどで摂取するのがおすすめです。自分の好みに合った、継続できそうな方法でDHAを摂取しましょう。
健康状態の改善の速度は、DHAの摂取を始めるまでの健康状態に左右されます。このため、それまでによほどDHAが欠乏した状態が続いていない限り、DHAの摂取を始めたところで、健康効果を実感できることはないと思います。
特に病気を発症することなく、健康診断でも高コレステロール値や高血圧、高血糖など生活習慣病を指摘されないことが、日ごろの食生活の成果と受け取っておきましょう。
DHAは、私たちの脳や心臓など、さまざまな臓器・組織を作る原料となる、必須栄養素です。しかし、体内で作り出すことはほとんどできないため、必要な分を継続的に外部から摂取し続けなければなりません。1日に摂取すべきDHAの適量は成人男性で2.0~2.2g、成人女性で1.6~2.0gですので、毎日1gを目安に摂取を続けると良いでしょう。継続的に、適量を食事やサプリメントから摂取して、健康維持に役立てましょう。