記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/8/3
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
赤ちゃんは自分でのどの渇きや体調がおかしいことを訴えることができないため、周りの人が小さな体から発するサインを逃さずキャッチすることが大切です。この記事では、赤ちゃんの脱水のサインとともに、具体的な対処法を紹介します。
脱水とは、からだの多くを占めている体液が失われることによって、からだのさまざまな機能が十分にはたらかなくなり、最悪の場合は命を落とすこともある症状です。体液には、血液や唾液、消化液や粘液のほか、脳や脊髄を守っている髄(ずい)液などがあります。また、汗も体液のひとつであり、汗をかくことで体温を一定の幅に調節する働きがあります。
小さな子どもの体に占める水分の割合は大人よりも高く、特に赤ちゃんでは約80%ともいわれています。大人では、発汗量を調節して体温を調節したり、腎臓の機能によって尿量を調節しながら、からだのバランスをとっています。一方、子どもたちは体温を調節したり尿の量を調節したりするからだの機能が未熟なうえ、大量の水分を必要としているにもかかわらず、代謝が活発なため、何かと水分を失っていきます。体調を崩せば下痢やおう吐で、大量の水分が失われてしまうこともあるでしょう。
また、赤ちゃんは「のどが渇いた」「具合が悪い」などと、自分の体調をことばで伝えることができません。そのため、赤ちゃんが発しているサインを、周囲の人が感じることが必要となります。
赤ちゃんの脱水に注意が必要なサインには次のようなものがあります。
明らかに具合が悪いというだけではなく、普段とのちょっと違うな、と感じるくらいの変化が脱水のサインになっていることもあります。
赤ちゃんの普段の水分補給では、湯冷ましや麦茶がおすすめです。からだを動かして遊んだり、お風呂に入ったりした後、お昼寝の後などは、汗をかきやすくなります。たくさんの汗をかくと、水分だけではなくナトリウムやカリウムといった電解質も失われやすくなります。電解質を補給できる乳幼児用のイオン飲料を利用しても良いでしょう。
また、下痢や嘔吐が続いているときは、より吸収されやすい乳幼児用の経口補水液を少しずつ飲ませましょう。
大人用のイオン飲料やジュース、経口補水液は、赤ちゃんにとっては塩分や糖分が高いため、まだ未熟な腎臓に負担をかけてしまう可能性があります。乳幼児用の飲料を使用したり、医師や看護師、管理栄養士などの助言を受けて調整したものを飲ませるようにしましょう。
経口補水液は、人間の体液と同じようにつくられた液体で、脱水時の水分補給に適しており、赤ちゃん用のものも販売されています。
健康な状態での発汗ではなく、下痢と嘔吐など体調不良によって水分が失われているときは、経口補水液で水分を補給します。しかし、具合が悪いときに一度にたくさん飲ませようとすると、せっかく飲んだ液体をおう吐することも多いものです。おう吐が頻回に起こるときには、ごく少量(ティースプーン1杯程度を目安)を一口飲ませたら、5分間隔を空けるといったように定期的に飲ませましょう。おう吐が見られなくなってきたら、徐々に間隔を狭めます。ただし、量は一気に増やすのは止めましょう。
液体が飲めない場合は、ゼリータイプにしたり、凍らせたり温めたりすることで飲みやすくなる子もいます。ただし、ぐったりとしている状態で無理に飲ませることは危険があります。医療機関を受診して、医師の助言を受けましょう。
赤ちゃんの状態によっては、家庭だけで対応することが難しいケースもあります。特に、医療機関を急いで受診したほうが良いものとして、以下のようなサインがあります。
なかには治療を急ぐ病気が原因となっていることもあります。自宅だけで様子を見るのではなく、医療機関を受診して適切な治療を受けたり、家庭での関わり方の助言をもらったりできると安心でしょう。
赤ちゃんは、多くの水分をからだに必要としていますが、自分で体調が悪いことを伝えることはできません。赤ちゃんの発するサインに周りの大人が気づき、脱水の予防をしたり、医療機関を受診したりすることが必要となります。スポーツドリンクや経口補水液は、大人と同じものを安易に飲ませるのではなく、赤ちゃんのからだに合うものや量を飲むことが大切です。