副甲状腺ってどんな臓器?異常がみられたらどんな病気になる?

2019/9/28

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

私たちの体には、さまざまな役割を持った臓器が存在していますが、なかには一般的にあまり知られていないものもあります。そのうちの1つが「副甲状腺」です。今回は副甲状腺がどんな臓器なのか、甲状腺との違いや発症し得る病気やその治療法とあわせて、解説していきます。

副甲状腺とは

のどぼとけの下あたり、呼吸器を左右から包み込むように配置された小さな臓器・甲状腺の裏側に、それぞれ2つずつ米粒の半分くらいの大きさの臓器があります。この非常に小さな臓器が「副甲状腺」です。甲状腺の近くにあり、名前も副甲状腺ですが、別名「上皮小体(じょうひしょうたい)」とも呼ばれるまったく別の臓器です。

働きとしては、以下のような作用のある副甲状腺ホルモンを分泌しています。

  • ビタミンDとともに、カルシウムを骨から取り出し血中に送りだす
  • 消化の過程で、腎臓や腸で食べ物から吸収したカルシウムを使い血中濃度を上昇させる

つまり、骨の材料であり心臓や全身の筋肉にも必要なミネラル・カルシウムを体内でうまく代謝させる役割を、副甲状腺ホルモンが担っているのです。

副甲状腺の病気、副甲状腺機能亢進症とは

副甲状腺に発症し得る病気の代表的なものとして、副甲状腺機能亢進症があります。

副甲状腺機能亢進症

副甲状腺機能の異常から、副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまう病気です。機能異常が起こる原因や症状により、大きく「原発性副甲状腺機能亢進症」と「二次性副甲状腺機能亢進症」の2種類に分けられています。なお2019年6月時点で、なぜ上記のような副甲状腺機能亢進症が起こるのか、はっきりとした原因はまだわかっていません。

原発性副甲状腺機能亢進症

副甲状腺そのものの異常により、副甲状腺ホルモンの分泌量が過多になる病気です。骨が脆くなり骨折しやすくなる骨病変や尿路結石、高カルシウム血症によるのどの渇きや吐き気、食欲低下、便秘、イライラ、筋力低下、疲れやすいなどの症状が出ます。

治療法としては、薬で症状の緩和や副甲状腺の機能回復を促すほか、副甲状腺の腫瘍や肥大、病変が見られるようなら手術による摘出も行われます。

二次性副甲状腺機能亢進症

副甲状腺そのものに異常はないものの、ビタミンD欠乏症や慢性腎不全など、他臓器の病気が原因で副甲状腺ホルモンの分泌が過多になって発症する病気です。代表的なものとしては、腎性副甲状腺機能亢進症が挙げられます。

基本的には食事療法や、腎性副甲状腺機能亢進症の原因となるリンの血中濃度が上がらないよう、服薬や注射で治療を進めていきます。ただし投薬治療の効果が十分でなく病気が進行したり、服薬で深刻な副作用が見られる場合は、副甲状腺を全摘出する手術療法も選択されることがあります。

副甲状腺の病気:副甲状腺のう胞

亢進症以外では、甲状腺に水が溜まってしまう「副甲状腺のう疱」も、副甲状腺の代表的な病気として挙げられます。副甲状腺のう胞は、特徴別に「非機能性副甲状腺のう胞」と「機能性副甲状腺のう胞」の以下2つに分類されています。

非機能性副甲状腺のう胞

副甲状腺に水が溜まることで、副甲状腺ホルモン値が上昇しなくなる病気です。発症しても自覚症状はほとんどありませんが、血中のカルシウム値や副甲状腺ホルモン値を調べることで発見できます。溜まっている水に針を刺し吸い出すか、経皮的エタノール注入療法で治療できます。

機能性副甲状腺のう胞

副甲状腺に水が溜まることで、副甲状腺ホルモン過剰に分泌されるようになる病気です。発症すると原発性副甲状腺機能亢進症のような、高カルシウム血症様の症状を表します。

治療法は状態により、経過観察か手術のいずれかを選択します。ただ再発の可能性が高いとされるため、手術治療を選択するのが一般的です。

おわりに:副甲状腺はカルシウム代謝にかかわる、とても小さな臓器

気管を包む蝶のように左右に広がる甲状腺に、それぞれ2つずつ付いている米粒の半分ほどの小さな臓器が、副甲状腺です。普段の生活でその存在や働きを感じられることはありませんが、副甲状腺ホルモンを分泌して、体内でのカルシウム代謝を助けています。働きに異常が起こると、カルシウム代謝がうまくいかなくなる副甲状腺機能亢進症や副甲状腺のう胞を発症することも。気になる症状があるときは、早めに病院で診てもらってください。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

副甲状腺機能亢進症(4) 副甲状腺(2) 副甲状腺のう胞(1) カルシウム代謝(1)