グルカゴンの血糖値への影響は?低血糖時にどんな対処をするの?

2019/8/26 記事改定日: 2020/10/1
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

血糖値をコントロールするホルモンとしては、インスリンとグルカゴンの2つが代表的です。今回はグルカゴンについて、血糖値への作用やインスリンとの関係、高血糖時に投薬される薬の種類、低血糖時の対処法などについて説明していきます。

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グルカゴンの血糖値への作用とは?

グルカゴンは私たちの体内で作られ、血液中の糖分の量を上げる強力な作用を持ちます。以下がグルカゴンの作用です。

  • 肝臓に貯蔵しているブドウ糖のもとを分解する
  • アミノ酸からブドウ糖を合成する
  • インスリンや成長ホルモンの分泌促進作用 など

グルカゴンは膵臓のα細胞というところで作られ、血糖値の上昇以外にも、インスリンや成長ホルモンの分泌促進作用があることがわかりました。

グルカゴンの異常を引き起こす病気

グルカゴンは膵臓で分泌されるホルモンですが、次のような病気があると分泌量に異常が生じることがあります。

分泌量が増える病気
グルカゴノーマ(グルカゴン産生腫瘍)、糖尿病、膵炎、肝硬変、腎不全、極度な低栄養
分泌量が減る病気
重度な慢性膵炎、グルカゴン欠損症、下垂体機能低下症

インスリンとグルカゴンは血糖値にどう影響する?

血糖値にかかわる重要なホルモンである「インスリン」と「グルカゴン」それぞれの働きを改めてまとめると、以下のようになります。

インスリンの働き
全身のさまざまな細胞に働きかけ、血液中の糖分を取り込ませて血糖値を下げる
グルカゴンの働き
肝臓の糖やアミノ酸を分化し、血液中に糖分を放出させて血糖値を上げる

インスリンとグルカゴンは、どちらも食間・夜間を中心に1日中分泌されています。互いが適度に影響し合うことで、食事や活動による血糖値の上がりすぎ・下がりすぎを防ぎ、血糖値が適性になるようコントロールしているのです。

このため糖尿病でインスリンの働きが抑えられ、グルカゴンとの分泌量のバランスが崩れてしまうと、グルカゴンの働きだけが強くなります。すると血糖値を一定に保てなくなり、血糖値が上昇しやすくなります。

グルカゴンの分泌を抑えて血糖値上昇を予防する方法

グルカゴンの分泌を抑えて血糖値上昇を抑える方法としては、投薬が一般的です。具体的には、インスリンの分泌促進と高血糖時のグルカゴン分泌を抑える作用のある以下のような薬が用いられます。

  • ジャヌビア、エクア、ネシーナ、トラゼンタなどDPP4阻害薬
  • ビクトーザやバイエッタなどGLPI作動薬  など

ただし、どの薬を使うかの判断は、患者本人の状態や医師によって異なります。

低血糖状態のリスクって?グルカゴンを使って改善できる?

グルカゴンは、糖尿病治療中や体質による低血糖状態から回復するための治療薬として、注射で使用されることもあります。このような低血糖治療セットは一般的に「グルカゴンセット」と呼ばれ、グルカゴンの薬剤と注射器、アルコール綿で構成されています。

低血糖状態が長く続くと、脳に栄養が届かなくなり昏睡状態に陥るリスクもあります。グルカゴン注射を肩、お尻、太ももなどいずれかの筋肉に適切に注射することで、血糖値を上げて低血糖で重篤な状態になるのを防ぐことができます。

グルカゴンには血糖値を上昇させる働きがありますが、糖尿病治療中のリスクに対抗するための治療薬でもあるのです。

おわりに:グルカゴンにはインスリンと一緒に血糖値を一定に調整する役割がある

グルカゴンは、私たちの膵臓で作られるホルモンの一種です。肝臓や体内の糖を分解して血中に放出し血糖値を上げる働きを担い、血糖値を下げる働きのあるインスリンと一緒に、血糖値を適性に保つ役割が担います。

しかし、糖尿病になるとインスリンの働きが抑えられ、グルカゴンとのバランスが崩れるため、血糖値が上がってしまいます。糖尿病の方は、インスリンとともにグルカゴンの働きについても理解しておきましょう。

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