白血球っていくつか種類があるって本当?

2020/3/1

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

細菌などの外敵を攻撃し、私たちの体を守ってくれている免疫組織の1つ「白血球」。一般的にも広く知られていますが、その種類についてはあまり知られていません。今回は白血球の種類とそれぞれの働きについて、白血球が過剰に増える・減ることで起こる病気とあわせて、解説していきます。

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白血球って1種類じゃないの?

白血球には好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球の5種類あります。さらに、好中球・好酸球・好塩基球は白血球のうち「顆粒級(かりゅうきゅう)」に、単球・リンパ球は「無顆粒球(むかりゅうきゅう)」と大別しています。

それぞれの白血球の主な働きや特徴、健康な状態で全白血球に対して占める平均的な割合は、以下の通りです。

白血球:顆粒球に分類されるもの

好中球(こうちゅうきゅう)
全白血球のうち、平均で55%もの割合を占める。主に細菌を貪食する代表的な顆粒球で、顆粒球そのものを指す場合も多い。
好酸球(こうさんきゅう)
全白血球のうち、平均で3%程度を占める。主にアレルギー反応が起こった際に増殖して作用する。
好塩基球(こうえんききゅう)
全白血球のうち、平均で0.5%を占める。主にアレルギー反応が起こった際にヒスタミンやヘパリンを放出し、好中球の働きを助ける。

白血球:無顆粒球に分類されるもの

リンパ球
全白血球のうち、平均で36.5%を占める。Tリンパ球(T細胞)とBリンパ球(B細胞)があり、それぞれが免疫反応の主力を担っている。代表的な無顆粒球。
単球
白血球のうち、平均で5%を占める。最近を貪食する他、死んだ好中球をも貪食して分解し、処理する大食作用を持つ。

それぞれの白血球の働きは?

ここからはそれぞれの白血球の働きや能力について解説します。

好中球の働き

食作用
大食細胞とも呼ばれる「マクロファージ」とともに、体に侵入した細菌を攻撃・貪食する
血管外遊
血管壁の一部を溶かし、自由に通過しながら対処が必要な感染源に到達する
化学走性
マクロファージとともに、特定の化学物質に対してさまざまな距離感で対処する

好酸球の働き

アレルギー反応に関わり、アレルギー症状を抑える働きがあると考えられています。

好塩基球の働き

アレルギー反応に関わり、アレルギー症状を引き起こすと考えられています。

リンパ球の働き

Bリンパ球・Tリンパ球ともに赤色骨髄で産出され、全身の免疫を中心的に担い、Tリンパ球のみ産出後、未熟なまま一旦血中に放出され、胸腺やリンパ組織で成熟したうえで再び血中に放出されます。

単球の働き

好中球に次いで活発な貪食作用のある白血球で、大食作用があります。血管外に出ると「組織マクロファージ」となり、好中球とともに細菌を貪食するほか、死んだ好中球も貪食して分解・処理します。

なお、顆粒球に分類される好中球・好酸球・好塩基球の寿命はわずか3~15日で、赤血球よりも短いことがわかっています。

白血球が増える病気も、減る病気もあるってホント?

血中の白血球量が基準値より増えすぎると「白血球増加症」、減りすぎると「白血球減少症」という病気になります。以下にそれぞれ、簡単に解説していきます。

白血球増加症

  • 成人の場合では、白血球の全体量が10,000/マイクロリットル以上になると診断される病気。乳幼児では、診断基準値が成人よりも高くなる
  • アレルギー性疾患やリウマチ、肺炎など他の疾患が原因で発症する
  • 白血球のうち、どの種類の白血球が増えているのかをさらに調べることで、白血球増加の原因や対処法を知ることができる

白血球減少症

  • 一般的に、白血球の全体量が3,000/マイクロリットル以下になると診断される病気。感染症や血液疾患、自己免疫疾患などが原因で発症することがある
  • どの白血球が減っているのかを詳しく調べることで、原因疾患や、有効な治療方法をある程度特定できる

おわりに:白血球は5種類あり、それぞれ働きや割合が異なる

ひとくちに白血球と言っても、担っている役割により種類があります。白血球の種類は、顆粒級に分類される好中球・好酸球・好塩基球と、無顆粒球に分類されるリンパ球・単球の計5種類に分けられています。それぞれが異なる割合・働きを持っていて、バランス良く強調することで人体を守っているのです。このため白血球が増えすぎても、逆に減りすぎても病気となってしまいます。

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