記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/9/3
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
私たちの血液を構成し、体を動かしてくれる重要な成分の1つに赤血球があります。赤血球はどのような働きをし、体を支えてくれているのでしょうか。今回は赤血球の働きについて、赤血球が少なくなることで起こり得る症状や疾患と、これらを予防・治療するた方法とあわせて解説します。
血液は45%を赤血球、白血球、血小板という血球(けっきゅう)と呼ばれる細胞が、残りの55%を血しょうという液体の成分が構成しています。血球の一種・赤血球は、真ん中がくぼんだ円盤のようなかたちをしていて、その直径は7~8マイクロメートル。お米1粒のおよそ1/1000くらいの大きさをしています。
赤血球はヘモグロビンを主成分とした赤色の細胞で、血液の見た目にも影響を及ぼしています。酸素と結合して隅々の血管にまで行き渡り、全身に酸素を運ぶ役割を担っているのです。また、この役割を果たすため、ヘモグロビンには酸素と結合する性質があるほか、細い毛細血管でもかたちを変えて通り抜けられる柔らかさと弾力性を併せ持ちます。
骨髄で産出された後、赤血球は約120日の寿命を使って私たちの血管内を巡り、全身に酸素を運び、体を動かし続けてくれているのです。
赤血球を構成する主成分であるヘモグロビンは、鉄分を原料と生成されています。このため、以下のような原因から体内に鉄分・ヘモグロビンが不足すると、赤血球が十分に作られなくなって「鉄欠乏性貧血」を引き起こす可能性が高くなるでしょう。
鉄欠乏性貧血を発症すると、以下のようなさまざまな貧血症状が現れてきます。
ただし貧血の症状には個人差が大きく、人によっては進行が緩やかで、貧血症状を自覚しないまま進行してしまうケースもあります。
鉄欠乏性貧血と診断された場合、基本的には、鉄剤を服用する薬物療法で治療していきます。鉄剤とは、鉄分を錠剤として内服できるようにしたお薬のことです。一般的には医師の指示のもと継続して服用し、血中のヘモグロビン値や、貯蔵された鉄量を示すフェリチンの量が回復するかを観察していきます。注射薬で鉄を補う方法もありますが、内服薬に比べて過敏反応や鉄箇条などの合併症が起こるリスクが高いため、積極的には選択されていません。
鉄剤の服用においても胃のむかつきや吐き気、嘔吐、便秘、下痢などの消化器症状が副作用として現れる可能性は、10~20%程度あります。服用する鉄剤の種類や量、期間は、医師と体調と相談して決めると良いでしょう。
鉄欠乏性貧血を予防するには、栄養バランスの良い食事を1日3食きちんと摂り、体に鉄分が不足しないよう食事を改善するのが効果的です。以下のような主食・主菜・副菜を意識して、偏りなく栄養を摂取できるよう、食生活を意識的に変えていきましょう。
また、鉄欠乏性貧血の予防には鉄を豊富に含み造血作用も期待できるレバーやまぐろ、かつお、ホウレン草、小松菜、大豆食品などを積極的に摂るとなお良いとされます。
赤血球は、白血球や血小板、血しょうと並び血液を構成する成分です。中央のくぼんだ円盤状で、ヘモグロビンを原料としているため赤い色をしています。柔らかく頑丈な性質で、細い毛細血管までもすり抜けて全身に酸素を運び、私たちの体と健康を守る役割を担います。不足すると体が酸欠状態に陥り、めまいやふらつき、疲れやすさや頭痛を伴う貧血状態になってしまいます。日頃から食事内容に気を付け、鉄を摂取して発症を予防しましょう。