サイトカインってどんな働きをする物質なの?

2019/8/14

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

人体には、私たちの体の健康と働きを維持するため、多様な物質が分泌されています。
今回は、私たちの体内で分泌される物質の1つ「サイトカイン」について、その種類や働き、体で果たしている役割などをあわせてご紹介していきます。

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サイトカインとは

サイトカインとは、細胞から分泌され、さまざまな細胞に作用するタンパク質の総称です。「生理活性物質」とも呼ばれています。サイトカインの種類によって、細胞にいろいろなかたちで働きかけ、以下のような作用を及ぼします。

  • 標的とした細胞へ、目的に合ったシグナルを伝え反応を起こす
  • 標的とした細胞を増殖、分化、変化、機能発現、または細胞死させる
  • 細胞に炎症が起きている場合、その炎症状態のコントロール

サイトカインの種類

サイトカインは、作用上の特性から以下の6種類に分類されています。

インターロイキン(IL)
白血球が分泌するサイトカイン。30種類以上が確認されており、免疫系の調節を行う。
腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリー
活性化マクロファージなどの細胞が、炎症初期の段階で分泌するサイトカイン。慢性的な炎症や自己免疫疾患、慢性所望性病態などに関与するとされる。
インターフェロン(INF)
活性化したTh1細胞などが分泌するサイトカイン。外敵や異常細胞を食べて攻撃する貪食(どんしょく)細胞や、抗原提示細胞の活性化を促し免疫制御に関与する。
コロニー刺激因子
さまざまな細胞から分泌されるサイトカイン。白血球前駆細胞の増殖や文化を抑制し、自然免疫細胞を活性化させる。
ケモカイン
50種類以上が確認され、炎症や免疫反応を起こしている部分へ白血球が向かうよう、走化性を誘導するサイトカイン。以下4つのファミリーに分類されている。

  • CXC型
  • CX3C型
  • CC型
  • C型

なお、炎症が起こることで誘導されるものと、恒常的にリンパ球の移動に関与しているものがある。

増殖因子
細胞を修復する過程で作用するサイトカイン。主に間葉系幹細胞の増殖と、細胞外気質の産出を促すが、白血球に対しては抑制作用がある。

サイトカインの働きは?

サイトカインは受容体と結合することで、細胞の複製や分化、生存維持、機能発現、細胞死など、細胞にさまざまな反応を起こさせます。作用は主に免疫系の制御や、体に起こっている炎症反応に対して起こることが多いです。

しかし、どのような作用が起こるかは、分泌する細胞と分泌されるサイトカインの種類、そして働きを受ける受容体との組み合わせによって大きく変わります。

サイトカインを分泌する細胞や、サイトカインそのものの種類・特性は前項で述べた通りですが、サイトカイン受容体にも以下のような種類があります。

  • サイトカイン受容体スーパーファミリー型
  • INF型
  • TNF型
  • チロシンキナーゼ型
  • TGF-β型
  • ケモカイン型
  • 免疫グロブリン型  など

おわりに:サイトカインは細胞に働きかけ、変化を起こさせる生理活性物質

タンパク質からできており、さまざまな細胞から分泌されるサイトカインは、その種類や受容体との組み合わせにより細胞に多様な変化をもたらします。別名「生理活性物質」とも呼ばれ、その作用の多くは体で起きている炎症や、免疫機能の促進または抑制に関わっているのです。サイトカインは作用の特徴や分泌を行う細胞ごとに6種類に分けられ、受容体にも複数の種類があり、また、組み合わせによりさまざまな作用があります。

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