記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/8/31
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
胃腸のトラブルのひとつである胃酸過多は、なんらかの原因で胃酸が分泌されすぎてしまった結果、胃の不快感を招く症状です。この記事では、胃酸過多の原因とともに、対処法をご紹介します。
「胃酸過多」とは、胃酸が必要以上に分泌される状態です。胃酸は非常に強力な酸で、胃の中を一定以上の酸性に保って食物を消化したり、食物とともに体内に入り込んだ菌を殺菌し腐敗を防止する働きがあります。
食物は胃で消化・分解され、少しずつ十二指腸へと送りだされて消化・吸収されていきます。胃そのものが強い酸にさらされながらも溶けることがないのは、胃の内側には粘液で膜が作られており、さらに胃酸と直接触れることのないようそれを胃粘液が守るという、胃を守る仕組みがあるからです。
健康な胃腸であれば、胃酸と胃粘膜の作用のバランスがとれており、胃を傷めてしまうようなことはありません。しかし、胃酸過多になると、胃を攻撃する胃酸と胃を防御する胃粘液のバランスが崩れることで胃粘膜が傷つけられ、胃炎や胃潰瘍などを起こしてしまうのです。
睡眠不足などの「生活の乱れ」、「暴飲暴食」、喫煙やアルコール、カフェインなど「刺激物の摂取」、仕事や家事・育児などによる「ストレス」などがあげられます。
胃はストレスに弱い臓器です。ストレスがかかると交換神経が優位になりますが、こうした緊張状態は長く続かず、時折副交感神経が強く優位になります。一般に、胃酸の分泌はリラックスして副交感神経が優位になった時に盛んになりますが、この緊張の反動時に胃酸が一気に分泌されて胃酸過多になってしまうと考えられています。
胃酸過多になると空腹時にも胃酸分泌が盛んになり、胃粘膜を傷つけて胃痛や胃もたれ、胸やけの原因となります。食物と反応してげっぷが出やすくなったり、胃酸が食道まで上がってくる胃酸逆流やそれを原因とした口臭などもあらわれます。
胃痛などを緩和する市販薬として、胃酸分泌を抑える「H2ブロッカー」、胃液を中和する「制酸剤」、胃粘膜を保護する「胃粘膜保護剤」、胃の緊張を緩める「鎮痛鎮痙(ちんけい)剤」などがあります。自分の症状に合った成分を判断して選ぶことが大切なので、薬剤師や登録販売者に相談するようにしましょう。
また、薬に頼るだけではなく、日常生活の中で胃の痛みを軽減していくことも大切です。適度な運動や気分転換など溜まったストレスを解消する自分なりの方法を見つけるようにし、脂肪分や糖分、カフェインの多い食事や刺激物は摂り過ぎないようにして胃に優しい食事を心がけましょう。
自律神経のバランスを整えるために、十分な睡眠をとることも必要です。血管を収縮させ、胃粘膜の抵抗力を下げてしまう喫煙も避けるようにしましょう。
胃酸過多は、胃酸が必要以上に分泌されて胃粘膜を傷つけてしまう状態で、睡眠不足などの生活の乱れや、喫煙、脂肪や糖分のほか刺激物の摂りすぎなど食生活の乱れ、仕事や家事・育児などによるストレスなどが原因となります。日常生活の中で、ストレスの軽減、食生活の改善、禁煙、十分な睡眠の確保など、胃に負担をかけないよう心がけるようにしましょう。