記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/9/8
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
季節によって起こるアレルギーといえば、春先の花粉症が有名です。この時期、スギやヒノキの花粉に悩まされる人は多く、毎年冬の終わりにはたくさんの花粉症グッズが店頭に並びます。しかし、花粉症は春だけのものではなく、実は秋にもピークがあるのを知っていますか?
今回は、代表的なアレルギーである花粉症をはじめ、秋に気をつけたいアレルギーを3つご紹介します。
花粉症は春先のスギ花粉が有名で患者数も多いですが、実は花粉症の原因となる「花粉」が飛ぶのは春だけではありません。一年中何らかの花粉は飛んでいますので、時期によってそれぞれの花粉症の人が症状を発症しています。スギ花粉で花粉症を起こす人が症状が落ち着く季節があるのは、スギ以外の植物の花粉ではアレルギーを発症しないからです。
アレルギーは特定のアレルゲン(原因物質)に対してのみ発症します。秋に飛散する花粉は「ブタクサ」「ヨモギ」「カナムグラ」があり、これらはスギと違って背の低い草であることから、河原や公園・空き地などに多く生えています。これらの花粉にアレルギーを持っている人が、ジョギングや散歩などの際に気づかず吸い込んでしまうと、花粉症の症状が現れます。
また、花粉症は生まれつきの体質だけでなく、アレルゲンを何度も何度も繰り返し吸い込むことで発症することもあります。つまり、もともと秋には花粉症の症状がなかった人も、ブタクサやヨモギの花粉を吸い込み続けることで発症してしまうことがあるということです。
とくに、もともとスギ花粉など別の花粉症を持っている人は秋の花粉症も発症しやすいため、花粉の多い場所を避ける、マスクをするなど予防対策をしっかり行いましょう。
花粉症は、原因となる植物によってそれぞれ症状が異なります。例えば、スギ・ヒノキ・シラカンバなどの樹木では鼻水・くしゃみ・目のかゆみなどの症状が起こりますが、このうちヒノキ・シラカンバの花粉症を持つ人は口腔アレルギー症状(果物を食べると口の中がかゆくなったり腫れたりする症状)も同時に発症することがあります。
ブタクサやヨモギでも鼻や目の症状が起こるのは同じですが、花粉の粒子の大きさがスギなどの樹木は大きく、ブタクサなどの草花は小さいという特徴があります。スギ花粉は鼻の粘膜でとどまりやすいため気管への影響が少ない傾向がありますが、ブタクサ花粉は鼻を越えて気管に入りやすく、喘息のような症状が起こりやすいといわれています。
秋に気をつけたいアレルギーとして、ダニによるアレルギーも考えられます。ダニは高温多湿の夏に発生・活動しやすいことはよく知られていますが、ダニアレルギーは、生きているダニよりも「死がいやフン」が引き起こすものが多いです。
ダニは、5~9月にかけて活発に活動して数を増やし「人を噛む」などの被害を増やします。秋になると死に始め、アレルギー症状を引き起こしやすいダニの死がいやフンが一気に増えます。
また、秋から冬にかけてはだんだんと空気が乾燥してくるので、アレルゲンであるダニの死がいやフンも乾燥し、粉々になって空中に飛散するようになります。
その大きさは約0.01mm程度と非常に小さく、ちょっとした風や空気の流れ、衝撃で飛び散ってしまいます。これは呼吸でアレルゲンが体内に入り込みやすい環境であり、アレルギー症状を引き起こしやすい環境とも言えます。
ダニアレルギーのおもな症状は、以下の通りです。
上記2つのアレルゲンによるアレルギーとは異なるアレルギーが「寒暖差アレルギー」と呼ばれるもので、医学的には「血管運動性鼻炎」の一種とされています。
秋から冬の季節の変わり目など「1日の寒暖差が大きい時期」や、「冷房で急激な温度変化があったとき」などに、くしゃみや鼻水・せきなどのアレルギーによく似た症状が出ますが、発熱・かゆみ・目の充血などは出ません。
そのほか、上記2つと異なる症状として「イライラなどストレスを感じる」「食欲減退など、胃腸の不調がある」などの症状が出ることがあります。秋は気温の変化が激しく服装の調節が難しいため、このような症状が出ると「冷えによる風邪」と思ってしまいやすいですが、発熱がなければ寒暖差アレルギーかもしれません。
このような症状が起こる原因は、寒暖差による自律神経の乱れと考えられています。血管は寒いと体温が必要異常に下がらないよう縮み、暑いと逆に広がる性質がありますが、寒暖差が激しいとその拡縮が追いつかず、自律神経がうまく働かなくなってしまいます。とくに、7度以上の寒暖差があるとこのアレルギーを発症しやすいといわれています。
寒暖差アレルギーは筋肉量が少なく、体内で熱を作りにくい女性の方が男性と比べて発症しやすいとされています。女性は脱ぎ着しやすい洋服でこまめな体温調節を心がけ、ショウガなどの「血行を良くする食品」を意識的に摂取して、体を冷やさないようにしましょう。
秋のアレルギーは花粉症・ダニアレルギー・寒暖差アレルギーの3つで、花粉症は春先のスギやヒノキなどの「樹木」とは異なり、ブタクサやヨモギなどの「草花」が中心です。ダニは噛まれる被害が起こるのは夏ですが、夏に活動していたダニが死滅する秋にアレルギー症状が現れます。
また、1日の寒暖差が激しいときにもアレルギーによく似た症状が現れます。これが寒暖差アレルギーで、7度以上の寒暖差で起こりやすいとされています。