ストーマの装具は、ある程度定期的に交換する必要があります。皮膚に直接装着するものですから、清潔を保っておく必要があることに加え、排泄物によって装具が溶けてくることがあるからです。
そこで、今回はストーマのうち、人工肛門である結腸ストーマ・回腸ストーマに絞り、装具交換のタイミングや手順、交換のコツについてご紹介します。
ストーマ装具を交換するタイミングは?
ストーマ装具の交換は、設定された定期的な交換時期に行います。排泄物が漏れる前に交換すれば良いと放置していると、結局は漏れてから交換することになってしまいます。比較的排泄物の皮膚刺激が少ないと言われる結腸ストーマであったとしても、排出物が漏れて皮膚に付着すればダメージを与えることには変わりません。ですから、漏れかどうかで判断するのではなく、時期が来たら必ず交換しましょう。
また、皮膚保護剤が溶けているのが確認できた場合、本来の交換時期より早くても交換します。面板の溶けた幅が1cm程度になったら必ず交換しましょう。
ストーマ装具の交換方法は?
ストーマ装具の交換は、以下の1~12の手順に従って行います。
- 1:必要な物品を準備する
- 新しいストーマ袋、洗面器、ガーゼまたは不要な清潔な布、石けん、剥がした装具を廃棄するビニール袋
- ゲージもしくは定規、使用中の装具の裏紙、油性ペン、はさみ、洗濯ばさみ、ティッシュペーパー
- その他、皮膚保護剤・剥離剤・潤滑剤などは必要に応じて用意する
- 2:排泄物の処理
- 装具交換の前後は、ストーマ袋内の排泄物の処理を行う
- 3:使用中の装具を剥がす
- 剥がす前に石けんを使い、流水で手を洗って清潔な状態で行う
- 剥がす際は刺激を避けるため、指で皮膚を押さえながら行う
- または、皮膚と面板の間に濡らしたガーゼなどを使用しながら、少しずつ丁寧に剥がす
- 剥がれにくいときは剥離剤を使ったり、シャワー時に剥がすなど、工夫すると良い
- 4:剥がした面板の確認を行う
- 面板の溶け具合やふやけの程度を確認し、次回の交換時期の参考にする
- 便の漏れも確認し、毎回漏れが確認される場合は看護師に相談する
- 5:ストーマ周囲の皮膚を洗浄する
- 付着した便や粘液をティッシュペーパーで拭き取る
- 石けんを十分に泡立て、ストーマ周囲の皮膚をガーゼや布、手でこすらず洗う。ストーマと皮膚の境目まで十分に洗うこと
- ストーマに手で触れても構わないが、直接ガーゼや布で擦らないよう注意する
- 粘着剤がとりきれない場合は剥離剤を使う
- 6:ストーマ周囲の皮膚を乾燥させる
- 石けん分を濡れたガーゼやシャワーで完全に落とす
- 乾いたガーゼで拭き、可能なら空気浴の時間をとって皮膚をしっかりと乾燥させる
- 7:皮膚の状態を確認する
- 皮膚にかゆみ・発疹・発赤などがある場合は看護師に相談する
- 問題がなければ、8へ進む
- 8:ストーマのサイズを確認し、型紙を作る
- 使用中の装具の裏紙をストーマに当て、全周に2〜3mm程度の余裕があるようならそのまま型紙として使用する
- 合わない場合はサイズを定規などで測り直し、新しい壁紙を作る
- 9:新しい面板に穴を開ける
- 8の型紙や定規を使い、新しい面板に油性ペンでサイズを記入し、その線に沿ってはさみで穴を開ける
- 単品系の場合、二品系と違って面板と袋がくっついているため、はさみで袋に穴を開けないよう注意する
- 切り口がぎざぎざになってしまった場合は、指でなめらかに整える
- 面板の穴が小さいと装具の密着不良が、大きいと便の漏れによる皮膚障害を起こしやすいため、ストーマより2〜3mm大きめのサイズを守る
- 穴を開けたら、裏紙を剥がす前にストーマに当て、大きさを確認すると良い
- 10:装具を貼る
- 一番ストーマが見やすく、お腹のシワが自然に伸びた状態の姿勢で装着する(※シワを伸ばしすぎない)
- ストーマに合わせて装具を貼りつけ、周囲をしっかり押さえて密着させる
- ストーマと皮膚の境目はとくに注意し、しっかり密着させる
- 11:排出口を閉鎖する
- 閉鎖具を使い、排出口を閉鎖する
- 12:後片付けをする
- 使用後の装具やガーゼなどのゴミをゴミ袋に入れ、廃棄する
- 外した装具内に便がある場合、必ずトイレに流してから装具を廃棄する
ストーマ装具交換のコツは?
ストーマ装具交換のコツは、大きく分けて3つあります。「定期的な装具交換の時間」「面板の溶け具合の見かた」「交換時期の調整」です。3つそれぞれについて、以下のようなポイントに注意して行いましょう。
- 定期的な装具交換の時間について
- 食後は腸が動いて便が出やすいため、避けるのが無難
- とくに回腸ストーマでは多量の水様便が排出されるため、食後は避けて食前や食間に定期装具交換を行う
- 面板の溶け具合の見かた
- 結腸ストーマの場合は1cm程度溶けたら交換の目安とする
- 回腸ストーマの場合は排泄物の皮膚刺激性が強いため、5mm程度溶けたら交換するのが良い
- 交換時期の調整
- 前述の皮膚保護剤や面板の溶け具合、浸潤、皮膚の状態から総合的に交換間隔を調整する
- 一度設定したら変更してはいけないというわけではなく、例えば発汗の影響を受けやすい夏場はこまめに交換するなど、気温や活動状況によっても皮膚障害を起こさない間隔を調整していく
ストーマ装具交換の間隔はある程度定期的に行う必要がありますが、気温や活動状況によっても面板や皮膚保護剤の溶け具合、皮膚のかぶれや発疹が起こりやすくなることがありますので、交換時期は状況によってこまめに調整する必要があります。
おわりに:ストーマ装具交換は清潔に、穴の大きさに注意する
ストーマの装具交換は、排泄物が漏れるかどうかではなく、ある程度定期的に交換するようにしましょう。排泄物によって装具が溶けていると、漏れ出たことが確認できなくても皮膚の上に排泄物が染み出し、ただれやかぶれを引き起こすことがあるからです。
また、交換する際は穴のサイズに注意しましょう。ストーマは時々大きさが変化することがありますので、前回の裏紙が合わなければ新しく測り直す必要があります。
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