日常でのストーマ管理法って?排泄物や装具の捨て方は?

2019/8/21 記事改定日: 2020/7/20
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ストーマとは人工肛門・人工膀胱のことで、何らかの疾患などで便や尿の排出経路に問題が生じたとき、腸や尿道を腹部につないだ人工的な排出口です。ストーマには袋を取りつけて排泄物の管理を意識して行います。この記事では、人工肛門タイプのストーマについて、排泄物の捨て方や装具の処理の仕方、廃棄方法をご紹介します。

ストーマの種類は?排泄はいつ頃から始まるの?

ストーマには大腸(結腸)に繋がれるコロストミー(結腸ストーマ)と、小腸(回腸)に繋がれるイレオストミー(回腸ストーマ)があります。ストーマでの排泄開始時期は、コロストミーとイレオストミーで少し異なります。

コロストミー(結腸ストーマ)
  • 下行・S状結腸ストーマは術後3~5日ごろから機能を開始し、排泄が始まる
  • 上行・横行結腸はこれよりも早いことがある
イレオストミー(回腸ストーマ)
  • 術後1~2日ごろから機能を開始し、排泄が始まる

つまり、ストーマの作られる位置がもともとの肛門から遠いほど排泄開始が早くなります。これは、食べたものが消化されていく順番が影響しています。肛門に近くなるほど消化される順番が後になるため、排泄開始時期も遅くなります

ストーマで排泄した便の処理は?やってはいけないことって?

ストーマでの排泄は、ストーマ装具によって管理します。具体的には、ストーマに装着した袋に排泄物(便・ガス)を溜めておき、ある程度溜まったらトイレに捨てます。そして、何日かおきに装具そのものをすべて取り替え、清潔を保ちます。

便の排出は、ストーマ袋の約3分の1程度便が溜まる頃が目安です。ただし、装具交換の頻度は使用する装具によって異なりますし、排便の頻度も個人差があります。詳しくは医療機関で説明を受ける際によく聞いておくとともに、疑問点があれば質問しましょう。

便の排出方法の一例として、開放型・マジックテープ式閉鎖具付きの場合をご紹介します。

1. 排出口を開ける
  • 左右のマジックテープを静かに外し、排出口をトイレの中に向ける
  • 折りたたんである部分を順に開く
2. マジックテープを留める
  • 排出口の折り上げ板の裏面にあるマジックテープ同士をしっかり留める
3. 便を押し出す
  • 排出口を手で軽く押さえ、速さを調節しながら飛び散らないよう排出する
  • 排出口をトイレットペーパーなどで横方向に拭き取る
4. 排出口を閉じる
  • 2で留めた折り上げ板のマジックテープを外し、元に戻す
  • 封筒のフタを閉じるようにくるくると巻き上げ、左右のマジックテープで留める

基本動作の順番は、排出口を開く→排出→拭き取り→元に戻す、です。このとき、排出口が気になって洗ってしまいたくなるかもしれませんが、洗ったときの水分が便と混じってストーマ袋の外側に付着すると臭いの原因になるほか、ストーマ袋の劣化を招き、漏れの原因にもなります。排出口は乾いたトイレットペーパーなどで拭き取るだけにしましょう。

取り替えた装具の処分法は?分別法はどうなる?

ストーマ装具を交換したら、古い装具を処分する必要があります。ストーマ装具は排泄物が入っていたものですから、一般的には「おむつ」「生理用品」などと同様の扱いになります。ただし、地域によってストーマ装具の取扱は異なりますので、住んでいる地域の管轄のゴミ処理場に一度確認しましょう。

たとえば、普通ゴミ(可燃ゴミ)の有料化が実施されている地域では、袋に「ストーマ装具」と書いてあれば無料で回収してくれる地域もあれば、指定の医療廃棄物として専用のゴミ袋に入れて廃棄しなくてはならない地域もあります。

使用済み装具のにおいが気になる!対策は?

ゴミの回収頻度は地域ごとに、一般ゴミとして週3回の地域と、医療廃棄物として週2回の地域で異なります。つまり、回収日から次の回収日まで日があくこともあり得るため、次の回収日まで悪臭が出ないよう、蓋つきのゴミ箱に捨てるようにしましょう。ゴミ箱内に消臭剤・重曹・コーヒーの出し殻などを入れておくと、防臭効果が期待できます。

さらに、装具を簡単に密閉状態にできるラッピングテープなども販売されています。このラッピングテープは単に密閉するだけでなく、中身を見えない状態にしてくれるため、最終的にゴミ袋を捨てる際にも中身を見られず捨てることができます。

外出ではオストメイトトイレの場所を確認

自宅でなく外出先で交換することになった場合、男性用のトイレには汚物処理用のゴミ箱が設置されていないことも多いため、男性はできるだけストーマ保有者用のトイレである「オストメイト対応トイレ」に入りましょう。オストメイト対応トイレには必ず汚物処理用のゴミ箱が設置されているため、誰でも安心してストーマ装具の処理を行えます。

また、予定外の交換をしなければならない場合に備え、いつでも予備の装具や不透明なビニール袋を持ち歩いておくとより安心です。

ストーマで心や体に起こる変化は?必要なケアとは?

肛門から排泄を行う場合、便意を感じたら自然にトイレに向かい、自分には見えない位置にある肛門から排泄を行ってすっきりとした気持ちになれます。また、便が出るのか、ガスが出るのかの判断もできていたと思います。そしてもちろん、これらの行為は基本的に介護を必要としていない限り自分ひとりで行うもので、プライバシーも守られていました。

しかし、ストーマ造設後は排泄経路が変更されるため、肛門から排泄しなくなります。このため、排泄後の爽快感や気持ちよさを感じることがなくなります。加えて、ストーマは腹部に作られるため、自分から常に見える位置に排泄物がある状態になります。その結果、患者さん本人の自尊心が低下してしまうことが懸念されます。

さらに、術後の排泄物の処理を一時的に他者が行わなくてはならないこともあり、その場合、「恥ずかしい」「情けない」などの思いをより一層強く抱いてしまいがちです。したがって、患者さん本人の心のケアが重要となります。

その他のケア

ストーマから排出された便はストーマに装着されたパウチ(袋)の中に溜められる仕組みになっているため、その周囲の皮膚や粘膜が便の刺激によってダメージを受けるため、様々な肌トラブルが起こりやすく、痛みやかゆみなどの症状を引き起こすこともあります。

ストーマ造設後にこのような肌トラブルが生じたときは、ステロイド軟こうなどを用いて炎症を抑える治療を行うことも必要ですが、再発を予防するためにはパウチの大きさを変えたり、ストーマの処理をする間隔を短くするなどの対策をするとよいでしょう。

おわりに:ストーマの排泄物はトイレに流し、装具は汚物入れか地域の指定に従いましょう

ストーマの排泄物は装具に取りつけた袋に溜めておき、だいたい袋の3分の1程度溜まったらトイレに排出します。何日かおきに装具ごと交換することが必要です。排泄習慣の変化によって、患者さんの自尊心が傷ついてしまうことも考えられますので心のケアも大切です。

また、ストーマ袋を含めた装具の廃棄方法は、トイレでは汚物処理用ゴミ箱に、地域では指定の方法に従います。管轄のゴミ処理場に確認しましょう。

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