ストレスコーピングってどんなもの?やり方やコツを解説!

2019/9/19

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ビジネスや人間関係などで精神的負担を感じることが多い昨今。メンタルヘルスケアの重要性が高まっていますが、ストレスとの上手な付き合い方を見つけるのは至難の業です。この記事では、ストレス緩和や解消の対処法「ストレスコーピング」を紹介します。ストレスの原因に着目しながら心の健康維持を目指す対処法とはどんなものなのでしょう。

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ストレスコーピングとは

ストレスコーピングはメンタルヘルス用語のひとつで、ストレスを軽減したり除去するための対処法です。アメリカの心理学者リチャード・S・ラザルスが提唱したストレス対処法で、「ストレスの原因に直面したときの個人の意識や受け止め方が、ストレスの発生や度合いに影響を与える」という考え方を持っています。ストレスを感じる本人が主体になって対処法を実践していく点が特徴です。その上で、ストレスコーピングでは大きく分けて2種類のストレス対処法を提示しました。

  1. ストレッサー(ストレスを引き起こす原因)を除去する
  2. ストレッサーに対する反応を軽減する

ストレスに対して、人は無意識のうちにストレスを和らげる対処を行っていますが、無意識の対処ではストレスに対処しきれないこともあります。そういった無意識でのストレス対処ができない場合、本人が意識的に行うストレスコーピングが効果的になると考えられています。次の項目で2種類の対処法をより詳しく紹介していきます。

ストレスコーピングの種類は?

問題焦点コーピング
ストレッサーに働きかけて変化を起こし、ストレスの軽減を図ります。ストレッサーが変化可能な場合に推奨されます。
人間関係のストレスの場合は、ストレッサーである相手に働きかけて問題や原因の解決を目指します。
情動焦点コーピング
ストレスを受けている本人の、ストレッサーに対する考え方や感じ方を変えます。ストレスコーピングによって発生した感情をコントロールします。ストレッサーが変化可能でない場合に適する対処法です。
人間関係のストレスの場合は、ストレッサーである相手の言動や行動ではなく、それらに対する本人の受け止め方にアプローチして変えていきます。

ストレスコーピングのやり方は?

実際にどのようにストレスコーピングをすればいいか例を紹介します。

問題焦点コーピング

問題となるストレッサーに対して丁寧に働きかけます。

同居人のテレビの音量が大きくてストレスを感じている場合
同居人に「音量が大きくて睡眠が十分にとれない。夜は静かにしてほしい」と直接伝えます。丁寧に伝えること、相手に理解してもらうことがポイントです。ただし直接の働きかけは状況や人間関係によっては困難ですので注意しましょう。

情動焦点コーピング

誰かに話を聞いてもらい、感情の整理・発散をします。

職場で上司に叱責された場合
こういった悩みを抱えたときに知人に話を聞いてもらったところ「叱責のように聞こえるけれど、アドバイスでもあるのではないか」と言われ、解釈に変化が生じることがあります。上司の叱責に納得がいかなかったりとても落ち込んだりしていても、第三者に話をした結果、自分にはなかった受け止め方や発想を得る可能性が期待できます。するとストレスの程度が軽くなることがあります。

ストレスコーピングを行うときのコツは?

ストレスコーピングは本人が主体的に行うことが基本となりますが、効果的に実践するためのコツが2つあります。

問題解決へのポジティブな意欲を持つ
「自分自身が解決する」という前向きな姿勢で、ストレスを自覚することがまず必要です。ストレスを感じている状態に向き合い、素直な気持ちになって、ストレスに対する自分の要望を発見しましょう。
人に相談し、問題を把握する
ストレスを感じているときは心身のバランスが乱れがちで、正常な判断をするのが困難な場合があります。客観的な考えより主観的な考えに傾きがちで、冷静な状態での状況整理などに苦労する傾向がみられます。家族や友人、カウンセラーに話を聞いてもらい、ストレスを抱えている状況や感情の整理整頓などをしてみましょう。

おわりに:ストレスコーピングは状況やストレスの原因によって使い分けを!

意識的にストレスをコントロールするストレスコーピングは、ストレッサーの種類や状況、本人の性格などを考慮して使い分けることで、ストレスを和らげる効果が期待できます。カウンセラーなどに相談しながら実践してみましょう。

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