ヘルパンギーナの感染後の症状と対処法は?

2019/10/28

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

主に子供が発症することが多い夏の感染症のひとつにヘルパンギーナがあります。この記事では、ヘルパンギーナを発症する原因や症状、症状改善にあたって気をつけることを解説します。

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ヘルパンギーナとは

ヘルパンギーナは、夏に流行する、夏風邪の代表的疾患ともいわれる感染症です。発熱や、口腔粘膜の水泡性の発疹などの症状が表れますが、潜伏期間2~5日あり、その間、症状は外に表れません。

原因は、主にコクサッキーA群ウイルス(Coxsackie virus GroupA)と呼ばれるもので、すでにヘルパンギーナに感染している人の咳やくしゃみ、つばなどで感染する飛沫感染、水疱の内容物や便などに含まれるウイルスが手などを通して感染する接触感染、また、これらの感染経路で排出されたウイルスが食べ物や飲み物に入り、それらを口にすることによる経口感染があります。

ヘルパンギーナは特に乳幼児を中心に流行しやすく、唾液や鼻水が付着したおもちゃを共有したり、くしゃみやせきでうつってしまうことがあるため、注意が必要です。

ヘルパンギーナの症状は?

ヘルパンギーナに感染すると、突然、38℃以上の高熱が出て2~4日続きます。さらに、口の中に水疱性の発疹ができ、さらに咳や鼻、のどの炎症、下痢なども見られるでしょう。口腔内の発疹は、直径1~2mm、大きいもので5mm程度ある水ぶくれのようなもので、頬の内側やのどの奥の食道につながる部分など、皮膚の柔らかい部分に表れます。この発疹は2~4日ほどでつぶれ、潰瘍のようになるため、この潰瘍の痛みから飲食が困難になることもあるでしょう。

このような特徴から、突然の高熱や、口の中の痛み、口内に水疱性の発疹がみられることなどがあった場合は、ヘルパンギーナへの感染が疑われます。

ヘルパンギーナにかかったときの対処法は?

残念ながら、ヘルパンギーナの特効薬はまだありません。そのため、ヘルパンギーナによる発熱などの症状を抑える薬を処方し、自然回復を待ちます。水疱の痛みから飲食が苦痛になるため、水分と栄養補給に気を配り、脱水症状にならないようにしましょう。熱いもの、辛いもの、酸っぱいもの、塩分の多いものなどは特に刺激を与えます。これらの食べ物を避け、おかゆやゼリーなどの、口当たりの良いなめらかなものを食べるとよいでしょう。また、何らかの症状が見られたときは早めに医療機関を受診することも大切です。

ウイルス感染を予防するには?

ヘルパンギーナは、インフルエンザや風疹などのように、ワクチンなどによる予防接種や予防薬がまだありません。飛沫感染、接触感染、経口感染を防ぐために、うがいや手洗いをはじめとして身のまわりを清潔に保つことを心がけましょう。具体的には、こまめな手洗いと消毒、うがい、マスクの着用、食器やタオルなどの生活用品の共有を避けることなどです。

また、特に家族の中に感染者が出た場合、排せつ物の処理を慎重に行うことが大切です。マスクや手袋を着用し、ふき取ったものは隔離して捨てる、その後しっかりと殺菌・消毒処理をすることなどを徹底しましょう。寝室や、可能ならば使用するトイレも分けるなどの処置も必要です。

治療後も2週間~1カ月程度はウイルスが排出物に混ざっています。感染リスクがありますので、症状がおさまってきたとしても、引き続き用心しましょう。

おわりに:ヘルパンギーナは夏風邪の原因となるウイルスで、口腔内の発疹が特徴です

ヘルパンギーナは特に乳幼児を中心に流行しやすい感染症です。突然の高熱や、口の中の痛み、口内に水疱性の発疹がみられる場合、ヘルパンギーナへの感染が疑われます。特効薬および予防薬もまだ開発されていないため、飛沫感染、経口感染、経口感染などを防ぐべく身のまわりを清潔にすることを心がけましょう。特に、子供の看病などを行った場合は、排せつ物の処理に注意しましょう。

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