記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/8/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
肺炎球菌による感染症は、子供をはじめ、年齢問わず誰でもかかる可能性があります。そこで今回は肺炎の予防接種の必要性や副反応などをご紹介します。
肺炎球菌は、ほとんどの子供の鼻の奥や喉に常在しています。特に2歳以下の子供の場合、肺炎球菌に対する抵抗力が弱いといわれています。そのため、肺炎球菌による感染症は重症となりやすく、肺炎球菌が体のどこに感染したかで症状や経過がそれぞれ異なります。
肺炎になると発熱や食欲低下、息苦しさなど、中耳炎になった場合には難聴や耳痛、耳漏などがみられます。肺炎球菌が体の奥まで入り込んで重症となった場合、敗血症や菌血症、細菌性髄膜炎などを引き起こす恐れがあります。
なかでも細菌性髄膜炎は抗生物質の投与が病気の進行に追いつかないこともあり、死亡は7~10%程度、後遺症が残るのは30~40%と高いとされています。そのため、予防接種が重要になってきます。
予防接種の時期や回数は初めて肺炎球菌ワクチンを接種する月齢や年齢によって、接種回数や間隔が異なりますが、標準では4回接種します。
生後2ヶ月から接種でき、1回目は生後2~6カ月、接種から27日以上の間隔を空けてそれぞれ2回目と3回目、そして3回目から60日以上の間隔を空けて生後12~15カ月に4回目を接種します。
その他の接種回数や時期は、主に以下のようになっています。
肺炎球菌による細菌性髄膜炎は、生後6カ月以降の赤ちゃんに発症が増えるといわれています。必ず生後2カ月から接種し、初回の3回を生後6カ月までに受けるようにしてください。また生後2カ月の誕生日を迎えたら、B型肝炎ワクチン、ヒブ、ロタウイルスなどと同時接種しましょう。生後3カ月では、この4つのワクチンと一緒に四種混合ワクチンを加えることをおすすめします。
0歳児の予防接種は種類や回数が多いため、医師などと相談し、このように同時接種できるものはまとめて接種することをおすすめします。
予防接種後には、注射部位の腫れや発赤、痛みやしこり、また食欲不振や鼻炎、むくみなどがみられることがあります。また3人に1人の割合で38~39℃の発熱がみられます。高熱が2日以上続く、腫れや発赤が腕全体に広がる場合などは病院を受診しましょう。
また、まれにアナフィラキシーショックや痙攣などを起こす場合があります。アナフィラキシーショックは接種後30分の間に起こるため、待合室にいるなどして、すぐに医師に診てもらえるようにしましょう。また入浴は接種後1時間で可能ですが、強くこすらないようにし、常に清潔にしておきましょう。
子供は肺炎球菌に対する抵抗力が弱いため、細菌性髄膜炎や敗血症など、さまざまな病気を発症する恐れがあります。予防接種を行って肺炎や細菌性髄膜炎などを予防しましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。